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大空町役場ロビー続き―再び冬の旅(7) 2022年1月28日美幌→大空→北見

2022年02月23日 18時20分00秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 大空町役場庁舎のロビーには、北海道を代表する洋画家・国松登(1907~94)の「氷人」と松樹路人(1927~2017)の「オホーツクの大地に」「新生大空町」の絵画計3点が飾られています。
 
 
 国松登さんは函館生まれ、小学生のときに小樽に移りました。
 国展と全道展を中心に、個展やグループ展でも活躍しました。
 息子の明日香さんは彫刻家、孫の希根太さんは美術家として知られています。

 流氷の光る海に1人ないし2人の人物の影が、寒色系を主体に描かれる「氷人」シリーズ。
 画家の代表作として何点も残されているのですが、これはかなり良作のほうではないでしょうか。

 色数を抑え、落ち着いたたたずまい。
 画像ではわかりづらいですが、ペインティングナイフを多用しマチエール(画肌)に動感が生まれているようです。


 
 松樹さんは生まれは留萌管内羽幌町ですが、父の転勤に伴い1930~41年に女満別で暮らしているので、ほとんど出身地といって良いので、ここに作品があるのは理解できます。
 女満別の小学校の校舎にも作品があると聞いています。

 国松さんは最期まで札幌のアトリエを拠点にしましたが、松樹さんは武蔵野美大教授、独立美術会員で、首都圏を拠点に活動していました。

 「新生大空町」は、昔の図鑑などにありそうな、一種の未来予想図・パノラマになっています。

 一方、「オホーツクの大地に・女満別から」は、雄大な畑が広がるオホーツク東部地方の風土性がいかんなく表現されています。
 フキの葉をあたまにのせた2人の人物、遠くに見える斜里岳の山容などが、北海道らしさをいったん画家の内部でかみくだいて、画布上に表現されています。
 これも松樹さんの代表作的な扱いの可能な良作ではないかと個人的に思います。


 このほか庁舎内には、宮崎靖夫さんという方の「根室トドワラ」「ウトロ岬の夜明け」「釧北峠」というF100の油彩3点が飾られているほか、ビン・カシワの版画、女満別中美術部が旧女満別町役場庁舎を描いた絵、閉校した山園小学校(東藻琴)の子どもたちが作っていた版画カレンダーなども展示されています。

 筆者が知るなかでは、湧別町役場(旧上湧別町役場)が美術作品の多い庁舎ですが、大空町も、国松登と松樹路人ですから、なかなか強力だといえそうです。


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