北海道新聞2009年11月26日、室蘭版から。
いつもは部分引用なんですが、今回は、記者の署名以外は全文。
大久保さんの絵は、けっして技巧的ではなく、むしろ素朴派ふうです。
しかし、そこには、自らの体験に裏打ちされた「何か」があるといえます。
見に行きたいなあ。あしたも仕事なので、むりですけど。
室蘭市在住の全道展会友、大久保孝蔵さん(88)の油彩画展「吾(わ)が心のシベリア」が、26日から市民美術館で開かれる。64歳で絵画を始めた大久保さんが、第2次世界大戦と3年間のシベリア抑留体験を描いたもので、米寿の節目に、亡き友への鎮魂と平和への思いを込めた31点が並ぶ。
大久保さんは、日本製鋼所室蘭製作所に勤めていた1942年、旧満州(現中国東北地方)に出征。終戦後にシベリアに抑留され、伐採や金属加工などの強制労働に従事した。帰国後、幼いころから好きだった絵でシベリアの記録を残そうと、日鋼を退職後に絵画教室に通い始めた。
個展は15年ぶり2回目で、この間描きためたシベリアの作品などを中心に展示した。今年の全道展に出品した「豚の罪み」(100号)は、旧満州で豚を食肉処理する場面。有刺鉄線や険しい豚の表情に「明日をも知れない戦場の厳しさ」を表現し、現地で見た美しい夕日を鮮やかなだいだい色で表した。
バイカル湖の水浴びの絵は、旧満州からシベリアまで徒歩と貨車で12日かけて移動した時の記憶だ。パンを運ぶ途中、捕虜にけ飛ばされて奪われた場面は、雑草や樹皮で飢えをしのいだ苦い思い出を描き込んだ。「シベリアの絵をやめようと思ったこともあるが、描かないと夢に見る」と筆を執り続けた。
大久保さんは毎日、地球岬に通って平和の鐘を鳴らす。「戦争の無意味さは行った者にしか分からない。だから絵を描き、鐘を鳴らして、家族や人々の幸せを祈りたい」。絵画展は29日まで。入場無料。
いつもは部分引用なんですが、今回は、記者の署名以外は全文。
大久保さんの絵は、けっして技巧的ではなく、むしろ素朴派ふうです。
しかし、そこには、自らの体験に裏打ちされた「何か」があるといえます。
見に行きたいなあ。あしたも仕事なので、むりですけど。