(承前)
札幌の若手版画家の個展。
26点を展示しています。
冒頭画像は、葉脈がくっきりと浮かび上がった、葉そのものを版にした作品で、右端が「#1」、そのとなりが「#1911」。
ギャラリーからのプレスリリースに書かれていた作者の言葉です。
人によって感じ方が異なるのは色だけではないような気もしますが、とりあえず唯物論に従えば物体の大きさ(延長)は主観で伸びたり縮んだりするわけではありません。
人によって世界の見え方は違っていますが、それでもある程度まではことばによって意思疎通や共感が可能なのも、これまたおもしろいところです。
それはともかく、葉を提示したいのであれば、葉の実物なり写真なりを並べれば済むことなのに、わざわざ版にするというプロセスを経て、場合によっては複数の版を重ねてひとつのプリントに仕上げるという行為に作者が取り組んでいるのは、特定の葉の特定の瞬間にはどうしてもおさまりきれない感覚(それは、葉や植物から受ける印象の総体といいなおしてもそれほど遠くないかもしれません)のようなものを、見る人に感じ取ってほしいという思いがあるからではないでしょうか。イデア論的な話になりますが、おそらく、作者がつかみとろうとしている「本質」は、どこまでも、瞬間瞬間のイメージとは食い違っていくだろうと考えられるからです。
2021年7月17日(土)~8月1日(水)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
ギャラリー創(札幌市中央区南9西6)
□ http://tokimisaki.com/
過去の関連記事へのリンク
■土岐美紗貴「transparens」 (2016)
■茶廊法邑芸術文化振興会企画 6色イリュミナシオン (2014)
札幌の若手版画家の個展。
26点を展示しています。
冒頭画像は、葉脈がくっきりと浮かび上がった、葉そのものを版にした作品で、右端が「#1」、そのとなりが「#1911」。
「玉虫色」とは光の干渉で金緑色や金紫色などに色彩が変わって見える色。今、見ている空の色は自分自身にしか見ることができない色であり隣人がまったく同じ色を見ているとは限らない。どんなに精巧な写真でも実際に見たときに感じる質感(クオリア)は似て異なるものであり、体感によって得た刺激は認識と理解を玉虫色にしていく。
ギャラリーからのプレスリリースに書かれていた作者の言葉です。
人によって感じ方が異なるのは色だけではないような気もしますが、とりあえず唯物論に従えば物体の大きさ(延長)は主観で伸びたり縮んだりするわけではありません。
人によって世界の見え方は違っていますが、それでもある程度まではことばによって意思疎通や共感が可能なのも、これまたおもしろいところです。
それはともかく、葉を提示したいのであれば、葉の実物なり写真なりを並べれば済むことなのに、わざわざ版にするというプロセスを経て、場合によっては複数の版を重ねてひとつのプリントに仕上げるという行為に作者が取り組んでいるのは、特定の葉の特定の瞬間にはどうしてもおさまりきれない感覚(それは、葉や植物から受ける印象の総体といいなおしてもそれほど遠くないかもしれません)のようなものを、見る人に感じ取ってほしいという思いがあるからではないでしょうか。イデア論的な話になりますが、おそらく、作者がつかみとろうとしている「本質」は、どこまでも、瞬間瞬間のイメージとは食い違っていくだろうと考えられるからです。
2021年7月17日(土)~8月1日(水)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
ギャラリー創(札幌市中央区南9西6)
□ http://tokimisaki.com/
過去の関連記事へのリンク
■土岐美紗貴「transparens」 (2016)
■茶廊法邑芸術文化振興会企画 6色イリュミナシオン (2014)
(この項続く)