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Shibuya Toshihiko starts from prints work.Nowadays,he makes installations and monotype.
澁谷俊彦さんは幾何学的図形をもとにしたモノタイプ版画から出発し、近年はグループ「絵画の場合」での触発もあり、インスタレーションへと表現領域を広げている。
今回の個展は、インスタレーションのみ。
90センチ四方の白い板15枚を規則的に並べ、半球形の石膏を支持体とする絵が1-4個、点在している。
絵は、半球のまるい断面に描かれ、さまざまな色の飛沫のみによる作品。以前は、正方形の画面に展開していた作風で、おびただしい大小の点の集積は宇宙や雨粒などを感じさせる深遠なものだ。
板と板の間隔はすべて30センチ。あくまで整然ときれいに仕上げているのは澁谷さんらしさだろう。
よく見ると、いくつかの板には、半球系のくぼみが施されている。そして、水が入っているものもある。
澁谷さんは開口一番
「いやー、今回はリピーターが多くて」。
非常に秩序ある仕上がりになっているにもかかわらず、澁谷さんの作品は、人工光のホワイトキューブを逸脱しようとする。
作品自体が、光に対する鋭敏な感受性を持っているといえるのかもしれない。
今回の会場は、東側に大きな窓があり、陽光がさし込む。
ただ、昨年は3月だったので、奥まで光が入ったが、1カ月遅い今年は、中ほどまでしたさし込まないという。
太陽光の下とスポットライトの下で見る作品は微妙に異なる。
(以下、2枚の写真は朝方に撮影したもの)
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元来が、澁谷さんの作品は、外界の自然と響きあう性質をもっているのだ。
その自然とは、けっして題詠的なものではないし、「北の風土」という単語で雑ぱくにまとめてしまわれるようなものではない。
わずか数日の単位でうつろっていく日の光、あるいは空気、風。
日本的な情緒とは遠く離れたところで、先入観なしに感覚をとぎすませば伝わってくる微妙な雰囲気をはらんでいるのだ。
そもそものインスタレーションの出発点は、昨年の個展の際に書いたように、絵画空間の奥行き感に対する問題意識みたいなところがあったと思う。
しかし、今回の澁谷さんの個展はそこにとどまらない。
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額面通りに解釈すれば、それぞれの円が1点の絵画であり、半球型の石膏が支持体で、その下の白い板は額縁に該当しよう(そのあり方は、一昨年の道展に出品された山本雄基氏の、小品の周囲に大きな白い部分を取り付けた作品を思わせる)。
しかし、見方を変えれば、複数の円形の図が、白い地に載っていると見ることも可能だろう。
さらに、今回はインタラクティブ(双方向的)な作品でもあった。
希望者には、それぞれの作品(石膏)の位置を自由に変更してもらったという。
したがって、ここで紹介する写真は、あくまで筆者が見た途中経過というべきで、会期の最初から最後までおなじように個々の半球が置かれていたわけではない。
絵画から出発し、果てしなく逸脱しているかのように見えながらも、なお絵画を基盤としたインスタレーションであり続けようとする澁谷さんの作品。
個展のたびにあたらしい試みをとりいれて、なおも変化を続けているのが、すごい。
2009年3月24日(火)-4月5日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)、月曜休み
ギャラリーエッセ(北区北9西3 ル・ノール北9条 地図A)
□http://toshihikoshibuya.com/
■澁谷俊彦展 森の雫(2008年3月) ■つづき
■渋谷俊彦個展(07年11月)
■絵画の場合展(07年1月)
■渋谷俊彦展-瞑想の森-(06年9-10月)
■絵画の場合2005
■絵画の場合2004
■渋谷俊彦展-大地の記憶(04年)
■渋谷俊彦展-森の鼓動(03年)
■渋谷俊彦展(02年)
■二人展「交差する座標軸」(02年、画像なし)