北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■矢野直美作品展 ゆれて ながれて であって (10月2日まで)

2007年10月01日 22時24分08秒 | 展覧会の紹介-写真
 道新やJR北海道の車内誌といった道内の媒体はもちろん、ことしに入り朝日新聞夕刊で「鉄子の鉄学」の連載を始めるなど、大活躍のフォトライター矢野さん。最近、鉄道ファン層が女性にも拡大していることがよく指摘されますが、まさにその先導役といっても過言ではないでしょう。ただし、写真展というのは、めずらしいかも。鉄道が中心ではありますが、空港や、森ビル展望台(と思う)、本州のお祭りの写真などもあり、旅情をただよわせる幅広い内容になっています。
 展覧会の最大の特徴は、およそ50枚ある写真が、ふつうのプリントペーパーではなく、スケッチブックふうの紙にプリントされていること。
 随所に、丸っこい手書き文字による文章をつづった紙が挿入され、スケッチブックの実物も壁に貼られて、展示に統一感をもたせています。
 筆者が気に入ったのは、夕焼け空に向かって鉄路が一直線に伸びている写真。左手に海が望まれます。非電化、単線の高架で、海が見えるところってどこだろう?
 道内ではなさそうですが…。
 会場の最後にあった、ひなびた踏切の写真もいいなあ。あと、滝川駅のプラットフォームや、冬の音威子府も、すてきです。

 個人的な感想になりますが、矢野さんの写真の美質は、「懐かしい一辺倒ではない」ことだと思います。反対に言えば、新しいものに対しても肯定的であること。
 鉄道写真って、すぐにノスタルジック万歳になっちゃいがちなんですよね。もちろん、そういう写真もいいんですけど、矢野さんは、むりに古いものをさがすんじゃないんですよね。空知の某駅の改札口とか、夕日を反射する列車とか、日常生活にとけこんでいる旅のシーンを、無理なく自然にとらえています。
 もうひとつは、欲張ってモティーフぜんぶを画面のなかに入れようとしていないこと。
 たとえば、鵜飼いについては、そのものズバリを撮るのではなく、夕暮れの船頭さんの背中をあおり気味に撮る1枚があるだけで、全体を聯想させるという手法をとっています。これは、なかなかできることではないと思います。 


07年9月20日(木)-10月2日(火)10:00-18:00(最終日-16:00)
道新プラザ・ギャラリー(中央区大通西3、北海道新聞社北一条館)

http://www.yanonaomi.net/


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見てきました (Juni)
2007-10-03 15:27:37
昨日行ってきました。
道外では、朝日新聞購読していますので、いつも矢野さんの連載を楽しみにしています。でも、写真がカラーじゃないので、カラーで見たいなあと思っていました。
スケッチブックや会場のレイアウトなども工夫されていて、楽しい時間を過ごせました。
返信する
Unknown (ebitks)
2007-10-03 21:53:54
先日は一瞬でしたがどうもでした。
翌1日のスーパーカムイ取材の後にウリュウ君と矢野さんの写真展に行ってきましたよ。
こんな質感の写真を展示していたとは意外でした!

そうそう、ヤナイさんの質問の中央の海の写真ですが、おそらく高知県のごめん・なはり線かと思われます。
今年夏取材で四国に行った時に初めて乗った路線で結構鮮明に覚えています。
感想ノートにも横レスさせてもらいました(笑)。
返信する
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-10-03 23:38:10
>Juniさま
 その節はありがとうございました。

 矢野さんの朝日新聞の連載は、札幌ではカラーですよ。
 新聞は、輪転機の導入年次によって、カラー可能なページ数が、だいぶ異なります。


>ebitksさま
 北海道撮影旅行、おつかれさまでした。
 ebiさん、「鉄」よりは「カメラマン」って感じで、ステキでしたよ。

 「ごめん・なはり線」ですかあ。
 さすが、四国全線乗ってきただけありますね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。