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昨年11月に札幌・エルプラザで開かれた「ACFフォーラム」で話題になった「札幌ビエンナーレ」計画だが、その後どうなったのか、さっぱり聞こえてこない。
実は、話は進むところは進んでいて、筆者に届いていないだけなのかもしれないが。
フォーラム自体についても、インターネット検索に引っかかるのは、感想をちらっとつづったブログがいくつかあるばかりで、記録のようなものはほとんど目にしていない。
参考になるのは、Noguchi Kohtaroさんによる次のテキストぐらいだと思う(mixiをしてない人は読めません)。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1347530139&owner_id=4610613
さて、筆者は、2006年の「FIX MIX MAX! 現代アートのフロントライン」の段階ですでに、国際芸術祭をやるんだったら早い者勝ちだ、と言っていた。
そのときは、先行しているのが、横浜、福岡、それに、越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭ぐらいしかなかったのだ(しかも、福岡はアジアに的を絞っているので、札幌とは競合しない)。
しかし、だいたいみなさん考えることはおんなじようで、近年、同様の催しはどんどん増えている。
2010年は、愛知県で開かれる「あいちトリエンナーレ」と、香川県が主体となって瀬戸内海の島々などで開催する「瀬戸内国際芸術祭」が注目を集めている。
後者は、越後妻有を仕切ってきた北川フラムさんが総合ディレクターを務める。タフな人だなあ。ことし、「水都大阪2009」と越後妻有をやったばかりじゃないですか。
□瀬戸内国際芸術祭 http://setouchi-artfest.jp/ 7月19日(海の日)~10月31日(日)
※参考 http://news.shikoku-np.co.jp/kagawa/culture/200912/20091222000092.htm
□あいちトリエンナーレ http://aichitriennale.jp/index.php 8月31日~10月31日
というわけで、結論から言うと、札幌は完全にタイミングを逸したと思う。
すでに国内だけでこれだけ多くの国際美術展が開かれ、あるいは計画されており、もはや新味のあるビエンナーレ(隔年)なりトリエンナーレ(2年おき)を開くことは非常に困難である。
あいちでも横浜でも瀬戸内でも、現代アートの世界では非常に知名度の高い作家が何人も参加しており、何年も前から準備を始めて、多くの予算をつぎ込んでいる。
(日本以外でも、韓国の光州や、シンガポールなど、アジアはこの種の催しが多い地域なのだ)
札幌でしょぼい規模の国際美術展を開いたところで、全国的・世界的には何の話題にもならず、集客も全く見込めないだろう。
大物作家のスケジュールを押さえるのであれば、2011年開催は、すでに間に合わない可能性もある。
さらに厳しい話をすれば、現代アートの世界で大物とされる作家でも、一般の知名度はおそろしく低い。
このBLOGの読者であれば、(たとえば)蔡國強やキーファーが来れば見たいと思うだろうが、普通の人は印象派や後期印象派より新しい人はほとんど知らないし興味もない。
なにか「プラス・アルファ」がないと、来場者数は期待できないだろう。
もちろん、来場者数や交流人口、経済効果というのは、そうそう短期的には期待できない。
越後妻有アートトリエンナーレの例を見ればわかるように、まちおこしに取り組んで、その先に結果として経済効果があるというぐらいの気構えでやらないと、とうていできないだろう。
だとしたら、札幌は、札幌でしかできない事業に取り組むしかない。
筆者がとっさに思いついたのは、札幌で圧倒的に知名度の高い場所・イベントは何か-ということである。
それは、モエレ沼公園とさっぽろ雪まつりである。
すでに、雪まつりにあわせてモエレ沼公園で、雪をいかしたアートのイベントが何度か実施されている。
札幌らしい事業をやるんだったら、それを発展拡大させるのが一番手っ取り早い上に、インパクトがあるのではないか。
地元の人間は雪や寒さをまだやっかい者扱いしているが、道外・海外からは、それらを目がけて札幌へ来るのだ。
札幌という街は、それ自体に魅力があるというよりも、四季を通じての自然環境や食など、周辺と抱き合わせになったときに初めてその良さをアピールしうる。
周辺自治体とスクラムを組むことも考慮する必要があるだろう。
と思ってたら、さすが越後妻有アートトリエンナーレ、もうこんなのやってるんですね。
□越後妻有2010 雪アートプロジェクト http://www.echigo-tsumari.jp/2009autumn/2001/01/post-20.html
しかも、後志管内倶知安町の磯崎道佳さんが参加するらしい。
さて、どうしますか。
(この項続く。 画像と文章は関係ありません)
過去の関係するエントリ
■札幌ビエンナーレの可能性と、アートにカネをつぎ込む意味 (2009年11月)
■「札幌をアートのマチに」 ビエンナーレ構想フォーラムのリポート、誰かやってください。(同)
■国際美術展の可能性は(2009年3月)