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佐藤賢太郎「交通安全モニュメント 風、奏でる」(北見市常呂町)

2020年08月03日 07時52分16秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 常呂に行っても多目的研修センターが閉まっていて、館内にある砂澤ビッキの彫刻が見られないので、常呂のパブリックアートを紹介するシリーズはこの記事でいったん一区切り。


 常呂町のなかでも、漁港などのある中心部よりも東側。
 網走市との境界近くの国道沿いに小公園のような土地があり、そこの一部に、円形に白い石が敷き詰められ、その中央に設置されている小ぶりな彫刻です。

 それにしても、交通事故が起きた現場に地蔵などが建立されて花がささげられている例は時折見かけますが、車が数台止められそうな土地を確保してその一角にモニュメントを設置しているのは、珍しいと思います。

 片隅に黒い石の碑文があり、その前にサッポロビールの黒ラベル缶が五つ並んでいました。
 碑文には次のように刻まれていました。

  一九九〇年八月二十三日
  この地で大きな交通事故がありました。
  一瞬のうちに若く尊い命が失われ、
  以来、現場には町や道行く人々の心温まる
  献花が絶ゆることがありませんでした。
  一周忌を迎えこのような痛ましい交通事故が
  二度と起きないようにという祈りをこめて
  この地にモニュメントを建立いたします。


 次の画像では見えませんが、この下に「ご冥福をお祈り申し上げます」という文字とともに、亡くなった5人の姓名と享年が記されています。

 このモニュメントについては、現地を訪れただけでは分かりませんでした。
 昔の北海道新聞をめくって、この5人が、ヱスビー食品陸上部のメンバーだったことを知りました。

 一行は常呂で強化合宿をしており、ワゴン車で移動中、トラックと衝突し、大きな事故になったのです。
 5人の中には、この直後に開かれるアジア大会の代表もおり、日本の長距離陸上界にも大きな損失となりました。
 瀬古利彦監督も、事故の後何度も現地を訪れているそうです。








 その事故についてはあえて碑文などには記さず、交通安全を呼びかけるだけというのも、それはそれでひとつの見識だなと思いました。

 このモニュメントに気づいた人が安全運転で北海道を走ってくれることを、あらためて祈ります。




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