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パロディ、二重の声を見て、イラストレーターの生きる道を考えた 東京2017-2(9)

2017年05月07日 08時09分00秒 | 道外で見た展覧会
(承前) 更新間隔があいて、申し訳ありません。

 冒頭画像。
 木村恒久の「ニューヨークの晩鐘」で、1981年の作である。

 これを見たとき、ほんとうに驚いた。
 2001年の事態をまるで予見しているようではないか。

 すぐれた表現は予言になりうるのだと思った。


 前項でも触れたパロディー雑誌「ビックリハウス」。
 1974~85年に出ていたというが、実は雑誌好きの筆者としては珍しいことに、一度も買ったことがなく、個人的な思い入れはほとんどない。

 ただ、ひとつ書いておきたいのは、図録の萩原朔美インタビューでも話題に上っていたが、表紙を担当していたイラストレーターの存在感の大きさが、あらためて印象的なことだ。
 エアブラシの山口はるみをはじめ、湯村輝彦、原田治、ペーター佐藤といった面々は、いまも表紙を見れば「ああ、あの人」と思い出すぐらいの個性を感じさせる。

 雑誌は違うが、「ぴあ」の及川正通なんかもそうだろう。

 ひるがえって、いま、そういうイラストレーターがどれだけいるだろう。

 雑誌の表紙はほとんど写真になってしまい、イラストレーターが時代の顔になる要素は、はるかに少なくなってしまったように思う。

 札幌の貸しギャラリーでは、昨今も若いイラストレーター志望者がグループ展を開いているけれど、こういう時代の移り変わりをどう考えているのだろうか。
 あんまり考えていないようにも見えるのだが…。

 別に、1980年代のようなスターになれないからイラストレーターになっても意味がないなどと言っているわけではない。
 札幌でもさまざまな画風で活動しているイラストレーターは少なくない。
 ただ、どういう仕事をどういうフィールドでやっていきたいのか、ということは、すこし考えておいてもいいんじゃないかな。志望する前に。



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2 コメント

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こんにちは (たにむらこうせつ)
2017-05-07 17:06:52
ワールドトレードセンターにはビックリです。
予見していたのでしょうか。
21世紀最初の大きなテロ。
世界は戦争に向かってゆくのかだろうか。
みんなのブログからきました。
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たにむらこうせつ様、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2017-05-07 17:20:49
制作したときは、文明の最先端と昔ながらの伝統の対比を意図したんだと思いますが、やはり2001年以降に見るとギョッとしますよね。
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