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■透明水彩展コロコニ (2015年6月2日~7日、札幌)

2015年06月06日 01時01分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 石垣渉、小路七穂子、伊藤延男、湯淺美恵の4氏による毎年恒例のグループ展も、これで9回目。

 いずれも腕こきの水彩画家・イラストレーターだけに、安心して見ることができます。ただし、水彩画展は30~50号でも大作という感じがするけれど、今回の展覧会に並んでいるのは小品ばかりです。

 おやと思ったのは、石垣さんの作品でした。
 「スコトン岬とトド島(礼文島)」は、夕日が沈む海を描いた美しい絵ですが、水面に反射する日の光は、真っ白に表現されています。また「奥尻山道」は、緑の山道をモティーフとしていますが、きらきらとした光が、アステリスク記号(*)のように、全体にちりばめられています。
 ご本人に確認したわけではないので、間違っていたらごめんなさいとしか言えないのですが、これらの表現は、あえて「写真っぽさ」を取り入れる試みのように、筆者には感じられました。
 写真というのは、決して私たちが見ているイメージそのままではなく、どこかクセがあります。しかし、写真独特の表現は、絵画や、私たちのものの見方に、逆流してきているほど定着しつつあります。たとえば、太陽光線がレンズに入ったときにできる六角形は、リアリティーを求めるときは画面から排除するのが本来なのでしょうが、今では漫画に描かれることも珍しくありません。
 石垣さんはリアルな画風ですが、写真をそのままうつしているのではなく、それを超えた地点のリアリティーを追い求めて制作を続けている画家だと、筆者は思っています。写真とは違うリアルで、あえて写真のようなリアル(強調されたハイライトの白色や、記号のように遍在する光)を導入することが、画面に変化を与えているのではないかと思うのです。

 他の出品者にもふれておきましょう。

 代表の湯淺さん。「桔梗」の花弁の透明感にハッとしました。

 小路さんは、ふだんは鉛筆のアタリを丁寧に消していますが、「エンレイソウ 春」などは、あえて輪郭線を残して、植物の存在感を際立たせています。

 伊藤さんは人物や犬、静物を大きく描いています。自画像の「己」は、ブルーブラックとおぼしきペンで頭髪やめがねを描き、重ねてきた年輪を感じさせる作品です。


2015年6月2日(火)~7日(日)午前9時~午後7時(最終日~午後5時)
札幌市資料館(中央区大通西13)

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透明水彩展 コロコニ(2008、画像なし)

□行雲流水 石垣渉 水彩画の世界 http://www.ishigaki-w.com/
□伊藤延男のスケッチ画集 http://tonsketchbook.web.fc2.com/
□小路七穂子ギャラリー http://www.photobb.net/bbs.cgi?id=22137
□湯淺美恵の水彩画廊 花明かり http://blog.goo.ne.jp/miechacha55

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