東京で見た展覧会のエントリは、じつに10月25日以来となります。
長らくさぼっていてすいません。
行動美術協会は、戦後すぐ、二科展が三分裂して発足した有力公募展。
全国の美術公募展では唯一、道内(函館)にも毎年巡回していたこと(昨年で終了)や、創立会員に道内出身者がふたりもいたこと(田辺三重松と田中忠雄)もあり、北海道から出品する人の多い展覧会です。おそらく、道内では、独立展に次ぐ勢力だと思います。
ことしも、石原佑一さん(全道展会員)が会員に推挙され、伊藤幸子さんが新人賞を受賞。新会友に、伊藤さんと、菊池章子さん、星ヱイ子さん、北村葉子さんと、4人も名をつらねています。
絵画部は抽象画が半数あまりを占め、なかなか見ごたえがありまして、筆者も何度か足を運んでいますが、国立新美術館では初めて見ました。都美術館時代よりも1段がけが増え、見やすくなったという印象があります。
北海道関係の会員といえば、矢元政行さん。
今回の「奇想都市」は、蒸気を吐き出す建物がいろいろと、赤っぽい画面に展開していますが、あのおびただしい人の群はほとんど描かれていません。
おそらく矢元さんは「公募展に年1度、完成作を出す」という所与の条件を否定するところで製作の筆を執っているのだと思うのです。
抽象の会員も健筆をふるっています。
大ベテランの大谷久子さん(東京、全道展会員)は、曲線だけで女性の根源的なエネルギーのようなものを表現。
モノクロームの硬質の画面をつくる伊藤聰さんや近堂隆志さん、自然をおおまかにとらえる三箇三郎さん、朱や茶をメーンに火山をデフォルメする橋本克豊さん…。
非抽象では、岸本裕躬さんの"壊れっぷり"が目を引きます。壊れっぷりという表現は適切ではないかもしれませんが、70代にして枯れるのではなく、自然に材を得ながらもますます型破りの画面になっています。
神田一明さん、高橋三加子さんの旭川組や、富田知子さんも力作です。
木村良さん、外山ムツ子さんの遺作も展示されていました。
このほか、会友では、小笠原実好、近藤みどり、斎藤矢寸子、佐々木治、坪野秀子、宮本翠の各氏、一般では、石川潤(北翔大在学中)、和泉よう子、菊地章子、北村葉子、佐藤静子、松木真智子、星ヱイ子の各氏の作品がありました(もし道内在住者で名前を挙げていない方がいらしたらすいません)。
さて、もちろん、道内関係者以外にも、力作は多くありました。
緊張度の高い抽象画面を構築する江見絹子や根本忠緒、深見隆、暗い色調の中の桜がさまざまなことを物語っているかのような堀研、ホームレスを通じて現代日本を問う堀田活信、架空の建築物が力強い川上伸、群像の描き方に圧倒的な筆力を見せる畑中優などなど。
でも、いちばんびっくらこいたのは、広友正嗣「ヘヴィメタ(ヘヴィメタボリック症候群)」。なんじゃ、この異様なコラージュは。画面の中に「チャック全開」とか書いてあるし(笑)。ジョン・トラボルタみたいのがいるし。でも、こんな破天荒な作品で会員になっているのだから、行動展もまだ捨てたもんじゃないと思いました。
もうひとつ、しばらく見てないうちに急変して、びっくりしたのが彫刻部。
行動美術の彫刻って、創立会員・初期の会員に、日本の戦後の抽象彫刻を代表する建畠覚造や向井良吉がいたこともあって、シャープな抽象っていうイメージがあったんだけど、ことし見たら、もうなんでもアリの「現代美術」、インスタレーションでイケイケ(古い…)になってました。
ひとりだけ挙げるとしたら会友の二宮幸司「卵型の木の輪郭」。さまざまな樹種でこしらえた卵180個を陳列した労作です。
2007年 9月19日(水)-10月 1日(月)
国立新美術館(東京都六本木)
□行動美術協会 http://www.kodo-bijutsu.jp/
長らくさぼっていてすいません。
行動美術協会は、戦後すぐ、二科展が三分裂して発足した有力公募展。
全国の美術公募展では唯一、道内(函館)にも毎年巡回していたこと(昨年で終了)や、創立会員に道内出身者がふたりもいたこと(田辺三重松と田中忠雄)もあり、北海道から出品する人の多い展覧会です。おそらく、道内では、独立展に次ぐ勢力だと思います。
ことしも、石原佑一さん(全道展会員)が会員に推挙され、伊藤幸子さんが新人賞を受賞。新会友に、伊藤さんと、菊池章子さん、星ヱイ子さん、北村葉子さんと、4人も名をつらねています。
絵画部は抽象画が半数あまりを占め、なかなか見ごたえがありまして、筆者も何度か足を運んでいますが、国立新美術館では初めて見ました。都美術館時代よりも1段がけが増え、見やすくなったという印象があります。
北海道関係の会員といえば、矢元政行さん。
今回の「奇想都市」は、蒸気を吐き出す建物がいろいろと、赤っぽい画面に展開していますが、あのおびただしい人の群はほとんど描かれていません。
おそらく矢元さんは「公募展に年1度、完成作を出す」という所与の条件を否定するところで製作の筆を執っているのだと思うのです。
抽象の会員も健筆をふるっています。
大ベテランの大谷久子さん(東京、全道展会員)は、曲線だけで女性の根源的なエネルギーのようなものを表現。
モノクロームの硬質の画面をつくる伊藤聰さんや近堂隆志さん、自然をおおまかにとらえる三箇三郎さん、朱や茶をメーンに火山をデフォルメする橋本克豊さん…。
非抽象では、岸本裕躬さんの"壊れっぷり"が目を引きます。壊れっぷりという表現は適切ではないかもしれませんが、70代にして枯れるのではなく、自然に材を得ながらもますます型破りの画面になっています。
神田一明さん、高橋三加子さんの旭川組や、富田知子さんも力作です。
木村良さん、外山ムツ子さんの遺作も展示されていました。
このほか、会友では、小笠原実好、近藤みどり、斎藤矢寸子、佐々木治、坪野秀子、宮本翠の各氏、一般では、石川潤(北翔大在学中)、和泉よう子、菊地章子、北村葉子、佐藤静子、松木真智子、星ヱイ子の各氏の作品がありました(もし道内在住者で名前を挙げていない方がいらしたらすいません)。
さて、もちろん、道内関係者以外にも、力作は多くありました。
緊張度の高い抽象画面を構築する江見絹子や根本忠緒、深見隆、暗い色調の中の桜がさまざまなことを物語っているかのような堀研、ホームレスを通じて現代日本を問う堀田活信、架空の建築物が力強い川上伸、群像の描き方に圧倒的な筆力を見せる畑中優などなど。
でも、いちばんびっくらこいたのは、広友正嗣「ヘヴィメタ(ヘヴィメタボリック症候群)」。なんじゃ、この異様なコラージュは。画面の中に「チャック全開」とか書いてあるし(笑)。ジョン・トラボルタみたいのがいるし。でも、こんな破天荒な作品で会員になっているのだから、行動展もまだ捨てたもんじゃないと思いました。
もうひとつ、しばらく見てないうちに急変して、びっくりしたのが彫刻部。
行動美術の彫刻って、創立会員・初期の会員に、日本の戦後の抽象彫刻を代表する建畠覚造や向井良吉がいたこともあって、シャープな抽象っていうイメージがあったんだけど、ことし見たら、もうなんでもアリの「現代美術」、インスタレーションでイケイケ(古い…)になってました。
ひとりだけ挙げるとしたら会友の二宮幸司「卵型の木の輪郭」。さまざまな樹種でこしらえた卵180個を陳列した労作です。
2007年 9月19日(水)-10月 1日(月)
国立新美術館(東京都六本木)
□行動美術協会 http://www.kodo-bijutsu.jp/
その時は矢元さんの作品は「ああ、あの人だ」とすぐ気がつきました。北海道からの出品結構あるのですね。
矢元さんの絵はすぐわかりますねー。さすが「たけしの誰でもピカソ」でメダルをとっただけのことはある(笑)。