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六花亭の包装紙や児童詩誌「サイロ」表紙などを手がけ、「チョッコーさん」の愛称で親しまれる坂本直行(1906~82)の生誕110年を記念した展覧会。
タブローはほとんどなく、若い頃に手がけた木版画(あの「さとぽろ」の表紙の原画もあります)のほかは、スケッチブックの素描が大半を占めています。
坂本直行は釧路生まれ。
ちなみに、祖父は坂本龍馬のおいにあたります。
旧制札幌二中(現札幌西高)から北大農学部に進み、研究生活をへて、1936年(昭和11年)に十勝管内広尾町に開拓農家として入植します。
しかし生活は厳しく、戦後は、農家をやめて筆一本の生活にうつるとともに、広尾町豊似に移住。さらに65年、札幌・宮の沢に転居します(住居兼アトリエの設計は田上義也)。
今回の展覧会は、若い頃から、晩年に北大山岳部の登山隊代表としておもむいたヒマラヤ行までの、山の風景スケッチが多いです。
坂本直行は知名度は抜群ですが、北海道の美術史に大書されるほどの業績を挙げた大画家というわけではなく、道立美術館などで回顧展が開かれたことは一度もありませんし、作品が展示されたこと自体、ごく少ないと思います。
スケッチブックを見ても、もちろんヘタではないのですが、特別な才能のきらめきをみせているとまでは言えなさそうです。
むしろ、文章もよくしたことなどから、「近代の文人画家」とでも形容した方が適切かもしれません。
彼が世に出るきっかけとなったのは、彫刻家の峯孝がはるばる十勝の開拓地まで訪ねてきて、個展をすすめたことだと知りました。峯が彼のどこを評価したのかわかりませんが、人柄も含めたものにひかれたのかもしれません。
(峯孝は大通公園の3丁目や真駒内に野外彫刻があるなど、北海道との縁が深い彫刻家です)
また、登山愛好は、いかにも戦前の北大生らしいですね。むかしは、とくに冬は娯楽に乏しかったためか、学生を中心に山登り熱、スキー熱は、昨今よりはるかに高かったようです。
彼の死後もしばらくのあいだ山好き・スケッチ好きの関係者によって続いた「歩歩の会」などについても触れられており、北大の古き良き時代を反映した展示という感じがしました。
なお、会場には、直行が取り上げたおもな山の地図があり、これを見ると道央と道東に偏っているのですが、実際には彼は積丹の山々やピンネシリなども描いており、正確性にいささか疑問なしとしない地図のようです。
2016年11月4日(金)~17年1月9日(月)午前10時~午後5時。月曜休み(祝日は開館し、週明けの平日を休館)、12月28日~1月4日も休み
北海道大学総合博物館(札幌市北区北10西8)
・地下鉄南北線「北12条駅」から約660メートル、徒歩9分
・JR札幌駅北口から約1キロ、徒歩13分
・中央バス、ジェイアール北海道バスの高速おたる号(北大経由)、中央バス「屯田線」(01、02、04。札幌駅北口発)で、「北大正門前」から約670メートル、徒歩9分。「北大病院前」から約740メートル、徒歩10分
・じょうてつバス「南64」(札幌駅北口―真駒内本町)の「北7西8」から約530メートル、徒歩7分。本数は少なめ。市資料館やCONTEXT-Sなどから来るときの裏技
タブローはほとんどなく、若い頃に手がけた木版画(あの「さとぽろ」の表紙の原画もあります)のほかは、スケッチブックの素描が大半を占めています。
坂本直行は釧路生まれ。
ちなみに、祖父は坂本龍馬のおいにあたります。
旧制札幌二中(現札幌西高)から北大農学部に進み、研究生活をへて、1936年(昭和11年)に十勝管内広尾町に開拓農家として入植します。
しかし生活は厳しく、戦後は、農家をやめて筆一本の生活にうつるとともに、広尾町豊似に移住。さらに65年、札幌・宮の沢に転居します(住居兼アトリエの設計は田上義也)。
今回の展覧会は、若い頃から、晩年に北大山岳部の登山隊代表としておもむいたヒマラヤ行までの、山の風景スケッチが多いです。
坂本直行は知名度は抜群ですが、北海道の美術史に大書されるほどの業績を挙げた大画家というわけではなく、道立美術館などで回顧展が開かれたことは一度もありませんし、作品が展示されたこと自体、ごく少ないと思います。
スケッチブックを見ても、もちろんヘタではないのですが、特別な才能のきらめきをみせているとまでは言えなさそうです。
むしろ、文章もよくしたことなどから、「近代の文人画家」とでも形容した方が適切かもしれません。
彼が世に出るきっかけとなったのは、彫刻家の峯孝がはるばる十勝の開拓地まで訪ねてきて、個展をすすめたことだと知りました。峯が彼のどこを評価したのかわかりませんが、人柄も含めたものにひかれたのかもしれません。
(峯孝は大通公園の3丁目や真駒内に野外彫刻があるなど、北海道との縁が深い彫刻家です)
また、登山愛好は、いかにも戦前の北大生らしいですね。むかしは、とくに冬は娯楽に乏しかったためか、学生を中心に山登り熱、スキー熱は、昨今よりはるかに高かったようです。
彼の死後もしばらくのあいだ山好き・スケッチ好きの関係者によって続いた「歩歩の会」などについても触れられており、北大の古き良き時代を反映した展示という感じがしました。
なお、会場には、直行が取り上げたおもな山の地図があり、これを見ると道央と道東に偏っているのですが、実際には彼は積丹の山々やピンネシリなども描いており、正確性にいささか疑問なしとしない地図のようです。
2016年11月4日(金)~17年1月9日(月)午前10時~午後5時。月曜休み(祝日は開館し、週明けの平日を休館)、12月28日~1月4日も休み
北海道大学総合博物館(札幌市北区北10西8)
・地下鉄南北線「北12条駅」から約660メートル、徒歩9分
・JR札幌駅北口から約1キロ、徒歩13分
・中央バス、ジェイアール北海道バスの高速おたる号(北大経由)、中央バス「屯田線」(01、02、04。札幌駅北口発)で、「北大正門前」から約670メートル、徒歩9分。「北大病院前」から約740メートル、徒歩10分
・じょうてつバス「南64」(札幌駅北口―真駒内本町)の「北7西8」から約530メートル、徒歩7分。本数は少なめ。市資料館やCONTEXT-Sなどから来るときの裏技