北海道美術ネット別館

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■ローギュラート-4つの個性 (9月4日まで)

2008年09月02日 21時59分28秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 「ローギュラート」は、1983年に旭川など道北で、道展の油彩部門に出品していた若手が、勉強のために結成したグループ展。
 当初は、中央バスターミナルの2階で毎年展覧会をひらいていました。ローギュラートの名は2003年になってからつけられたもので
「RAW」
「イレギュラー」
「アート」
からの造語です。

 盛本学史(さとし)さんが抜けたため、現在のメンバーは、上川管内美深町の長岐和彦さんと、旭川の木滑(きなめり)美恵さん、斉藤順子さん、吉中博道さんの4人。道展では、長岐さんと木滑さんが会員、斉藤さんと吉中さんが会友です。

 道北では地道に活動してきた有力なグループ展ですが、札幌では、1997年の大同ギャラリーでの展覧会以来、じつに11年ぶりの開催となります。

 冒頭の画像で、正面に掲げられているのは、木滑さんの「叫び祈った」。
 舞台で踊る女優たちの群像を、光と影を強調してドラマチックに描いています。
 とくに目を引く手前右の女性は、ベネチアビエンナーレでも踊った有名な女性の、舞台での最後のポーズだそうです。しっかりと両脚を踏みしめ、顔を天に向けてなにかを呼ばわる女性の姿は、生きることの力強さを表現しているようです。

 左右の小品は「エデン」「エチュード」。
 ほかに、木滑さんにはめずらしい写実的な風景画「初夏」も展示されていました。


 つぎは斉藤さん。

           

 この作品「箱舟“森から海へ”」は、一昨年に深川のアートホール東洲館でひらかれた展覧会でも出品されており、ずいぶん長いこと飽かず眺めていた記憶があります。

           

 作品の一部を拡大してみました。

 とにかくもりだくさんにいろいろな動物や人物、街角などが配されており、しかも、大きさの比率がばらばらです。人間より小さな建物があり、その中に動物がいて、街並みがさらに小さく、舟の中にワニのいる池があって…という具合で、どこか童画のようでもあり、ちょっとふしぎで怖い世界のようでもあります。
「わたしのなかでは不自然ではないんですけど」
と斉藤さん。

 また、少女たちが白い布をかざしていることからわかるように、目に見えない風を表現したい-という考えもあるようにお見受けしました。

 ほかに「箱舟」「箱舟“きたるべきもの”」「遠い日」「チェリーヒル」。


 つづいて吉中さん。

           

 「祭壇」です。
 吉中さんは一貫して、壁とその手前の静物をモティーフにしています。
 壁があると、空間の広がりを描くのがむつかしくなりますが、そこで「空間をどう表現していくのか」が吉中さんなりのテーマのようです。
 厳密な左右対称の構図のようでありながら、ワインの瓶にさしてあるのが、左はハス、右は風車と、微妙に異なるところなどがおもしろいと思います。
 おなじ傾向の「泉」も出品。

                 

 ふだんはアクリル絵の具を用いている吉中さんが油絵に挑戦した「レニンスキー大通り」です。
 吉中さんは数年間ロシアに滞在していて、その間にモスクワの街並みに材を得たものです。
 壁を描くときはリアルなタッチなのに、この作品はやや印象派ふうの筆つかいのようです。
 片側4車線の道路とおおきな住宅団地とおぼしきビルは社会主義時代の都市計画をほうふつとさせますが、中央分離帯にならぶ広告やマクドナルドの看板が時代の変遷を物語っています。

 会場の右側の壁には長岐さんの作品がならんでいます。

           

 長岐さんは白を基調とした抽象画の「FIELD」シリーズを制作しています。
 写真が失敗ぎみで、下のほうが暗くなっているのは、すいません。


           

 10年ほど前はもっと白い部分が多かったと思いますが、近年はだいぶ色が増えてきました。
 下地の色を上から白で半ばつぶし、白の地に太い線や細い線、点線などをさまざまにちりばめています。
 その空間構築力には舌を巻かざるを得ません。


08年8月27日(水)-9月4日(木)10:00-18:00(最終日-17:00)、火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1)



・地下鉄東豊線「環状通東」駅から徒歩7分
(2番出口から、片側3車線の「環状通」を横断し、紳士服のアオキのある交叉点を右折、最初の角(本龍寺の門の前)を左折、直進)
・中央バス「本町2の1」から徒歩4分
・中央バス「本町1の2」から徒歩2分


□ローギュラートのサイト http://gallery-h.net/~rawgulart/

06年の展覧会(画像なし)
03年の展覧会


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2 コメント

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こちらこそありがとうございます (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-09-03 23:11:36
 あすでおしまいですね。お疲れさまでした。
 長岐さんは若いと思いますよ。蝶ネクタイのころからあまり変わってないように感じました(笑)。
 道展の美深展ですか。ホスト役として大変ですね。ご健康に留意されてください。

 温泉は、中洲にある施設ですね。
 美深はトロッコとか湿原とか、見どころが多いですよね。遠くてなかなかおいそれとはいけないですけど。
 そういえば、チョウザメってどうなったんですか?
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ありがとうございました (長岐和彦)
2008-09-03 21:00:04
 先日は久々にお会いできて嬉しかったです。法邑さんの、おいしい昼食をご馳走しようと思ったのですが、すでにお腹一杯とのことでしたので、珈琲だけですいませんでした。
 展示のときは法邑さんが驚くほど軽快に脚立を昇降したのだそうです。自分では気づかなかったけれど、若いですから・・・。なのに、翌日はそこかしこが痛かったのはなぜ? 
 仕事の都合でいつとは言えないですが、今度は個展のときにお会いしたいですね。
 これから、もう一枚制作します。12月に道北では初めて「道展美深移動展」がありますので、頑張らなくちゃ。温泉入浴方々いらっしゃいませんか?
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