北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

米坂ヒデノリ「啓示」 釧路の野外彫刻(43)

2016年02月01日 22時13分59秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 「釧路の野外彫刻」、まさかの3年半ぶり再開です(といっても、記事1本だけです。SHさんのブログを読むと、筆者がまだ把握していない野外彫刻が存在しているようですが)。

 この作品は、釧路出身で、北海道を代表する彫刻家米坂ヒデノリさんの作。

 釧路市役所前の庭の中にあります。 

 同じ「啓示」という題で、作りもほとんど同じ作が、洞爺湖ぐるっと彫刻公園にあるそうです(筆者未見)。
 ただし、洞爺湖のほうがはるかに大きいようで、釧路のこの作品がエスキスなのかもしれません。

 胴体部分が格子状になっているつくりから判断して、1980~90年代に米坂さんがよく取り組み、オーケストラを題材にした「頌韻」などで採用した技法である、ろう型ブロンズによるものと思われます。

 ところで、この像は誰を表現しているのでしょうか。

 「啓示」という題からは、旧約聖書「創世記」に登場するノアを思い出します。

 ご存じの通り、神はノアに方舟を造らせ、動物を一つがいずつ載せて、それ以外の生きものを洪水で滅ぼしたという話が、聖書にあります。
 この像は、神なのか、天の使いなのかわかりません。
 しかし、文明と快楽におぼれる人間たちへの警告を、両手を掲げて発しているようにも見えてきます。

 ノアの洪水といえば、もし太平洋で大地震が起きて北海道に津波が押し寄せれば、この像がたっている釧路市役所前も水面下になるということを思い出しました。


 さて「街角と道端のアート」のカテゴリーでは、札幌よりも釧路の野外彫刻の方がどういうわけか多いのです。
 おそらく釧路の方が、市街地が小さく、野外彫刻を効率的に巡りやすいという理由があるのだと思います。
 また、歩行者がごく少ないので、写真撮影がやりやすいというのも手伝っているかもしれません。

 いずれ札幌や岩見沢に数多くある野外彫刻を紹介できれば、と思っています(実際はなかなか時間が無い)。


□参考 http://twitpic.com/ecm10m
ブログ「今、出発(たびだち)の刻(とき)」 http://blog.goo.ne.jp/2014kurumatabi/e/fdf5bc83aa79e4ad4338a2c93141a86f





創作の軌跡映す彫刻30点 米坂ヒデノリさんが郷土釧路市教委に寄託


米坂ヒデノリ「凍原」 釧路の野外彫刻(27)
米坂ヒデノリ「少女の頭像」 釧路の野外彫刻(25)

彫刻家・米坂ヒデノリさんが釧路管内白糠町庶路にアトリエ(2011年8月)

米坂ヒデノリ「送り火」 釧路の野外彫刻 (18)
米坂ヒデノリ「防雪林」 釧路の野外彫刻(17)
米坂ヒデノリ「母と子」 釧路の野外彫刻(16)
大滝と洞爺湖畔へ(続き)=三松正夫像

米坂ヒデノリ個展(2006年)
米坂ヒデノリ個展(2000年)=12月13日の項




 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。