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四間道・円頓寺と鷲尾友公「MISSING PIECE」 あいちトリエンナーレ:2019年秋の旅(77)

2020年01月20日 07時54分03秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 「円頓寺の夕暮れ : 2019年秋の旅(54)」でも紹介したので、しつこいと感じる方もおられるかもしれないが、今回のあいちトリエンナーレ2019で、ほんとに「意外な収穫」(つまり、ホー・ツーニェン作品が良かったとか、モニカ・メイヤーと藤井光が重たかったとか、そういうのとは違った方角の良さ)というか「個人的に、すっごく心地よかった」のは、「アート・プレイグラウンド」と、四間道 し け みち円頓寺えんどうじ だったので、もうちょっと写真を並べさせてもらう。

 まあ、筆者が古い建物・街並み好きというのも大きいが…。

 一昔前の小樽函館・西部地区を歩いているときの興奮を、存分に味わったのだ。
 札幌などでは、絶対に抱くことのできない感覚なのである。





 前項までで書き漏らした作品について、少しだけ追記。

 鷲尾友公「MISSING PIECE」。

 要するに壁画なのだが、この前は、連夜にわたってライブコンサートが開かれるステージになっている。

 びっくりするほど「写真撮影可」ばかりだったあいちトリエンナーレ2019で、さすがにプロのミュージシャンが登場するライブだけは「写真NG」が厳格で、その旨を書いた看板を掲げた警備員も立っていたほど。
 なので、ライブの最中は、この壁画も撮影することができないわけだ。

 ふしぎな絵だが、音楽というピースをはめこんで初めて、作品として完成するという意味なのかもしれないと思った。

 そして、この作品、トリエンナーレが終わった後は、どうなっているんだろう。しばらく残しておけばいいのに。


 岩崎貴宏「町蔵」。

 古い蔵の中が会場になっていて、一度に4、5人ずつしか入場できない大型インスタレーションだったので、あるいは会期末には、長蛇の列に、見るのをあきらめた人もいるかもしれない。

 びっしりと炭で埋め尽くされた中に、炭で作られた城などが見えて、名古屋のミニチュアみたいで楽しかった。

 しかし、空襲で何もかもが焼かれて炭化してしまったととらえることもできるわけで、ここには、歴史の重奏性のようなものが露呈しているのだといえる。

 公式サイトには

蔵の中に積み上げられた箪笥や、家具などで作られた細い通路をくぐり土間から一段上がると、炭の黒色で覆われた地平が現れます。防火のために計画された7メートルの幅の通りを由来とする四間道では、延焼を防ぐ目的で各家に土蔵を作らせたという史実が残っています。


とあった。 


 「MISSING PIECE」の前で行われている円頓寺デイリーライブはこの晩、原田珠々華というシンガー・ソングライターが登場し、ギターをつまびきながらしみじみと日常の歌を歌っている。
 足を止めて聞き入る人たちもいれば、ビール片手の人もいる。

 なかなか良い雰囲気だが、ここにいつまでもとどまるわけにはいかない。

 後ろ髪を引かれるようにして名古屋駅の方向に歩きだした筆者を、この直後に、ちょっとした災難が襲うのであった…。


(なお「秋の旅」でエンエンと書き続けてきた「あいちトリエンナーレ2019」の一連の記事は、これでひとまず終わりますが、折に触れて続報があります)




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