人間には相性があるように、食べ物にも相性がある。
相性がいい人との会話が楽しいように、相性のいい取り合わせの食べ物を食べるのは楽しい。
白いゴハンは塩っぽいものと相性がいい。
茶碗に盛ったゴハンの上に海苔の佃煮がちょこっとのっている。
もう充分においしそうだ。
ゴハンの上に納豆。
いますぐ食べたい。
逆に甘いものとゴハンの相性はよくない。
茶碗にゴハンが盛ってあってその上にアンコがのっている。
それを見ただけでうんざりする人は多いに違いない。
大抵の人は気持ち悪い、中には怒りだす人もいたりする。
だが待てよ、そういうものを食べたことがあるような気がする。
しかも、つい最近食べたような気がする。
ゴハンにアンコ…
あ、そうだ、ついこの間食べたおはぎ。
合うのよねぇ、おはぎ
ゴハンとアンコは合わない、気持ち悪い、怒るよもう、とついさっき言ったことを悔やんでいる。
アンコというものは、アンパンにしろ饅頭にしろモナカにしろ鯛焼きにしろ、みんなアンコは中に納まっているいるのが普通だ。
アンコは表立たないというのが普通であったが、おはぎはアンコ界の異端児、革命家、変質者なのであった。