蚊がなぜこの世に存在しているのかわからない。
蚊が好きな人はいるのだろうか。
いたとしたら、その人は限り無くヘンタイです。
蚊だけは絶対ダメ。
全然可愛くない。
外出して蚊に刺されるのは、ある意味敵のテリトリーに立ち入っているので仕方がないと思うのだが、家には網戸がありドアも開け放していないのに、どこからか蚊は入ってくる。
それも人が起きているときは姿を見せないで、ホッとして眠るときに「プィーン」という嫌な音が聞こえてくる。
(来やがったな)
ムカついてきて寝ながら身構えていると、その「プィーン」はだんだん大きくなり、飛びながら顔面の刺す場所を物色している気配がある。
(きーっ)
手足をバタバタさせると敵もビックリするのか、音は聞こえなくなるのだが、また少しするとあの「プィーン」が聞こえてくる始末だ。
そういうときは、とりあえずじっと耐えて、血を吸い始めて向こうが気を許したとたんに、パチッと叩き潰せばよい。
といわれるのだが、グッと我慢して叩き潰そうとすると、蚊には逃げられ血は吸われ、おまけに自分で叩いた顔が痛いという最悪な状態になる場合が多かった。
睡眠不足になるし、腹は立つし、顔面は痛いし、とにかく室内に蚊を入れないことだけを考えなければならない。
蚊を退治するグッズはいろいろと試した。
スイッチを入れると紫色の光を発し、蚊が感電死するというのがあったが、蚊に刺されるよりももっと身体に悪いような気がしてすぐに処分してしまった。
電気式の蚊除けマットを温めるのも使ったが、あまり効果がみられず、結局いちばんましなのが蚊取り線香なのだった。
日本の正しい夏の夜は、かつて美空ひばりがCMしてた「キンチョーの蚊取り線香」なのであった。