あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

季節はずれの大雪。

2017-11-12 | ガイドの現場
11月前半というのは日本ではゴールデンウィークぐらいの陽気である。
町では花が咲き乱れ、牧場では生まれたばかりの仔羊が跳ね回る。
太陽の軌道は高く、日が沈む時間は日増しに遅くなる。
気温は上がり、人々の気持ちも夏に向かっていく。
普通ならばそうなのだが、季節外れの大雪が降った。
雪になりそうだという予報が出た翌日、妙に静かな朝だと思いカーテンを開けて驚いた。
家の外は真冬のような雪の世界。
5cmぐらいも積もっただろうか。
平地でこれぐらいだから山ではどれぐらい降ったか分からない。
これが冬だったら「わあ、パウダーだ」と無邪気に喜ぶのだが、スキーシーズンはとっくに終わっている。
ルートバーンはどうなっているんだろうと思い、仕事に向かった。







町へ行く道の周りも銀世界。
美しい景色だが農家の人は大変だ。
生まれたばかりの仔羊はこの雪で死んでしまう。
この日の仕事はルートバーン1日ハイキング。
バス2台で山に向かった。
舗装路はすでに雪が無かったが、山道に差し掛かるころから道にも雪が出てきた。





森に入ると雪で倒れた木が道をふさいでいた。
そんなに大きい木ではなかったのでみんなで「よいしょよいしょ」と木を動かす。
バスは四駆ではないので、ちょっとした坂でもタイヤが滑って登れない。
お客さんに頼んでバスの後の座席に座ってもらい、後ろに過重をかけてなんとか登山道の入り口に着いた。







この前日もルートバーンを歩いたのだが、その時には小雨だったものが夜の間に寒気が入り、辺りは雪景色に変わっていた。
1日でここまで景色が変わるのが、自然相手の仕事の醍醐味だな。
すでに雪は止み、雲の間から青空も見え始めている。
天気は回復に向かっているが、木の上に積もった雪が溶け雨のように落ちる。
カッパの上下を着て歩くとまるで大雨の中を歩いているようだ。
倒れた木が道をふさいでいるのも何か所もある。
道は雪が溶けてどこもかしこも水たまり。
きれいな景色だが、歩くのは楽ではない。
結局本来の行程である山小屋にはたどり着けず、途中で引き返した。







天気が回復すると気温は上がり雪はすぐになくなる。
帰るころには平地での雪は全くなくなっていた。
この翌々日に再びルートバーンへ行ったのだが、その時には普段通りの森の姿に戻っていた。
1日限定の雪のトレッキング。
こういう仕事も良いものである。
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