あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

走りに走った

2017-03-17 | ガイドの現場

僕の仕事はガイドである。
山を歩きながらガイドすることもあれば、車を運転しながらガイドすることもある。
今回の仕事では歩きはほとんど無く、ほぼ毎日運転をしていた。
クライストチャーチに始まりクィーンズタウン、ミルフォードサウンド、マウントクック、テカポ、クライストチャーチに戻り、そこからピクトンまで。
お客さんはフェリーでウェリントンまで行くので、そこでお別れして僕はその翌日にクライストチャーチまで戻ってきた。
ざっと2600キロを6日間で走ったのである。
2600キロと言えばあーた、本州を山口から青森まで一往復できるぐらいだ。
まあこの南島の南から北まで往復したようなものなのである。
そんなに運転して疲れないか?と聞かれれば疲れるがドライブはもともと嫌いではない。
それにニュージーランドの道は日本の高速道路と違って防音壁が無い。
99.9パーセントぐらいは牧場の中を走るので景色は常に開けている。
一般道なのでそれなりに変化があるのも良い。
日本の高速道路は運転しやすいが単調でつまらないと思う。
そしてここの道はトンネルがほとんど無い。
谷間をつめていって峠を越えて谷間を降りて平野部に出る。
地形が良く見えるし、人工的に作られた道よりも、旅をしている感覚を味わえる。

今回のツアーでは普段あまり行かないピクトンまで行った。
普通ならクライストチャーチからピクトンまでは片道5時間弱。
ドライブの仕事なら充分日帰りできる距離なのだが、昨年11月の地震で主要国道の1号線が土砂崩れで閉鎖。
今は大がかりな迂回をすることになり7時間半もかかった。
迂回路も今まではそれほど交通量が多くなかったのに、いきなり大型のトレーラーが増えたからか道路の傷みがひどいのだろう。
これもかというぐらいに道路工事をやっていて、そこに大型のトラックが多いので時間は余計にかかる。
お客さんとはピクトンでお別れして、空で帰るのだが日帰りは無理なので途中で一泊せざるをえない。
普段は泊まることのないブレナムに泊まることにした。
ブレナムでは以前クィーンズタウンでガイドをしていたミチコとチェコ人の旦那のピーター、二人の家で夕食。
数年前に彼らがクィーンズタウンで結婚式をした時に呼ばれて行った時に旦那と会っている。
ブレナムと言えばワインの産地、ミチコもピーターもワイナリーで働いていて、家には美味しいワインが有り、しこたま飲ませてもらった。
次の日の早朝、道路が混む前にブレナムを出てクライストチャーチに戻った。

クライストチャーチの我が家に帰ってきて1日の休みだがやることはある。
鶏の一羽が卵が詰まってしまったのだろう、動かなくなってしまった。
卵が詰まるのは割とよくあることだそうで、たいていそのまま死んでしまう。
僕が居ない時に死んだら妻子は困ってしまうので、その鶏を締めた。
いずれにせよ、あと数か月、夏が終わったら締める予定だったので、ちょっと早くあの世へ行ってもらおう。
捌いてみたら痩せて肉はほとんど無かったのでそのままココの餌に。
内臓をみたらやはり卵が詰まっており、卵の出来損ないみたいなものの中に出来かけの殻がぎっしり重なっていた。
なるほどなこれじゃあ動けないだろうな。
生き物を飼う上で避けられないのが死との対向である。
ペットになれば名前も付けるので情がわく。
情が多ければ多いほど死による別れは辛くなる。
それが嫌で生き物を飼わない人はいるだろう。
うちの鶏は名前をつけないが、それでも毎日世話をしていれば情がわく。
それを殺すのはやはり勇気がいる行動だ。
できることなら避けたいがそれも許されない。
飼う責任というものもある。
きっちりと仕事をせねば。

その他、庭仕事をこまごまとやり家での休日は終わった。
再び僕は旅の空へ。
きっと南の方では黄葉が始まっていることだろう。
もうしばらく忙しい時期は続く。


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