あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

テレビドラマ

2014-10-10 | 日記
7月の終わりにやった親方物語のドラマが11日に放映される。
タイトルは、東京にオリンピックを呼んだ男。
1964年の東京オリンピックから50年、2020年の東京オリンピックに向けて民衆意識をそっちへ向けようという陰謀の匂いがプンプンしているようなドラマだが、そんなのはどうでもいい。
僕にとって興味があるのは、自分が関わった仕事がどのような映像になるのか、ということ。
親方物語でも書いたように、制作の現場に携わったわけでそれがどういう作品になるのか、とても楽しみである。
プールバーンのロケの時にCGの技師に話を聞いた。
予定では僕らが並べたキャベツ畑を基に、はるか彼方の山のすそまでキャベツ畑を入れると言った。
セントラルオタゴの殺伐とした茶色い大地が、広大な緑の農園になるのだと。
それはそれで面白そうだ。

ある時、親方が言った。
「オレたちの仕事ってのは何から何まであるんだよ」
仕事というのは美術班が作り上げるセットのことだが、ナルホドと思った。
ドラマのだろうがドキュメンタリーだろうが『場』となるもの。
これは現実の世界の場と同じ数だけある。
ありきたりな会社から、商店、工場、農家、市場、一般家庭、学校、病院、娯楽施設、体育館、ホール、乗り物の中、果てはヤクザの事務所まで、何から何まで。
これに現在過去未来という時間軸が加わる。
現在のものは問題なしとして、過去のものは時代設定によっても変わる。
未来なんて・・・よう分からん。
それこそ星の数ほどの現場がある。
何から何までとはそういう意味だ。
大変と言えば大変だが、面白いと言えば面白い仕事だ。
そうやって作った『場』も撮影が終われば取り壊されて跡形もなくなってしまう。
僕が夢のように感じた、あれだ。
僕の夢は親方の現実で、僕のように一々感情を移入していたらそれこそ仕事にならない。
『場』は消え去ってしまうが、映像としてそれは残る。
適当な仕事をすれば適当な、きちんとした仕事をすればきちんとした映像が残る。
パッと見は分からないようでもその筋の人が見れば分かる、なんてこともあるはずだ。
あるカメラマンが言っていた。
「自分では全く納得がいかない作品もあるけど、悲しいかな、そういう物も残ってしまう」
ナルホドね。ある意味、残酷とも言えるな。

僕が今回やったのは美術班の手伝いだが、もちろん『場』だけではダメだ。
そこで俳優が演技をして、音声とか音楽とか入り、CGとかその他よく知らんが、いろいろと編集をして一つの作品になる。
台本にはキャストや製作スタッフの名前が入っているのだが、その中でも制作班と技術班と美術班に別れている。
制作班は監督、プロデューサー、助監督、制作など。
技術班は撮影、照明、音声、編集、など。
そして美術班のセクションという項目には、美術、美術進行、大道具、組み付き大道具、装飾、持ち道具、衣装、メイク、かつら、特殊メイク、とこれだけの仕事がある。
名前の出てる人の数で24名。
知っている名前は親方と娘のマルだけだ。
親方の名前がそれらの一番上に書いてある。
友達のリエコは以前、ヘアの仕事をしていたようで親方の会社を知っていた。
その業界ではかなり大きな会社のようで、そこの社長さんなんて、やはりスゴイ人らしい。
でも僕にとっては、新しく知り合った信頼できる親方なのである。



台本というものがあることは知っていたが、本物を見るのも初めてだ。
シーンの場所と番号がふってあり、シーンごとの人の動きやセリフなどが全て書かれている。
ページの下半分に文が書かれていて上半分は空白。
きっとスタッフはここに自分でいろいろ書き込み、仕事をするんだろうな。
僕の台本は一回目を通しただけなのできれいなままだ。
まあいろいろと知らない世界を経験するのは楽しくもあり、勉強にもなったし、ブログネタにもなった。
そのドラマがいよいよ放映。
できることなら日本で酒でも飲みながら見てみたかったがそれもかなわず。
でも放映後にDVDのコピーはもらえるらしい。
以前やった映画の時にはプロデューサーにコピーをもらえるか聞いたら「買ってください」と言われちゃったからな。
まあ自分の名前もエンドロールに出たので結局買ったけど。
テレビは洗脳の道具、などとテレビを目の敵にしている僕が言うのもなんだが、日本の皆さん、僕の分までテレビドラマを楽しんでね。
       
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2 コメント

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消えるもの、残るもの (Kazzy)
2014-10-12 10:23:37
>「そうやって作った『場』も撮影が終われば取り壊されて跡形もなくなってしまう。僕が夢のように感じた、あれだ。」

ですよね。私とカミさんが、演劇をしてたことは言ってましたっけ? バラしが終わって空になった舞台と客席。様々な大勢の人が関わり、熱っぽく濃密だったあの時間と空間の痕跡はどこにもない。儚い夢のようだな、と私も思いました。同時に、ここであったことは一生消えない記憶になる、そう確信してました。

ヘッジさんは、これからもそういう記憶を重ねていけるんです。贅沢な人生ですよ。
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Unknown ()
2014-10-13 17:21:46
Kazzyさん

演劇ですか?知りませんでした。
撮影と又違う、演者と観客のライブ感というものがあるんでしょうね。
こんどゆっくりお話を聞かせてください。
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