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コミュニケーション力アップ

2020-12-12 | わかりやすい表現
コミュニケーション力アップ

 

●対面から遠隔へ
 音声を媒体にしたコミュニケーションは、文字を媒体にしたものと比べると、使いやすいのですが、それだけに信頼性は低くてすぐ誤ります。ただ、誤ってもすぐに訂正できますので、便利です。
 この便利さが、音声コミュニケーションの多彩な形態を生み出してきました。ちなみに、この多彩さは、対面から遠隔へと移動しつつあるのが、高度情報化社会の特徴の一つです。その問題点、とりわけ子どものコミュニケーション・スキルの劣化については、これまで随所で指摘してきました。

●知識をスキルに
 その時、その場で発生するのが、音声コミュニケーションの特徴です。相手から発信される情報を瞬時に処理して、自分の思いをこれまた瞬時に言葉として表現する必要があります。この一連の過程は、ほとんど無意識に自動的に行われます。。
 したがって、いくらこうした本を一生懸命に読んで知識を蓄えても、いざという時に使えないのではないかと疑問を持たれるかもしれません。
 知識を蓄えるだけなら、確かにその通りです。知識を力に変えるためには、もう一つ、努力が必要になります。それは、知識を意識して使ってみることです。このスキルを使ってみようと意識して使い、その使い方の巧拙を自己評価してみることです。そして、それを反復して試みていると、やがて意識せずとも自然にそれができるようになってきます。こうなったら、知識が力になったことになります。これを知識の手続化と呼びます。
コミュニケーション・スキルに限りません。いかなるスキルの習得も、こうした手順を踏みます。これをしないと、多くの知識は宝の持ち腐れになってしまいます。

●コミュニケーションは相互作用
 これは、とりわけ子どもの方に言いたいことなのですが、コミュニケーションは、相互作用の賜物だという認識を持つ必要があります。
社会心理学のおもしろい実験を一つ紹介してみます。
教室で、先生が講義を始めます。サクラとなっている学生は、先生の話を熱心に聴いているふりをします。先生は、熱弁をふるいます。途中から、サクラの学生は、不熱心な聴講態度になります。そうすると、先生のほうも、次第に熱意のない講義になっていきます。
  この実験は、コミュニケーションが相互作用の賜物であることを如実に示しています。対面コミュニケーションでも、まったく同じようなことが発生しているのは言うまでもありません。
 このことをお互いが認識していれば、コミュニケーションの場は、良質なものになるはずです。しかし、相手が子どもではそうもいきません。そこで、聴き方力が試されることになります。子どもから話を引き出す力ですね。これがうまくいくと、子どもとのコミュニケーション場が活き活きとしたものになるはずです。
 そして、その相互作用のベースが子どもへの愛だと思います。
 歯の浮いたような表現になりますが、愛さえあればすべて解決とはいきませんが、それなくしては、いかなるスキルも砂上の楼閣です。

●音声言語は知と情の合成物
 音声言語には知的な面と情的な面とがあります。人の名前を呼ぶ時でも、そこにいくらでも情を込めることができます。短く強く呼べば、それは叱責になりますし、ゆったりと呼べば、それは親しみになります。
 情的な面は、もっぱらパラ言語(抑揚やポーズなど)が担います。知的な面は、ある程度は、意識的にコントロールできますが、パラ言語は気持ちを無意識のうちに反映したものになります。それも前述したような訓練によって、スキルアップできますが、基本はポジティブな気持ちだと思います。明るく、元気に、相手にぜひこのことを伝えたいとの気持ちだと思います。この気持ちさえあれば、すべて解決と言いたいところですが、やはり「何をいかに話すか」という知的な面も必要です。

●TPOに応じて
 昔、ラジオ番組に出演したことがあります。アナウンサーと2人で、時間について語る軽い番組です。プロデューサーは、気楽に本番で思い付いたことを語ってくださいとは言うものの、そんな芸当はできないだろうなーと思いつつスタジオに入りました。対談が進行するうちに、次第に緊張もとれたのだと思いますが、台本とは違った話がどんどん出来るようになりました。
 コミュニケーションとはまさに相互作用なり、そして、TPO(Time,Place,Occasion)なりを体験しました。
 音声コミュニケーションは、準備万端でもその筋書き通りにはなりません。その時、その場の雰囲気があります。それに思いをはせて準備することも大切ですが、それでも思いとは違ったものがコミュニケーションの現場にはあります。自分の経験でもこんなことがありました。
・聴衆の数が100名くらいと言われたが、行ってみたら20名だった。
・あらかじめ送付しておいたパワーポイントが使えない会場なのに、そのことが現場にいくまでわからなかった。
 それでもなんとか切り抜けました。TPOに応じたコミュニケーションができるようになれば、一人前ということでしょうか。

●あたなたのコミュニケーション力をチェックしてみよう
 コミュニケーション力の要素技術や基本的な観点を取り上げてみました。2-1)文章表現力アップ以外はいずれも、もっぱら子どもとの対面でのコミュニケーションを想定してみました。前半はもっぱら音声言語を使ったコミュニケーション(話し方、聴き方、説得)、後半は、非言語的コミュニケーション(見た目、視線、ジェスチャー)について考えてみました。
 何度も述べたことですが、これら6つのテーマはコミュニケーションの現場では一体です。いずれかが欠ければ、十全なコミュニケーションにはなりません。
 みのもんた氏のようなコミュニケーションの達人をよく観察してみてください。あるいは、身の回りにも、うまいコミュニケーションをするなーと感心させられる先生方もたくさんいるはずです。
 いずれも、ここで取り上げた6つの要素が見事に調和したコミュニケーションをごく自然に実行しているのがおわかりいただけると思います。そうした方々から盗めるものはどんどん盗んでいただき、自らのスキルとして定着させていただきたいと思います。
 さて、最後の最後です。
あなたのコミュニケーション力をチェックするリストを挙げておきます。やや長いチェックリストですが、「サーティファイ日本語コミュニケーション能力認定試験」のテキスト((株)ウイネット「コミュニケーション技法」)から掲載許可をえたものです。そんなものを手がかりに、コミュニケーション・スキルを磨いてください。

コミュニケーション力チェックリスト
1. 自分からいつも明るくあいさつしている
2. 苦手な人でも、何とか笑顔で話しかけられる
3. 見知らぬ人にも気軽に声がかけられる
4. 人と会って話をするのが好きである
5. 話題を提供して相手やグループをリードするのがうまい
6. 相手の意見に反対するときは、遠慮なく言える
7. 自分の考えや意見は誰であってもきちんと伝えようとしている
8. わからないことはすすんで質問する
9. 物事に対して、前向き、肯定的に考えることができる
10. 話す前に内容を整理して、組み立ててから話をしている
11. 話の目的を、いつも頭に入れてから話すようにしている
12. あなたの話し方はわかりやすいと周りからよく言われる
13. 自分の考えを誰に対しても粘り強く説得できる
14. どうしても伝えたいことは必ず最後に念を押している
15. 相手に応じた言葉遣い、敬語、適切な表現ができる
16. 相手をよく見て、反応を確かめながら話すようにしている
17. 座が白けたとき、自分から盛り上げようとしている
18. 突然指名されても、話ができる
19. 反対意見でもカッとせずに、まずは受け入れられる
20. 外見、先入観で人を判断しない
21. なるべく相手の立場に立って物事を考えるようにしている
22. 思ったこと、感じたことは素直に表現できる
23. 相手の良いところに気づき、素直に口に出してほめられる
24. 自分が間違っているとわかったら、素直に謝ることができる
25. 相手の態度や表情、口調に配慮して話を聞いている
26. 相手と喜びや悲しみを共にしようと思う
27. 話すだけ、聞くだけでなくバランス良く会話している
28. とっさのときでも話せる持ちネタをいくつかもっている
29. 世の中の移り変わり、流行には敏感だ
30. 新聞やニュースから、世の中の動きを常に情報収集している






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