学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

さくら市ミュージアム「青木義雄と内村鑑三」展を観る

2018-12-22 21:14:09 | 展覧会感想
今日も冬晴れ、日中は暖かくてコートもいらないほどでした。感覚として、今年の冬は暖かい日が多いような気がしています。暖冬なのかもしれませんね。

最近、内村鑑三の『代表的日本人』を読んでいたこともあり、先日、遠出をして、栃木県さくら市のさくら市ミュージアムで開催している「青木義雄と内村鑑三」展を見て来ました。青木は明治初年生まれの地元さくら市の事業者で、若いときに内村の講演を聞いたことで私淑するようになり、以後、内村と沢山の手紙のやり取りをして親交を温めたほか、彼を栃木県に案内したり、自分の子供の名前の名付け親になってもらうなど、青木にとって内村の存在はなくてはならないもののようになっていったようです。

青木は内村を通して、キリスト教を信仰するようになったよう。展示会場には、青木が所蔵していた聖書がありましたが、使い込まれていて、赤線がものすごく引いてありました。ビジネスをするうえでの心の弱みを、キリスト教や内村に支えてもらっていたのでしょう。以前、NHKドラマに「ハゲタカ」というのがあって、IT企業のトップは毎日不安でたまらなくてオフィスに神棚を設けるケースが多いという場面があったかと記憶していますが、ビジネスでトップに立つ人は必要以上にプレッシャーを感じ、心がくじけそうになることも多々あるのかもしれません。

展覧会では、消費的人間ではなく製作的人間になれ、という熱い内村のメッセージなどもあり、青木との交流を通して、人間、内村鑑三を理解する助けになるような内容でした。自分が読んでいる本とリンクして、展覧会を観ると理解度が全く違います。予習、という、大げさなものでなくても、少しだけでも知識を身につけてから展覧会に行くとさらに深く楽しめるかもしれませんね。