保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川に架かる希望の‘虹’

2011-11-20 22:02:38 | 船頭
今日の夕方、保津川に美しい虹が架かりました。しかも二重の虹が!

秋独特の冷たい‘しぐれ雨’に誘われて保津川の両岸に架かった虹は
借景となる牛松山と奥の愛宕山をもまたぐ大きなもの。
ハッキリとした七色の美しい虹に、3度目の操船での疲れも
一気に吹き飛びました。

昨日は、激しい雨足と強風の中、増し水濁流で午後2時に川止め=運航中止へ。
1日で100艘を超す舟が流れるはずの11月の第三土曜。
船頭も嵐山からトンボ返りを繰り返し、目の回る忙しさになるはずの日。

「雨さえ降らなければ…」恨めしい気持ちで見上げた空に、今日、虹が架かる。


今年は、梅雨に台風、週末毎の雨降り…という天候不順に祟られた年でしたが、
ここにきて秋シー​ズンまで雨に‘ダメ押し’を喰らわされるとは…
意気消沈しそうになっていましたが、鮮やかな色彩の虹を眺めていると
いつまでも下を向いているばかりでは、何も変わらない。
過去は振り払い、前を向いて立ち上がろう!という気持ちが沸々と
沸き起こりました。

どんな激しい雨でも、うねるような荒波でも、
やまない雨はなく、波も穏やかになります。

そして雨の後には美しい‘虹’が出るのです。

冷たく激しい雨の日でも、来て下さるお客様がおられます。

保津川を愛する気持ち、船頭の仕事への誇りを胸に
最高のサービスを提供し、保津川へ希望の‘虹’を架けよう!

保津川に架かる虹を見上げ、思いを新たにしました。


澄んだ空と渓谷美に、船頭の心を乗せて。

2011-11-08 14:58:57 | 船頭
今朝は青く澄んだ空が広がる秋晴れです。

亀岡名物といわれる秋の朝霧も出ていないところをみると、昨夜の
冷え込みはそれほどでもなかったということか。

こんな日は秋独特のまぶしい陽光に山々が照らされるから、木々の緑に
少し色づいてきた葉が映え、奥行ある風景が見られる一日です。

今日は北海道から来られた高校生さん。

共学の学校らしいが、3隻の先頭となった私の舟には男子学生ばかりが。

本音を少し言わせてもらえば、この年頃の男子学生さんをお乗せした場合、
場を盛り上げ、楽しんでもらうのは難しいです。

歴史や自然の話をすると退屈そうだし、苦し紛れにくだらないギャクなど
発しようものなら、舟の中が凍りつき、その後の挽回はかなり厳しい。

私のやり方といえば、渓谷までは前列の生徒さんたちを中心に、何処から来たの?、
また旅行に行程は?など自分たちの事を話して貰う様にしています。
そして、その話される内容を膨らませて会話をつなげ打ち解けていける様に心掛けています。
そこに、後列からツッコミなどが入ると舟の雰囲気は一変司和やかムードです。

渓谷に入ると激しい落差のある急流や川壁スレスレコースなどのスリルある場所を
舟が通過する、その時を逃さず「前方、大丈夫か?当たるかも!」とアクション付きで煽り
無事に通過すると「セーフ!イェーイ!!」と右手を高々と突き上げる。すると
みんな、私のテンションについてきて「イェーイ!おぉ~!」と盛り上がってくれます。

ここまでくると、やはり若者たちです!自分たちで思い思いに盛り上がり、
笑い声が渓谷にこだまする楽しい船旅へとなって嵐山を目指すします。

そして時折「顔を上げて、空を見上げてごらん」
「青く澄みわたった空に、雲が綿菓子の様に浮かんでいるやろ~」
と自然の風景案内などをすると「凄い!CGみたくない?」とみんな
そのよさに気づき、感激してくれます。

伝え側の工夫ひとつで、保津川下りの魅力と保津峡の自然環境の
素晴らしさがしっかり理解され伝わるのだと感じます。

そして、降りる時は大きな拍手と元気のいい挨拶を返してくれました。

悠久の自然が広がる保津峡の景観と舟の乗り心地に支えられて
400年続いてきた保津川下りの舟ですが、その魅力をさらに
光り輝く様に磨くのは船頭の腕次第であります。

お客様に喜んで満足していただける船旅を演出できるように
さらなる勉強と創意工夫、そしてなにより‘おもてなし’の心を
高めていける様に精進してまいりたいと思います。

今日も楽しく仕事をさせて下さったお客様、どうもありがとうございました。


雨の日にも感じる自然の趣きとはたらき。

2011-11-05 21:14:40 | 船頭
さて、秋の観光シーズン最初の土・日だ!と気合を入れて家を出ると
・・・雨​・・・雨・・・。

この数週間、どうした訳か土曜日・日曜日という休日になると雨が降る・・・

屋根はあるものの、屋外観光である保津川下りにとって雨は天敵!

最大の敵を迎え、今日はどこまで​健闘できるのか?

川行が始まりました。

結局、終日、細かい雨が降り続く秋雨に見舞われました。

こんな天候状態にも拘らず予約客のキャンセルもなく、たくさんの観光客がお越し下さいました。

本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

ただ、晴天の日の土曜日に比べると約30%減は否めないです。

空模様ばかりはどうしようもありませんが「秋は雨の​日でも趣があるな~」と
感じて頂けるような「風情ある案内サービスを心掛けなければ・・・」と強く思う次第です。

自然はあらゆる天候、季節など環境にあっても、それぞれの趣きがあり、
感性を研ぎ澄ませば、その魅力に気がつくものです。

雨=悪条件・・・という固定観念を少し意識から離して、
自然のはたらきの息吹を感じてみませんか?

そのことに気づいていただけるの船頭の案内次第!

雨は明日も少し残るとのこと・・・さあ!さらなる精進あるのみだ!

‘おもてなしの心’と国際文化理解。

2011-11-01 14:11:13 | 船頭
国際間の文化の違いを相互理解することは本当に難しい。

ある観光地の会社でのお話。

そこのカフェ・コーナーである初老の男性がオレンジジュ​ースを注文された。
飲んでいる最中に不注意で、ジュースをテーブルの上にひっくり返してしまいました。

それを見ていたカフェの女性店員は中国人の方。
日本人との結婚して日本に来たそうです。

その現場をみてその女性店員は「ちゃんと自分で拭いておいてくださいね!」​と一言。

日本人の店員がびっくりして飛んできた。
「あっ、大丈夫ですよ。拭きますの気になされないで」と必死のフォロー。

拭き終えて帰ってきた日本人店員に「なんで​、そこまでするの?」と一喝。続けて
「中国では、自分のした失敗は自分で責任を持って後始末まで処理すべき!」​
「私は自分の子供たちにもその様に躾けている。子供でもできることが、
なんで大の大人にできないのか?そんなこともできないの、日本人は!」と
室内に響き渡る声でボルテージを上げたのです。

もちろんその声はジュースをこぼした男性にも聞こえています。

男性は「すいません」と詫びた後、申し訳なさそうにソソクサと退室されました。

「中国ではそうかもしれないけど、ここは日本。しかも‘おもてなし’の心を大切にする
職場​なので従ってほしい」と上司が指導すると
「そんな方針は間違っています。私​は従いません!」と強硬だ。

また仕事の時間も「9時30分からなら、その時間から始めるべき!
10分も前に出社するのがいいことなの?」と早く出社している人に疑問を呈す。


しかし、ここで勘違いしてもらっていけません。

彼女は仕事自体に対しては真面目で、ソツなくこなす人です。
なんでも本音で話すところはあるが、けして悪い人ではありません。

ただ「おかしいと思ったことは、おかしい」と言うべ​きだと主張されているのです。

日本の風習にも溶け込もうと努力もされています。

しかし、過剰ともいえる日本のサービスにはビジネスの範囲外であり
「それは仕事ではない!」という意識で、お金を払う人だからと
そんなに気を遣う必要があるのか?という中国人と日本人の意識の違いなのです。

さて、みなさんの会社にこの様な人が働かれていたら、どうなされますか?

文化の違いをが雇用問題に発展する可能性は、今後の日本では
十分に考えておかないといけませんよ。
国会に提案されている新たな「人権擁護保護法案」の整備により
文化の違いを解雇や不採用条件にすると「人種差別だ!」という声に
正当性がある時代になり、罰せられる可能性すらあります。

現場のほんの些細な異文化相互理解の難しさが、これからのグローバル化
に突入する日本社会の難しさを予感させる出来事です。

おもてなしの心という日本人が無条件で「矜持」と信じていたことが
国が違えば「過剰な行為」とみられるゆがんだサービス精神にみられる社会。

さて、あなたは受け止めますか?それとも・・・・

ちなみにその会社は寛大で「文化の違い」だとの理解もと、
特にお咎めはないということです。

※上記の写真は、当記事と直接的な関係はありません。

国民文化祭・亀岡祭りに、保津川のカッパが出現!

2011-10-30 20:57:07 | 船頭
昨日開催された国民文化祭・亀岡祭りに保津川のカッパが出現しました!

国民の文化祭にあたる「第26回国民文化祭・京都2011」が29日、
京都府下全域で一斉に開催されましたが、私達の住む亀岡市でも昨日、
その一環である「亀岡祭の宵宮」イベントが行われました。

保津川のカッパはその亀岡祭り・練り物行列の時に出現したのです。

市のメインストリートの街道には亀岡祭りの山鉾11基が集結し、その
鉾の前を亀岡で活躍する各種団体や地域の祭関係者らが一堂に会し、
それぞれの活動衣装を身に纏い、練り歩く行列に、
私も異文化交流団体「京・くろかる隊」の一員として参加。
するとその行列に突然、保津川のガタロと名乗るカッパが現れたのです。

ここで少し京くろかる隊について説明します。
同隊とは、亀岡地域在住の海外の方や海外留学生との交流を深めることで、
異文化の相互理解と語学力向上を目指すことを主な活動テーマに掲げ、
学びや観光振興等による地域活性化を推進している市民団体です。

我々の出し物行列は「ハロウィン&亀岡の妖怪」をコンセプトに集結!
子供会員である「くろかるキッズ」と一緒に、保津川のカッパも
街道を練り歩きました。

衣装は保津川下りのハンテンに作務衣下という、完全に保津川下りのPRマン
のイデタチで、沿道で見物している人たちの注目を集めていたようです。

沿道の子供達や女子中高生からは「カッパや!」「カッパ、カワイイ~」と
手を振られたり、声を掛けられたりと、凄い人気者ぶりです。

カッパもすっかり調子にノリ、手平泳ぎのポーズでアピールしたり
握手をして回ったりと大胆な振る舞いに・・・

こんな、カラフルで怪しい「くろかる隊」の仮装部隊は踊りあり、
英語での掛け声ありで闊歩続け、最後は市長以下お歴々が陣取る
本部隊の前で戦隊モノ風寸劇と亀岡音頭を踊りまくるという
周囲の度胆を抜くハッスルぶりでした。
もちろん、保津川のカッパも!

子供たちも大人も笑顔いっぱいの楽しいイベントでした!

気が付く保津川のカッパはどこにもいなくなり、姿を消していました。

市民みんなで楽しむ国文祭の賑やかさに魅かれて、陸に姿を見せた
カッパは、また再び棲家である川に戻ってしまったのでしょうか?

でも、亀岡が笑いが絶えず、活気に満ち溢れている限り、
保津川のカッパは、必ずまたみんなの前に姿を見せることでしょう。

また、いつか、どこかで再会できることを楽しみにしております。

後輩の披露宴で思う‘結婚生活の秘訣’とは?

2011-10-08 00:48:42 | 船頭
本日(いや正確には昨日)保津川下り船頭の後輩のI.R君がめでたくご婚儀を挙げられ、
その夜に東山の旧竹内栖鳳宅の「ソウドウ」で結婚披露宴が開かれました。

理事長や同僚たち5名と一緒に、私もご招待を受けて出席して参りました。

R君は船頭の若手の中心的存在で、舟の操船はもちろん船頭ブログなどWeb戦略課の
一員として活躍してくれており、400年以上続く保津川下りのこれからを担っていく
逸材であります。

このたび、生涯の伴侶を得られたことで、しっかりとした生活基盤も築いていかれることと
思いますので、益々、遊船活性化のために活躍してくれるものと期待します。

彼らの初々しい姿をみていると、もう17年も前になる自分の式のことが思い出され、
なんだかこちらが新鮮な気分に浸ることができました。

新郎、新婦の性格なのでしょう。ほのぼのとした温かい雰囲気が漂ういい宴でした。

結婚生活を続けていくと、お一人様の時には感じなかった、二人で築き育てていく
幸せや喜びを分かち合う幸せを実感することができる一方、困難やお互いの気持ちの
ぶつかり合いなど、自分の感情と向かいあう場面も少なくありません。

しかし「なにより、あなたがいればいい!」と思う、今のこの気持ちを忘れず
ふたりで乗り越えてほしいです。

そしてなにより、温かい言葉を日々話す家庭を作っていただきたい。

これは意外に大事なことで、実りある結婚生活を続けていく上で、
とても重要な‘秘訣’ともいえます。

日本の男はシャイなので、結婚すると「愛しているよ」とか「好きだよ」と
いった言葉はなかなか発しなくなりがちではないでしょうか。

「何をあらたまって」とか「言わなくてもわかっているだろ~」などと
わざわざそんなこと、声に出して言わなくてもいいのではないか?と
思いがちですが、いつも声に出すということはとても大切なことだと思っています。

その考えに至ったのは独身の時、アメリカ人女性と国際結婚して家庭円満に
暮らしておられた空手の師匠の影響が大きかったのです。
私は師匠に「結婚生活が上手くいく秘訣は?」と伺ったことがありました。
その時、師匠は「声にだして愛情表現することだよ」と話されたことが、とても
印象に残り「結婚したら、そんなことが抵抗なくいえる夫になろう」と私も
強く感じたことが思い出されます。

あれから17年。実は私は今でも実践させてもらっています。

農家の方も「作物に愛情をこめて話しけると大事さを感じて、豊作になる」
といわれます。夫婦も一緒です。
「今日のご飯は美味しかったよ!」とか「今日もきれいだよ」とか
ひとこと掛けるだけで、幸せ感が増し、温かい雰囲気に家庭が満たされます。

夫婦は言葉一つが大切。

ぜひ、参考にしてもらえたらうれしいです。

そして、末永くお幸せになってください。

おめでとうございます。


台風15号の影響で保津川が大氾濫!!

2011-09-21 09:31:22 | 船頭
台風15号の影響で保津川が避難判断水位となる大氾濫となっています。

遊船社屋が建つ亀岡保津町にも避難指示が出る模様です。

川幅が狭小部となる保津峡の谷では、6m81㎝(9時20分現在)の水位を
記録し、7mという想像を超える勢いで水位上昇をしています。

2004年の台風23号の悪夢がよみがえるほどの大氾濫です!

本当に大変なことになりました・・・・

10年に一度、何十年に一度、などと災害については語られますが
最近ではこのサイクルも早くなってきているのではないか?と感じます。

これだけ水位が上昇すると、渓谷の状態が心配です。
土砂崩れはもちろんのことですが、川岸の巨岩や川底がどのように
変わっているが大変、気になるところです。

一時も早く、雨がやみ、川の水位が減水することを祈らずにはいられませんが、
水が引いた後の川の状態がどの様になっているか、とても心配です。

2004年の時は20日近く、舟を出すことができない状態を余儀なくされたわけで・・・

近代科学文明が発達した現在において、このような自然の猛威の前には、
今も昔も変わることなく人間は、ただ、祈ることしかできません。

今は只々、この台風がこれ以上各地に被害を及ぼさないように、
そして、早く収まってくれるように、天を見上げるしかないようです。

台風通過、自然と生きる風景。

2011-09-04 15:54:37 | 船頭
昨日に通過した台風12号の影響を受け、京都の保津川も
河川水位が急激に上昇し、狭小部の渓谷内では4mを超える
危険水量になっています。

雨の峠は越えたものの、河川水量は以前、増水傾向にあります。

保津川下りは台風に伴う強風の影響もあり2日より運休とし
対岸に係留している舟も堤防裏に避難させてあります。

レッカーとトラックで係留場(川岸に浮かべ、つないである)から
舟を運びだし堤防裏の広場へ移動し避難させます。
横並びに置かれた舟は流れる舟が一艘もない様にお互いをロープで結び合い
ガードレールの柱など固定された物に巻き付け、流出を防止するのです。

「陸の置かれる舟」
この堤防裏の広場に避難され、つないである保津川下りの舟の風景は、
保津大橋がこの場所に架かって以来、保津川の増水時では
おなじみの風景になりつつあります。

水運が残るまち、流域の風景がここにもあります。

自然の猛威に対峙し、時に避難し、また壊されることがあっても
再び立ち直し、歴史をつなげてきた川流域の風景は、
自然とともに生きてきた人間の記憶の風景でもあるのではないでしょうか。

ノロノロ台風の接近に警戒下さい。

2011-09-02 15:23:51 | 船頭
強い勢力を維持しながら北上している台風12号。

今夜には四国へ上陸する可能性が高くなってきました。

今日はその影響で保津川下りは運休となりました。

遊船では、今後の台風の進路を注意深く観測するとともに
舟の避難や川沿いに建つ乗船場の安全確保に務めなくてはならず
気を許すことはできません。
しかも、この台風は速度が遅く、暴風雨に長時間見舞われる恐れが
あるとのことで、河川の大氾濫やがけ崩れ等にも最大の警戒感を
高めなくてはいけません。

自転車くらいのノロノロ速度で、ゆっくりと進んでいる台風12号ですが、
保津川でも徐々に風雨が強まりつつあり、大きく揺れる山の木々の姿を見ると
台風が確かにこちらに接近し向かってくるのを感じます。

報道によると、台風のノロノロ速度の原因は、日本の東の海上から
張り出している高気圧の影響らしく、高気圧からの風の吹き出しに押され
台風の進路を遮るため、迂回ルートとして四国→日本海へ抜ける動きをしているらしい。
また、台風を押し流す「偏西風」が日本から北の方へ離れてしまったために
早い風に乗れなかったことも影響しているそうです。

このように自然の条件的には悪い状況で列島上陸の可能性が高まった今回の台風12号。

はたして2004年の台風23号の悪夢が保津川を襲うことのないように…祈ります。

これからの台風の状況にとても憂慮する次第です。

自然の猛威を侮ってはいけません!

皆様も十分、お気を付け下さい。