保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

水を司る神が鎮座する貴船神社で「貴船祭」が催されます。

2009-05-31 21:15:47 | 京都情報
明日1日(月曜日)に、京都左京区の貴船神社で「貴船祭」が催されます。

貴船神社のある「貴船」は洛北の奥深い谷間、賀茂川の源流が湧く所で、
「平安の水」の聖地といわれ、治水関係者や農家、醸造業に飲食業、航海者など
水に関わる商売の人々から厚い信仰をうけ、その崇敬は日本全国に及び約450社
の分社があります。

その貴船祭は貴船地域の人々や参詣者の家内安全と無病息災を祈願し催されるもの
で、貴船神社で行われる最大のお祭りです。
祭は祭典から能奉納の後、新緑が美しい木立の中を神輿がお囃子の調べにのり、
本宮から奥宮まで氏子が住む貴船町内を巡幸します。
特に「出雲神楽」奉納は「ヤマタノオロチ退治」伝説の舞の中で、
本当に口から火を吹く迫力ある演舞は一見の価値あり!です。

祭神のタカオカミ神は、水を司る神様、特に雨乞いや雨封じの神様として信仰され
、儀式の中で、晴れを祈願するときは「白馬」を雨乞いを祈願する時は「黒馬」を
奉納したといわれ、その後、木に馬を描き奉納する「絵馬」の発祥となった神社でもあります。
とても古い社で、創建の年代は明らかになっていませんが、社の伝説では
反正天皇の時代の創建とし、1600年の歴史があると云われています。

「貴船(きぶね)」という名は、神武天皇の母である玉依姫命が、黄色い船(黄船)に乗って
淀川・鴨川・貴船川を遡り、水神を祭った地に由来し、奥宮境内には
「御船型石」が祭られています。
また、水は気の生ずる根源であり、生命の原動力である気が蘇ると元ということで
「気の産まれる根源」が転じて「気生根(きぶね)」になったとも云われています。

水は万物・生命の源であり、生活の基でもあります。
私も‘水’とともに生きる生活をする者として、是非、参拝したいと思っています。


天気一変!今年最初の「ゲリラ豪雨」が降った保津川。

2009-05-30 19:16:37 | 船頭
今日の保津川は、朝から薄曇のすっきりしない空模様でしたが、
午後になると青空が広がりまぶしい日差しが差し込む初夏のような天気へ。
川面を照らす射光で、川がキラキラと輝き、岩にぶつかりはじけ散る
水しぶきが白銀色に輝く最高の川下り日和!

と、思いきや・・・・夕方に近づくと急激に雲行きが怪しくなり、あたりは
薄暗く不気味な雲に覆われてきました。


そして午後5時の合図とともに、大粒の雨がポツリポツリと降り出したかと思うと
突然、空が光りを放ち怒り出し、激しい雨が地面をたたきつける天気に変わりました!

今年最初のゲリラ豪雨です!
東海地域に停滞していた湿った空気が吹き込み、近畿南部の低気圧が刺激されて
発生した雨雲からは、1時間に約20㍉の激しい雨が降り、保津川の水位も
1時間で約23cmもアップ。
雨水が流れ込むのに時差のある渓谷内部でも3時間で52cm(国土交通省・河川情報・発表)という大幅な増水量を示しています。

幸いだったのは、舟が嵐山に到着するまで雨雲が行っていなかったことと、
営業時間後だったことです。
お客さんが乗船頂いている時間内で、今日のようなゲリラ豪雨に遭遇すると
大変です。いくら屋根付きの舟とはいえ、強い横風も吹く「ゲリラ」と呼ばれる豪雨です。
お客さんを全く濡らすことなく操船するのは至難の業ですから。


私も家に帰宅していて、難を逃れた訳ですが、外へ出てみると前の側溝から雨水が
溢れ出し、小さな川をつくり出すなど、「ゲリラ」という名にふさわしい凄い雨でした。

天気予報によると、まだ深夜に掛けて雷をともに1時間に30ミリという激しい雨が降るおそれがあるようです。

川周辺地域では浸水害や河川の増水に十分ご注意してください。

私たちも川岸に係留している舟の管理状態に十分注意したいと思います。

不法投棄ゴミに思う、アンパンマンの心・・・

2009-05-28 22:09:51 | 保津川エコ・グリーン委員会
「人は何の為に生まれて、何をして生きるか?]

その問いに「他人や社会に役立つ人となる為」と答える漫画家のやなせたかしさん。

このメッセージを伝えたくて書いた作品が「アンパンマン」です。

アンパンマンは、お腹を空かせて泣いている子に、パンでできた自分の顔を
ちぎって与えます。
他者を助ける為に、自分の身すら犠牲にする究極の‘愛’がテーマ。

日本のいや、世界のアニメには数多くのヒーローがいますが、アンパンマンの
ようなヒーローは見当たりません
そんなやさしさが無垢な幼児たちには素直に伝わるのか?アンパンマンは
今や幼児さんを持つ家庭で絶大な支持を受けています。
そんなアンパンマンが・・・

先日、遊船に出勤しようとバイクを走らせていると、保津川の支流・雑水川の縁に
数個のゴミ袋が捨ててあるのが目に留まりました。
そのゴミは深夜にでも捨てられたのでしょうか?もう、カラスがつつき、散乱している状態でした。

早速、遊船エコ・グリーン委員長の森田孝義さんと一緒にゴミを回収に向かいました。
捨てられていたゴミの中身は、新聞紙や生ゴミ、ハンガーなどの生活ごみのほか、子供用の靴に玩具が多数、
それに使用後の紙おむつ数個までが混ざっていました。

どうやら幼いお子さんがおられる家庭から出せれたゴミのようです。

それらのゴミを回収用の土嚢袋に拾い入れようとしたところ、そのゴミ群の中から
「アンパンマン」の絵本が出てきたのです!

このゴミ投棄犯がお子さんに与えたものでしょう。
かわいい顔をして笑うアンパンマンが、私には泣いているように感じました。
人のために、社会のために奉仕する愛と勇気の使者・アンパンマンと
今、目の前に展開されている現実は対極をなし、私の心に容易にはつながらないのです。

子供は成長していく過程において、いろんな外的要素が精神に影響を与えるといいます。
その中でも、子供が最も精神的影響を受けるのは‘親’であり‘家庭環境’だといえます。

物心ついた子供の心理に影響を与えるのはもう、アンパンマンではありません。
残念ですが・・・
自らの家庭ごみを、平気で投棄して恥じない親に育てられる、子供の行く末を案じずにはいられません。
親の精神と行動は遺伝する・・・
アンパンマンが大好きな無垢な幼児が、またひとり不道徳な人間に育っていく・・・
なんとも情けなく淋しい気分になりました。

アンパンマンが世に出てもう30年が経つといわれます。
恐らく、この親御さんもアンパンマンを見て育った世代でしょう。
アンパンマンのグッズに囲まれていた世代でしょう。

アンパンマンの活躍に胸を躍らせたあの頃、パンをちぎって泣いている子にあげる
あの姿に感動した純で無垢だったあの頃をもう一度思い出してみてください。

アンパンマンの描く慈愛は「‘親’の子供への‘愛’」にほかなりません。

そして、子供さんと一緒にアンパンマンを観る事で、この作品に込められた
本当のメッセージ、人として大切なことに気付いてほしいのです。


そうすれば、このようなゴミは、この世から一切なくなる、そう信じたいのです。



「アンパンマンのマーチ」
 作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし 編曲:大谷和夫

そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
なんのために生まれて、なにをして生きるのか?
答えられないなんて、そんなのはイヤだ
今を生きることで、熱い心燃える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため
 
なにが君の幸せ、なにをして喜ぶ?
わからないまま終わる・・
そんなのはイヤだ
忘れないで夢を こぼさないで涙
だから君は飛ぶんだどこまでも
そうだ、恐れないでみんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため

時ははやく過ぎる 光る星は消える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえどんな敵が相手でも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢まもるため

JAZZシンガー・中尾まさみさんのライブに行ってきました。

2009-05-27 21:36:58 | 映画・芸能界
先日、地下鉄東西線・太秦天神川駅横にあるライブ喫茶「憧夢」で
行われた『中尾まさみ・JAZZナイト』に行ってきました。

ボーカルの中尾まさみさんは、京都を中心に活躍するJAZZシンガーで、
「チョーヤの梅酒」のテーマソングや「宝塚エリー」などのCMソングを歌って
おられ、この度、キボード奏者の隣 雅夫さん、西峰裕さんと組んで
発表した「竹田の守子唄」がな、なんと!全米ヒットチャート・ブルース部門で
最高2位に入る快挙をみせた(今現在は40位)JAZZ界期待のボーカリストさんです。

JAZZを聴くのは初めてで、詳しくはない、はっちんでしたが、
友人の俳優さん・加藤さんのお知り合いということでお誘い頂きました。

聴いているうちに、心地よいスイング感と歌声にすっかり癒され、
リラックスした気分で聴くことができました。

そして、JAZZピアノが最高でした!
演奏されている中島直さんは今年、御歳70歳。
躍動感とスピード感溢れる年季の入った演奏には脱帽しました。

なんか、これからJAZZの世界にハマリそうな予感を感じる
素敵なJAZZライブでした。


・「憧夢JAZZナイト☆」
 メンバー:中島直(ピアノ)・藤井茂(ベース)・山名正和(ドラム)
      中尾ま さみ(ボーカル)


ライブ会場となった「くつろぎのライブ喫茶『憧夢』」は、音楽好きのマスターが
手作りで建てたその名の通り「ドーム型」のライブハウス。
内装は木材調の暖かさがあり、冬のは暖炉まである凝り様です。
設備も100インチスクリーンにピアノ、ドラム、アンプ、BOSEスピーカーと
充実しており、JAZZに限らず、どんなジャンルの音楽ライブにも対応できる
つくりになっているそうです。

メニューは、昼も夜もリーズナブルな価格。バーボンにウオッカなど
お酒類も充実しており、ゆっくりとジャズを聴きながらくつろげます。

イベントはJAZZライブに限らず、各種コンサートや結婚式の2次会 、
新年会 や忘年会 、セミナーに至るまで広く使用できるようです。

また、ライブ希望者やグループもプロ・アマに限らず募集中とのこと。
我はと思わん方は是非、チャレンジしてみては?


☆くつろぎのライブ喫茶「憧夢」
住所:京都市右京区太秦下刑部町9
℡: 075-861-2040
京福電鉄嵐山線 「蚕の社」 下車 徒歩 1分
地下鉄東西線 「太秦天神川駅」下車徒歩 1分

NHK「京いちにち」にプロ保津の原田禎夫氏が生出演!

2009-05-26 08:51:32 | プロジェクト・保津川
今日26日に京都地域で放送されるNHK総合テレビ「京いちにち」に
NPO法人「プロジェクト保津川」の副代表・原田禎夫さん(大阪商業大学准教授)が生出演されます。

保津川の清掃活動やこれからのイベントについての紹介をまじえながら、
初夏の保津川の魅力について紹介していただけます。

放送時間は18:10~19:00

お時間のある方は是非、ご覧下さい。
(京都地区限定の放送になります。)

剣鉾舞う‘嵯峨祭’に遭遇しました。

2009-05-24 21:47:21 | シリーズ・京都を歩く
今日、保津川を下り嵐山の渡月橋を渡っていると、遠くから「チリン♪チリン♪」
という鈴が鳴るような音が聞えてきました。

前方を見ると渡月橋横の交差点は人だかりの山、山、山。

そう!今日は5月の第四日曜日で「嵯峨祭・還幸際」の日です。

「嵯峨祭」は愛宕山頂にある愛宕神社と野宮神社の合同の神事として催される祭で、
地名に「嵯峨」がつく嵯峨学区(京都では小学校単位で学区と呼ぶ)29町内に伝わる住民参加の祭として、天文二十二年(1552)と始まったといわれています。

祭としては「神幸祭」(第三日曜日)と「還幸祭」があり、玉串を奉納する儀式のみの神幸祭に対し
御輿や剣鉾行列が行われる還幸祭が本番となる祭です。

行列は大人御輿二基と子ども御輿二基、五本の剣鉾、稚児行列が嵯峨町内一帯を
巡行します。

3時過ぎに嵐山に着いた私たちは、ちょうどその御輿などの行列がメインとなる
渡月橋へ向かい、進んでいるところに遭遇することができたのでした。


嵯峨祭の最大の特徴はこの「剣鉾差し」行列の妙技です。
「差し手」と呼ばれる剣鉾を持つ者が、腰につけた差袋に鉾を直立させ、
左右の足を交互に跳ね上げながら、体を揺らして柄に付けた鈴を鳴らしながら
歩いて行きます。
この祭に使用する剣鉾は他の地域のそれとは異なり小型化されておらず、
昔ながらのもので、歩き方も昔のスタイルを守っているそうです。
行列はこの剣鉾差しが御輿を先導する形で進みます。、

ルートは奇数年度と偶数年度で変えて進むらしく、毎年約150人が参加する
子ども御輿二基と50人の稚児行列も加え、約千人が行列に参加します。   

私たちが遭遇した嵐山・渡月橋横の交差点付近は祭のメインストリートで、
剣鉾の差し手が力を振り絞り、体を左右にねじりながら足を上げる
パフォーマンスを見せると、沿道に集まった大勢の見物人から
大きな歓声が沸き起こりました。

この勇壮で絢爛豪華な嵯峨祭の巡行は、インフルエンザの騒動で意気消沈ぎみの
嵯峨・嵐山を地元住民みんなで盛り上げ、活気づけ様とするエネルギーを感じました。
ここにも、幾多の戦乱や危機を生き抜いてきた‘京都の力’が息づいています。


☆江戸時代には詩人・松尾芭蕉がこの嵯峨祭を見学し記載した旅記が残っていま  す。
 また、江戸後ま期の「嵯峨祭行列絵巻」が、現在はアイルランドのチェスタ一・ ビティ―美術館に所蔵されています。

インフルエンザの暗い影、保津川にもじわり・・・

2009-05-23 21:23:31 | 船頭の目・・・雑感・雑記
三日ぶりに晴れ渡り、爽やかな五月晴れとなった今日の保津川。

今年は集中豪雨もなく、近年まれにみる安定した天候が続いています。

そんな、五月の京都を突然、襲った「新型インフルエンザ」

観光のまち、京都では修学旅行を中心にキャンセル・延期が相次ぎ、
その数は約600校、約9万人に上り、前代未聞の打撃を受けています。

この非常事態に市内の観光業界からは経営支援などの対策を求める声が出され、
22日から、市中小企業支援センター(下京区)に観光業界向けの経営相談窓口
を開設など、府と連携して今後の対策を検討しています。

私たち保津川下りにもジワジワとインフルの影響が出始めています。
今日も修学旅行がすべてキャンセル、その流れは一般の団体予約にも及んできました。
今後の事態を憂慮しならが見守るしかないのが歯がゆいところです。

今回のインフルはウイルスが弱毒性の上に、通常の季節型抗インフルワクチン
も効果的があるとの発表がなされていたものの、感染者が発生すると
「新型・・・」という免疫がなく、感染力が異常に強いとの情報に、
小・中・高に加え保育園にまで一斉休校を実施し、各イベントの中止という
少し冷静さを欠いた対応と過剰な報道ぶりに、関西地方は「感染地域」
のイメージが固定化され、地域経済も大きな打撃を受けてしまいました。

この風評が拡大し、観光業を中心に地域経済に甚大な影響が出だしたことに
衝撃を受けた政府は今日「総理大臣による安全性の強調と冷静な行動」を
呼びかける緊急のテレビCMが流され事態の沈静化に向けて動き出した様ですが、
「時すでに遅し」の感は否めません。

また「安全宣言と冷静な対応」を呼びかける市や府のトップ方々も、
自らの主催も含め、街の各種イベントをすべて中止する決断を下している
ことをみると、他地域への呼びかけも、いま一つ説得力がないですね…

もちろん、急に当然変異を起すウイルスという未知の存在への警戒は緩めては
なりませんが、今回のインフル被害には、極端から極端に走るパニック的な
潔癖性やイベントそのものに原因の責任転嫁する日本的な心理作用が
働いているように思えてなりません。

私たち京都の人間はインフルが発症する前も、そして今も
いつもと変わらない生活を営んでいます。

今後とも正確な情報の把握と冷静な報道姿勢に基づいた、
具体的で効果的な対応策と行動をお願いしたいと思います。

東輝中学校・職場体験学習の講演会で話してきました。

2009-05-21 22:43:48 | 保津川下り案内
今日の午後から、地元亀岡市の東輝中学校で「職場体験学習」にともなう
事前の「講演会」が開催され、私はっちんが保津川遊船を代表し講師として
参加してきました。

近年、中学校では、実際に職場の業務を体験することで「働くこと」の
大変さや喜びを体感し、その意味を考える授業が行われています。
その中で地域の大人とコミュニケーションを図り、社会人として必要な
礼儀やマナーを学ぶのが狙いです。

職場体験学習に先がけ具体的な仕事のイメージを深めてもうら趣旨で
開催される「事前講演会」には対象となる2年生とその保護者の方々や
PTA関係者が学校体育館に集まり聴講されます。

毎年、私たち保津川遊船も地元企業の体験事業所として協力しているのですが、
事前の講演会で招かれたのは初めてのことです。

学校側から講師の私に与えられた「伝統産業を継承する仕事の厳しさとやりがい」
というテーマについて自分の思うところを講演させて頂きました。

講演会ではまず、保津川下りの仕事のフィールドなる保津川と
川下りの歴史について少し触れた後、「船頭」という仕事についての
説明とその操船技術はどの様に習得されていくのかという伝統的な
指導教育システムについて解説させてもらいました。

とはいっても相手は中学生です。
堅苦しい講演にならないように、自らの体験をもとに、やさしい言葉で
具体的なエピソードを交えながら、退屈しない話を心掛け話をしました。

特に船頭が約400年間、続けてきた新人教育システムである「師弟制度」
については詳しく話させていただきました。
観光業でありながら、職人堅気な気質を残す船頭の教育制度は、技術の習得を
目指す者の心がけが何よりも大事です。

約1年から2年の間、全くこれといった仕事出来ない新人を、担当した
2人の師匠が補いながら指導していく。ここには‘教える側’と‘教わる側’
との厚い信頼関係が築かれていなければなりません。

そのためには教わる側の姿勢・・・挨拶、返事、そして今出来る仕事を自ら探し
行うことが大切です。
その心意気を受けて教える側の師匠たちは愛情を持って、新人の世話をし、
一人前の船頭に育てていくのです。

時にはつらく、苦しいことも多々ある修業期間ですが、保津川の船頭みんなが
歩んできた‘道’で、この道を歩き一人前の船頭にならせて貰ったことなど
を話しました。

また、この講演会には今年入社した新人の山内勇樹君にも来て貰い、
今、感じている仕事への思いも語って貰いました。
緊張のせいか、やや言葉は少なめでしたが、苦しい修業の中で
見つける「やりがい」には、体験から出てくる言葉の強さを
感じさせるのに十分な内容でした。

壇上から話していると、終始、どの生徒さんも真剣な眼差しで話を
聴いてくれていて、ひとこと、ひとことに強い反応が返ってくれるのが
感じとれるとても話やすく気持ちのいい講演会でだったと思います。

講演終了後、学校関係者から「生徒たちは社会へ厳しさを求めています。その厳しさの中で、
自らを鍛え実社会に通用する人間になろうと思っています」と
生徒さんのこの職場体験にかける意気込みを聞かせていただきました。
我々もしっかりこの生徒さん方の思いを受けとめ、将来に役立つ職場体験を
提供できるようにカリキュラムを組んでいきたいと思っています。

中学校の生徒の皆さんは、保津川下りに職場体験にお越しなったら、
学校では体験できない、船頭という観光業でありながら、職人気質が
残る独特の世界で仕事を経験し、その大変さとそれにも勝る楽しさと喜び、
やりがいを感じながら、その人気の理由なども探って帰られると
面白い職場体験になると思います。そして観光業の魅力も感じて貰えれば幸いです。

*実はこの講演会に同校・中学2年生になる私の息子も聴いていたのですが、
 帰宅後「皆、お父さんの話に感動していたよ!保津川下りの体験を希望する人が いっぱいで抽選会をするらしい」
 といううれしい報告をしてくれました。
 今回、このような講演会にお招き頂き、保津川下りのことについて話す機会を
 与えて貰い、私の方こそ、とても貴重な職場体験をさせて頂いたと感謝しており ます。



虞美人草の川に浮かぶ保津川の‘花舟’

2009-05-18 20:56:35 | 保津川下り案内
文豪・夏目漱石が保津川下りに訪れた際、その体験を記した小説の名が「虞美人草」です。
この小説により、保津川下りは日本中にその名を轟かすことになりました。

この虞美人草(ぐびじんそう)・・・日本名「ケシ」また「ポピー」とも呼びます。

この保津川下りと縁深い花「虞美人草」が今、JR亀岡駅と保津川下り乗船場を結ぶロード横の田園に咲いています。

鮮やかな赤色のお花畑は、若葉がまぶしい季節に華やかな色彩を添え、川下りに訪れる人たちの目を楽しませてくれています。

ケシと聞いて想像するのが・・・麻薬アヘンを生産する花ということ。
でも、ご心配ご無用、ケシには植えてよいケシと、法律によって栽培や所持が禁止されているケシがあります。
保津の田園に植えてあるのはもちろん植えてよいケシです。

茎の部分がとても長く、その先に花が咲きます。長い茎の部分に葉っぱがないのが特長です。一本の茎に一つの花という一輪草です。

お花畑には保津川遊船がお譲りした休憩用の舟が設置されていますが、鮮やかで美しいケシの花に囲まれ、まるで`花の川に浮かぶ舟’のようです。

沈みゆく夕日に照らされケシの花畑はさらに赤を色濃くします。
自然がつくり出す風景美・・・ため息しかでません。
我がまち、亀岡のなんと美しいことか・・・このまちで生きていけることに幸せを感じる瞬間でもありました。


虞美人草(ぐびじんそう)
秦帝滅亡期の古代中国・項羽と劉邦が活躍した時代。
項羽が愛した中国歴史上の絶世の美女といわれる虞美人にたとえた花。

項羽は愛する虞妃ともに劉邦の大軍にまわりを包囲されました。

最後を覚悟した項羽は虞妃と別れの宴を開いてから出撃、虞妃も自刃して殉じました。
後日、彼女のお墓にヒナゲシの美しい花が咲いていたことから
人々はこの花を「虞美人草(ぐびじんそう)」と呼んだ。

ちなみに包囲された時、相手軍から聞えてきた歌が項羽の故郷・楚の歌であったことから
「すでに故郷の者まで敵になったのか」と自ら最後を覚悟したそうです。
このことを後に「四面楚歌」といい、孤立無援になった場合のことわざとなりました。

夏目漱石が自らの小説に「虞美人草」と名づけたのは、新しい小説のタイトル名を
決めあぐねていた時に、街角の花屋さんで「虞美人草」を見て「これにしよう!」
ということで名づけたらしく、項羽と劉邦の悲話とは全く関係ないとのことです。

保津川を覆う黒い雲・・・

2009-05-17 23:19:46 | 船頭
今日は朝から雨が降った保津川。

こんな日の保津峡は、深みを帯びてきた新緑が雨の雫に洗われ趣深い色相を出し、
また、山には靄が掛かかるなど雨の日独特の幻想的で美しい風景が広がります。

しかし、そんな風流な気分を吹き飛ばす、薄黒い大きな雨雲が上空に姿を現し、
風を伴い接近してくると、大雨がやってくる合図です。

操船する我々にも緊張感が走ります。

雨を運ぶ強い風、前方の視界をさえぎる程の雨のカーテン。
その後にやってくる川の増水。

自然とともに生きる厳しさを実感させられます。

そして今、保津川をなんとも不気味で大きな雲が覆い被さろうとする
気配を感じます。

正確な情報把握と冷静な判断、そして的確で迅速な対応・・・

自然が日々私たちに教えてくれることの中に生きるヒントがある様に感じます。

人は自然界の中で、生かされている・・・常に謙虚でありたいと思うのです。