保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

「麺七人衆・品達・どんぶり五人衆」へ。

2010-12-23 12:03:57 | おいしいもの、面白いもの発見!
東海道新幹線の停車駅として東京第二の玄関口ともいえるJR品川駅高架下に
朱色の光りを照らし、お店が軒を連ねる「麺七人衆・品達・どんぶり五人衆」

品川に全国で「最強!」と呼ばれたラーメン職人が集結し、新たな「東京伝説」
をつくるべく2004年にオープンしたフードテーマパークです。

以前から噂を聞き、訪れてみたかった東京ラーメンの聖地。

先日の東京出張の機会にやっと足を踏み入れることが叶いました。


並みいる最強店の中から、今回私が選んだのは、「せがた屋」

首都・東京にあってラーメンの一大激戦区といわれる「還七」を
制したお店です。

その他にも心惹かれるラーメン屋はいくつもあったのですが、
初来場となった今回はいわゆる「ご当地ラーメン」ではなく、
しょうゆベースの本格派の「東京ラーメン」を賞味してみたかったからです。

選んだ一品は同店一番人気の「せがた屋ラーメン」
鶏がらとゲンコツをベースに昆布や魚ダシで煮込んだスープは思ったより
濃厚でしたが、切れのある醤油タレがシャープさを引き出し、喉越しは
非常にあっさりとしています。
麺も腰のがあり食感も良で、スープによく絡み、相性もいい感じでした。
「丁寧に作ってある」のが食べるほどによくわかる、
コクはあるが「やさしい」と感じさせる味のラーメンでした。

注目は、テーブルにおいてあった玉ねぎのみじん切りのケース。

スープに混ぜると、シャキシャキ感が生まれ、さらにシャープさが増し
爽快感のあるラーメンに変身するという隠し味なのです。

もちろん、お好みに合わせて選択したいただくわけですが、
私には、一杯で二度楽しめる仕掛けはいいと感じます。

さてさて、一度に一杯しか戴けないのは残念ですが、
まだまだ、食べてみたいラーメンばかりの「麺七人衆」


再度の来京を信じて、次回の楽しみに取っておきます。



☆「麺七人衆・品達・どんぶり五人衆」
京急・JR線 品川駅下車 高輪口より徒歩1分。
※駐車場はございません。電車・バスをご利用ください。
◆〒108-0074 東京都港区高輪3-26-20 TEL.03-5475-7020
◆営業時間:午前11時~午後11時 ※店舗により営業時間が 異なります

品川でMerry Xmas!

2010-12-20 22:46:10 | PTA活動関連
今日は東京、品川に来ています。


PTA研究大会において講師に招く先生との打ち合わせのための東京出張です。


打ち合わせも、順調に終わり、品川の駅高輪口側を出ると、何人かの人が携帯のカメラを前方のホテルに合わせています。


???…周りの人につられ私も携帯を取り出し、カメラモードでホテルをフォーカス!


撮った写真を確認すると、な、なんと…
‘Merry Xmas’
の文字が!

客室の灯りで文字イルミネーションを作り出していたのです。

しかも、肉眼ではわからず、写真を撮ると文字が浮き上がるという凝った仕掛けなのです。


ホテルの遊び心と宿泊客の協力に感動です!


東京はやっぱり、おもしろい。

磨こう!親力、子どもの未来へ参戦しよう!

2010-12-14 23:19:01 | PTA活動関連
「今の時代、親がもっと勉強し、成長しないで子育てなんて無理だ…」
とは、市PTA講演会で講師の先生が仰った言葉です。

現在の社会は、私達が子どもだった頃と比較できないほどのスピードと
複雑さを含み目まぐるしく移り変わり、私達親の経験や体験が
「子育てに役にたたない」そんな時代だといわれています。

今ほど子育ての現場に、親自身の勉強が必要とされる時はありません。

そして、今、私が携わっているPTA活動の重要な柱は、
我々親自身が勉強する「機会」を提供することだと考えます。

市PTA連絡協議会では、府・市PTA組織や各関連ある公的団体との共催等で、
様々な分野で活躍する講師を招き「研修会」や「研究会」を多数開催しています。

これらの会では、専門的な知識や豊富な経験から導きだされる情報を持たれている
講師の方から「生」で具体的なお話を聴講する機会を提供しています。
講演内容も、教育、人権、環境など多岐にわたり、自身の知識や視野を広げる
ことのできる「子育てに活かせる」レベルの高い話ばかりです。

不透明で将来への手本らしいものが見つからない、こんな時代だからこそ、
同じ環境にある親同士がともに学び、情報交換しながら交流できる、そんな
場を提供していく活動をPTAが担い充実を図ることが、このまちの
子育て・教育環境をよりよくしていく‘地域のチカラ’になると思います。

親自身が現在進行形で「学ぶ」姿こそ、子どもに「学ぶ」ことの意義を知らせる
ことにつながり、会員が一丸となり、協力し合って、社会でいきいきと活動する姿が
「公のために尽くすこと」の大切さと「豊かに生きる」意味を伝える最良の教育だと信じます。

これら「学びあい、交流しあえる」機会を、その年の本部役員だけの参加行事にするのではなく、
私達役員自らが積極的な情報公開に努め、全てのPTA会員が興味のある内容の研修・研究会に
気軽に参加できる環境つくりを整備する努力と必要性を強く感じます。

そんな思いを具体的にするため、来年1月22日(土曜日)に
ガレリアかめおかのコンベンションホールを貸し切って、
市P連初のすべてのPTA会員にオープンな公開スタイルの
「市PTA研究大会」を開催いたします。

当初、「無謀では…」等など、公開研究大会に否定論のだされましたが、今では
市P連の本部役員並びに各校の理事さん方もしっかり支えてくださり、
参加者の呼びかけに汗をかいて下さっております。
私自身も今、この大会の準備に精一杯取り組んでいます。

あとは市内のPTA会員皆様方の積極的なご参加をお願いするのみです。
よろしくお願いいたします。

我々、親の子育て力を磨き、子どもの未来を築くべく、教育現場に参戦しましょう!

‘THE・SOULMATICS’クリスマスライブに行ってきました。

2010-12-13 09:35:25 | ゴスペル&ミュージック
昨夜は大阪市南港にあるライブホール「Zepp大阪」で行われた
「THE・SOULMATICS」のクリスマス・ゴスペルライブに行ってまいりました。

10月に亀岡市東輝中学校で開催した「芸術鑑賞会」にお越しいただき、
生徒さんはもちろんのこと、保護者や教職員まで感動の渦に巻き込んだ
日本最高峰のゴスペルグループ「THE・SOULMATICS」

昨日はクリスマスコンサートということでゴスペルソングのスタンダードナンバーの
ほかにディズニーソング特集が組まれる「ファンタジーナイト」なコンサートでした。

ディズニー映画のなじみの曲を演奏される時は、舞台衣装を身につけたメンバーが
登場し、実写版・ミュージカル仕立てのパフォーマンスで、会場は最高潮の盛り上がりでした。

そして、今年はなんと!ビックなサプライズが!!

ライブツアーが途中なので、まだ内緒にしておきますね。

素晴らしいプレゼントが用意された、まさに夢のクリスマスナイトとなりました。

約3時間、会場を感動で沸かすSOULMATICSのメンバーさんのライブを鑑賞しながら
「よくぞ、これだけのグループが亀岡の東輝中学に来て歌って貰えたことだ…」
と私自身、今さらながら深い感慨に浸りながらパフォーマンスを見ていました。
今回のコンサートには芸術鑑賞会以来、SOULMATICSのファンになられた
東輝中学PTAの役員さん5名もお越しになられました。

コンサート終了後はみなさん、中学校にお越しくださったSOULMATICSメンバーを
見つけ、芸術鑑賞会のお礼も含め、歓談されていました。

THE・SOULMATICSのみなさん、夢のような一夜をありがとうございました。
そして、Pのみなさん、お疲れさまでした。

「日本よい国」・・・保津川がある風景。

2010-12-11 22:43:05 | 船頭の目・・・雑感・雑記

「日本よい国」

『春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。
 自然だけではない。風土だけではない。長い歴史に育まれた
 数多くの精神的遺産がある。その上に、天与のすぐれた国民的素質。
 勤勉にして誠実な国民性。
 日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。
 だから、この国をさらによくして、みんなが仲良く、身も心も
 ゆたかに暮らしたい。
 よいものがあっても、そのよさを知らなければ、それは無きに等しい。
 もう一度この国のよさを見直してみたい。
 そして日本人としての誇りを、おたがいに持ち直してみたい。
 考え直してみたい。』

この文章は「Panasonic」松下電器工業の初代社長・松下幸之助氏が
生前にの残された文章です。

松下氏が生前、社会に奉仕する企業理念の自己実現活動として進めて
こられたPHP研究所に事務局があるNPO法人武士道協会に
行った時に教えていただいたのがこの文章でした。

この文章を読んだ時、わたしは自分の仕事場である保津川と峡谷の
自然の風景と伝統ある歴史をすぐに思い浮かべました。

美しい四季折々の自然の移ろい、朝日に照らされ輝く保津川の奔流、
400年以上の長い歴史を蓄積とそこに生きてきた船頭の生きざま
など、なんと素晴らしい自然と伝統に恵まれた場所で仕事をしているのか。

散りゆくもみじ葉のなんと儚くも美しいことか・・・

寒風吹く川面に舟を浮かべ、もくもくと舟を漕ぐ船頭の姿・・・

日本風土の素晴らしさも、日本人のしての国民的素質も、
ここ保津川には凝縮され、具現化されている。

保津川のような所が無数に存在する日本。

松下幸之助さんが仰った「よき国」は確かに今、私の目の前にある。

「よき国」の風情をかもし出す‘初冬の保津川’を是非、ご堪能ください。

船頭の竿を直し続けた、桜木の最後に思う・・・

2010-12-10 23:25:29 | 船頭の目・・・雑感・雑記
保津川下り乗船場堤防敷きに設置している船頭休憩所横の桜の木が
先日、腐食が著しいことから切り倒されました。

毎年、桜の季節になると鮮やかな花を咲かせ、訪れる人の目を和ませてくれた
この木は、船頭たちにとっても、別の意味で思い入れがある桜なのです。

保津川の船頭が使う竿。
この竿の曲がりを直す為に、使用されてきたのがこの桜の木なのです。

保津川の船頭が使う竿は真竹材。
竹やぶから切り出された時は、節から微妙に屈折しており、
真っ直ぐな竹などほとんどありません。
そのいがんだ竹の節を火で炙り、熱した後、即に節を木の又にかまし、
テコの要領で、曲がりと逆方向へ曲げるのです。

すると、今までいがんでいた節は真っ直ぐの竿に変身のです。

直した後の竿は、いがみがないので握る手も安定し、よい仕事できるのです。
職人がいい仕事をする為には、いい道具が必要です。
船頭も同じ。いい仕事をしようと思えば、いい竿を持たねばならないのです。

この‘いい竿’に直す為に、先日切り倒された桜の木が、長年に渡り
多大な貢献を果たしてきたのだ。

テコになる木の又には、長年船頭衆が、炙った節を当て続けた為、
黒く焼け焦げていました。

歴代の船頭が竿を直した桜の木。

腐食し倒木の危険はあるのかもしれませんが、これも残しておけば
保津川下り船頭の民俗歴史を現存する文化材として貴重になる時が
あったやもしれないと思うのは私だけでしょうか?
残念でありません。
腐食が進んだのも、私たち船頭が焼けた竿を押し当て続けてことに
起因しているともいえるので、桜の木が気の毒に感じられました。

私が嵐山まで下っている僅か1時間45分の間で、この桜の木は
切り倒されてしまったようです。

僅か2時間弱、保津川船頭と長年一緒に育んだ桜の木が切り倒された
時間としては、あまりにも短く、儚いものに感じました。

この堤防敷きの桜たちは、当初、来年からの河川改修工事における堤防嵩上げ工事
により、切り倒されることが、決められていたのですが、我々船頭の熱い懇願に
より、移植等の作業で生き残れることとなりました。
その流れは嬉しくありがたいことですが、一番、船頭生活に貢献した
休憩所横の桜は生き残れなかったことは、誠にもって残念至極に思います。


伝統というものは、作り上げるのには気が遠くなりそうな、膨大な時間を要しますが、
壊すのは簡単なものです。しかし、一度壊せばもう二度と戻らないのも、それが伝統です。

我々、保津川の舟下りも、長い時間と多くの先人たちの汗と涙、知恵により
400年以上の歴史と伝統を有している訳ですが、今まさに大きな変革期を
迎えようとしているこの時、時代にそぐわないことや古きものを
すべて不要なものとして破壊することの危うさを、この桜の木が身を呈して
教えてくれたのではないかと思えてならないのです。

‘死は終局を意味しない’

この桜の種が、保津峡のどこかに飛び、芽を吹き‘いのち’を
つないでいくことを信じて、感謝を述べておきたいと思うのです。

※今年、最後の開花となった休憩所横の桜木

今年も「京都・嵐山花灯路」が明日から開催されます!

2010-12-09 22:20:07 | 京都情報
初冬の嵐山・嵯峨野一帯をライトアップの灯りと花で演出する
「京都・嵐山花灯路2010」が今年も10日(金)から19日(日)までの
10日間、渡月橋を含む嵯峨野周辺で開催されます。
点灯時間は17:00~20:30。

期間中は、嵐山・渡月橋から小倉二尊院などがある奥嵯峨まで
色とりどりの趣向を凝らした「光り」と「花々」で、
美しい幻想的な「冬の京都の夜」を演出します。

奥嵯峨の竹林の小径も京情緒ある陰影な灯篭の「灯り」で照らし
散り紅葉が敷き占める路が「幻想的で趣ある路」に一変。
また渡月橋と大堰川の山裾にも大型ライトに照らされた
紫色などの光が交差し、陰陽絡まった幻想的で雄大な景色が出現。
圧倒的な光りの迫力h、観る人に感動すら覚えさせる風景が創造されます。

灯篭は渡月橋周辺と野宮神社から大河内山荘に至る竹林の散策路など
約総延長約5.2kmの散策路に約2600基が設置。
また常寂光寺など社寺仏閣の門前には大型の「いけばな」も展示されます。

天竜寺や二尊院など周辺の寺院・神社・文化施設では夜間特別拝観、
大河内山荘前では温かいお茶サービスの休憩所が設けられるなど、
歩き疲れた観光客の皆さんをやさしく癒してくれるスペースもあります。

オープニングイベントは、美空ひばり座前広場にて開催。
舞妓さんによる舞踊披露や俳優による殺陣・嵯峨中学校生徒による和太鼓で
華々しくスタートします。午後5時〜

また、渡月橋の中ノ島公園広場では学生パフォーマーが大集合!
「京炎・そでふれ」おどりなど、大学の街・京都の学生の皆さんによる
ストリートパフォーマンスを展開。歌あり、演奏あり、パフォーマンスあり
と散策の合間にお楽しみいただけます。


そして、もちろん花灯路の期間中も保津川下りは元気にを営業しております!

13日以降は冬船であるポカポカ暖房船も登場!

夕暮れの嵐山へ舟で下り、嵐山花灯路に行かれるコースは、
この時期の京都・嵐山観光の‘てっぱん’ですよ。

嵐山からトロッコ列車→保津川下り→嵐山花灯路へ。


是非、初冬の嵐山へお越しください。

人は何のために生まれ、何のために働くのか?長い思想の航海への船出。

2010-12-04 22:47:50 | 心の旅
新聞によると、2010年3月に卒業予定の大学生の就職内定率は
12月1日現在で73.1%と、就職できない大学生が
前年度比6割増の約13万人にも達し、大学卒業予定者の
4人に1人が就職できない事態となっている。
また、2009年の15歳から24歳までの失業率が平均9%を超えていることなど、
若年層の雇用状態がさらに悪化している結果を示した。

私達の保津川遊船でも毎年4~6人の新入船頭を雇用していたが、
今年は新規募集を行なわないことを決定した。

長期化する景気低迷という厳しい社会状況の中、若者の就活はまさに困難を極めているのだが、
その一方で、狭き門を通過して企業に入社したにもかかわらず、
就労環境の不一致などから早期退職する若者が再び急増するなど、
若者の雇用状態は一段と複雑さを増している感がある。

大学生の雇用に関しては、一部の大企業に集中する傾向が強く、
逆に優秀な人材確保が困難になる中小企業がでるなど雇用希望のアンバランスは是正されず、
相変わらず学生の企業ブランド志向の根強さを示している。
第一希望の企業に入社できなかった者の中には、ブランド志向と自分自身のプライド(?)からか
「ここは自分が居るべき所ではない」と早期退社する者も少ない事実がある。

「一体、人は何のために生まれ、何のために働くのか?」

日本企業と経済、そして社会の再生のために、私達国民みんなで、
もう一度その意味について深く考える必要があるのではないか?
記事を読んで強くそう感じた。

「何のために人は生まれ、何のために働くのか?」ということは
学校でも家庭でも深く教育されたことが無い日本人が殆どではないか。

このような人間としての本質に迫る問題に明確な概念や信念をもつことは、
けして軽んじてはいけない極めて大事なことと思える。

とはいえ、私自身も明確な信念を意識するまでには至ってはいない。

「なぜ、私は船頭をしているのか?仕事とは自分にとって何なのか?」
その答えを求める長い思想の旅路に船を漕ぎ出したいと思う。

戦後日本が無くした独自の豊かな精神文化を辿り、聖者や偉人が歩き悟った道を訪ねながら、
今の自分の姿と照らし合わせ「なぜ生きるか、なぜ働くのか」といった
究極の人間学を探求したい。


‘川根性’全開!はっちん船、爆弾低気圧に遭遇する!

2010-12-03 20:34:32 | 船頭
今日の保津川は前線を伴った低気圧が発達する爆弾低気圧の影響で大荒れの天気に。

その「大荒れ」の真っ最中に私はっちんの舟は、な、なんと、渓谷の川の上に浮かんでいたのです。
しかも、その爆弾低気圧と呼ばれる強風にさらされながら!

出航時は青空と太陽が照り、汗ばむほどの穏やかな陽気だったのに・・・
嵐山までの航路が半分地点を迎えた頃、上空一帯に濃いグレー色の雲が覆いだし、
川の周辺はまだ午後2時前というのに夕方のような暗さに一変。

と、突然、水面をもの凄い風が波立て、唸り声をあげながら舟へ向かってきたのです!

雨よけのテントをして運航していた舟に容赦ない雨と風が襲い掛かります。

強風に捲り上げられ三角型の雨用テントはアーチ型に膨れ上がり、
テントごと舟を吹飛ばさんばかりの勢いです。

こんな強風を受けたのは私の船頭経験上、あまり記憶にないほど勢いでした。

操船の要となる舵を持つのは私。
舟の舳先を思い切って強風の風向き方向へ舵を切ります。

高瀬舟である保津川下りの舟は船底が平らなため、横風が一番の強敵です。

風の強さでどれだけ舟が風下に流されるか、瞬時に読み、
舟一艘分しかない岩と岩の間を正確に通り抜けることが求められます。

この時ほど保津川船頭に高度な操船技術が必要とされる場面はありません。
五感すべてをフルに活動させ、体力の限りを尽くし、強風吹き荒れる難所を乗り切るのです。
しかも、乗船されているお客さんには悟られないように、顔はポーカフェイスで。

これぞ、保津川下りの船頭に400年間脈々と受け継がれてきた‘川根性’‘舟根性’です!

昨日まで艶やかな紅葉で訪れる人の目を楽しませてくれた雄大な自然が、
今日は牙を剥き猛威となって保津川の小舟に襲い掛かってくる、これが
ありのままの‘自然’なのです。

こんな時に頼りになるのは、自身の体に備わった操船技術と同じ舟に乗り込んだ船頭たちの協力だけ。
この時ほど保津川船頭として、師匠や先輩から厳しく操船技術を学び、
身に付けたことが心強く思えるときはありません。

舟を飲み込むほどの嵐は10分もすると嘘のように去り、舟が嵐山に着く頃には
曇り空の隙間から青空がのぞき、時折、太陽が射す穏やかな天候へと戻っていました。

あの大荒れの渓谷が同じ日だとは思えないほど・・・

まさに‘魔の10分’。

一時間後に出航予定だった私達の後の舟は出航目前に運航中止となりました。

それほど今日の低気圧はもの凄いものでした。

400年の歴史が生み出した保津川舟の操船技術の正確さと心を一つにして力を合わせて下った
乗り込みの船頭たちに感謝したい気持ちでいっぱいです。



12月の保津川に映る‘水鏡’を眺めながら・・・

2010-12-01 15:44:05 | 心の旅
街中を色とりどりの鮮やかさで彩った11月も終わり、今日から12月です。

燃えるような赤さで目を楽しませてくれたモミジの葉も少しづつ散りはじめ
保津川にも「過ぎ行く秋」の物悲しさを感じる季節になってきました。

徐々に静寂を取り戻していく保津川の川面には今「水鏡」が綺麗に映し出されています。


秋の低い太陽に照らされた山の風景が、川の水面にできた鏡の中に切り取られたようです。


どちらが本物の風景写真かわかりますか?


目の前に広がる一枚の水鏡の中に、本物の風景が確かに存在しているよう・・・

世界は鏡・・・

ダ・ヴィンチもシェークスピアも鏡の中に映る世界に真実の姿を見た

川面に映し出される水鏡の世界は、少しの風が吹けば壊れる儚さを見せる。
心に映し出される聖なる思いも、ざわめくすきま風で脆くも崩れていく・・・


ありのままの姿とありのまま‘でない’姿を映す鏡。

自分の心の鏡には今、何が映っているだろう?

‘まさかさかさま’

そんなことを考えながら、川底へ竿を差す・・・

12月の保津川に映し出される水鏡は、見る人の気持ちを
素直にさせてくれる不思議な‘力’があります。

師走の慌しさを暫し離れ、川に映る水鏡に、今年あった出来事や
今の自分の姿を映してみてはいかがでしょうか?


♪ 光と影と表と裏 矛盾も無く寄り添ってるよ 私達がこんな風であれたら...♪
(Bank Band with Salyu「to U」より)