保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

60年ぶりに復活!保津川筏体験記part1。

2008-09-12 18:24:16 | プロジェクト・保津川
京都府亀岡市の保津川で、60ぶりに「筏流し」を
再現するイベント「保津川筏復活プロジェクト」が
10日(水)に保津川下り乗船場対岸の河原で開催され
私はっちんも保津川の船頭10名と一緒にスタッフとして
参加しました。

私たち、保津川下りの船頭に与えられた使命は、
元筏士の指導の元、筏の製作から始め、実際に川を
流す操縦までという、同イベントの中核をなす
重要なお役目です。まさに‘花形’です。

午前9時から始まった三連筏の製作作業には、府や市の担当者を
はじめ各市民団体の方々からカメラを抱えたマスコミ各社の
記者など大勢のギャラリーの見守る中、進められました。
参加する殆どの船頭が、2週間前から予め筏製作の手順と工程、
組み立て作業の予行練習を行って参加しているのですが、
私の場合、昨年の「天若湖アートプロジェクト」の筏復元作業
以来、ほぼ一年ぶりの筏つくりです。
正直、作業に付いていけるか不安もありましたが、
記憶を頼りに現場に立つことに。

若手中心の船頭たち(私も気持ちだけは若手と思っている)は
手際よく丸太を川に浮かべて並べ、組み立て作業に掛かります。

先ずは並べた丸太を固定するため、強度の高い‘樫の木’を
横向けにあてがい、粘りのある藤と一緒に「カン」と呼ばれる
金具で一本ずつ丸太に留めていきます。

丸太同士をしっかり固定するためにはこの作業が一番大事で、
この部分が弱いと筏がばらけて大変なことになるのことわけですが
私は後に、身を持ってこのことを体験することになるのです・・・


さて、筏の製作ですが、今年81歳の保津川の元筏士酒井昭夫さんは
60年も以前にされていた作業にもかかわらず「昔とった杵柄」と
ばかりに馴れた手付きで細い藤を丸太の間に通し固定して
いかれます。細いとはいえ、結ぶには硬い藤をなんの力も
入れる様子もなく、スイスイと結ばれます。
握力の限りを尽くし、額に汗して結んでいる私にとっては
まさに‘神業’ゴットハンドです!

酒井さんに質問しながら藤を結ぶわけですが、この作業は
手を取って教えてもらえるものではなく、殆ど見よう見まねで
何度も迷い、チャレンジし、また結び直ししながら、覚える
しかないのです。

筏の組み立てに限らず現場作業は「見るより慣れろ」です!
一連目はぎこちなかった私の手つきも、三連目をこしらえる頃には
何とか結び方が理解でき、作業もスムーズになってきた様に
感じました。

今回のイベントで製作する筏は全部で六連の筏。

午後から残りの三連を地元保津小学校の児童と
南丹高校の学生も参加して製作し、最後に
三連同士をつなげて六連の筏を完成する工程。

ここからは、いくらか組み立て工程が解ってきた私たち船頭が
先生となり製作手順と作業内容を説明しながら、実際に
「カン」の打ち込みなど組み立て作業の体験してもらい、
一連づつ丁寧に三連の筏を完成しました。


さあ!いよいよ完成した六連の筏に私も乗り込み、
保津川を下り、2キロ下流の山本浜を目指すことに!

そこで、私はっちんは思いもよらぬ事態に
見舞われるのことになるのだ・・・

(つづく)