保津川下りの船頭さん

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あの頃、路地裏の子ども達へ。

2012-06-22 10:46:08 | 心の旅

「路地裏」・・・この言葉を聞くと私はいつも自分の育った街の風景を思い浮かべる。

私の育った所。

それは長い長い歴史のある街で、戦火を逃れたこともあり、家と家の間には
車も入れないような狭い「ろーじ」と呼ばれる細道がいくつもあった。

まるで迷路のようなこの道は私たち子供の格好の遊び場だった。
かくれんぼに鬼ごっこ、時にはボール遊びや秘密基地なんかも作ったりした。
車が入れないので、安心して遊べる細長の小さな公園は、子ども達にとって
いろんな「遊びの発想」が生まれる楽園だった。

ろーじには、いくつか行き止まりもあった。
鬼ごっこしていて、行き止まりに追い詰められるとその塀を乗り越え、
よそ様のお宅の脇をすり抜けて逃げたりもするむちゃぶりも。


そんな楽園だった路地裏に遊んだ子ども達もいつしか大人になり、気づく。

楽園だったその場所は、表通り・メインストリートから離れた
車も横付けできない不便な所であったことを・・・

塀を越えれなくなった子供にとって、路地裏は抜けられない「行き止まり」となった。

仲間たちと路地裏から見上げて星を数えた空は、それぞれがこの場所から抜け出すための
希望という名の遠い空へと変わっていった。

そして子ども達は、その遠い空へ手を伸ばして、この場所から旅立っていった。

夢という名の、どこまでも果てしなく続く細く長い道を求めて・・・

届かない思いにいつも胸を痛めながら・・・


「路地裏」という言葉を聞けば、今でも自分の育ったあの街の風景を思い出す。

無邪気に笑う子ども達の声が聞こえてくる。


あの頃、路地裏の子どもだった私も、夢を追い、細く長い道を歩き続けている。

いつかは行き止まりがあることを知りながら・・・

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