保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

冬の雨の日に思うこと・・・

2006-01-14 23:28:43 | 船頭
冬の保津川下りは観光シーズンの混雑がウソの
ような静かな毎日を送っています。

今年に入ってから、はっちんが仕事のあり付けた日は
な、なんと!たった4日なのです。

12月は秋の流れをそのまま、受け継ぐのでほぼ、
毎日に様に仕事があるのですが、年が明けた1月に
入ってからは、一気に集客数が減少するのです。

出航の順番が回るまで、平均3~4日はかかります。
今週は火曜日に出航して以来の仕事日となりました。

そんな貴重な仕事の日が・・・雨だったのです!

冬は、日が照る天気でも寒さは厳しい渓谷地です。
しかも今日はどしゃぶりの雨降りときています。

冷たい風が吹く渓谷をカッパを着て雨ざらしで下る約2時間。

さすがに朝、家を出る時は憂鬱な気分になったりもします。

あくまで自由出勤が原則の遊船です。
仕事に行かなくても誰にお咎めがあるわけでもありません。

「今日は、天気も川の条件も悪いので休もう~かな~」
弱気な自分が心の中で叫びだします。
「しかも冬季船だし・・・オフシーズンの‘おまけ’みたいもの~」
心の中で休む口実をいくつも並べて、自分を納得させようとします。

そんな時、もうひとりの‘強い自分’が腹の底の方からせり上がってきます。
「なに、弱気なことを!お前の仕事はこれしかないのだ!」

「どんなに天候が悪条件でも、保津川の川下りを楽しみに遠くから
お越しなるお客様がおられる限り、自分から背を向けるとは失礼だ!」
と心の中で熱く決意と覚悟を迫り吼えているのがわかります。

その通りだ!こう思い出だすとさっきまでの憂鬱な気分は晴れ、
家を出て行く足取りも心なしか軽く感じられるから不思議です。

船の準備をする為、保津大橋を歩き渡っている最中にも
身を切る様な冷たい風と横殴りの激しい雨が、カッパを着て
いるだけの自分に容赦なく殴りかかってきて心底寒く感じられます。

しかし、挫けるわけにはいきません!
全長約400mはあり、徒歩で渡りきるには10分はかかる
道中も‘強い自分’を心から離さず、自らを鼓舞しながら
一歩一歩、力強く歩いて行くのです。

おおよそ外で仕事する人なら、その日の自然条件により
似た様な事を思ったり考えたことがあると思います。

船頭もその最たるもので、実は年中いつも、
こんな気持ちと戦いながら働いているのです。
自然の悪条件化での仕事の厳しさ知りすぎているので、
その日の情景がリアルに想像でき、気持ちの未熟さを
ついつい露呈してしまいそうになります。

こんな弱い自分に出会うたびに
「自分はまだまだ精神力が練られてないな~」
と自らの精神の弱さ、未熟さを再認識します。

「雨の日には雨の日の、吹雪の日には吹雪の日の 良さある」
と感じられる感性を持てた時、初めて自然と同化し、自分が生涯
追い続ける「自然を心から愛することが出来る人間」になることが、
出来るのだと気付かされる‘冬の雨降りでの川下り’でした。

最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (自転車)
2006-01-15 00:26:30
その気持ちすごくわかります。自分の心の弱さに気付くと、落ち込んだり、いろんな葛藤がありますね。そして、自分を見つめなおすよい機会となり、またがんばれるんだと、私は思います。今年はチャレンジの年です。春に脱皮するまでもう少し、自分の弱さに負けないよう、もう少し地面に根をはるとします。
返信する
防寒グッズは? (ココア)
2006-01-15 12:53:43
今年の寒さは、外で働くものにとっては、辛い日々ですね。

と言っても私なんかは、船頭さんに比べたらまだまだ、生ぬるいです。

家を出るまでが、イヤです。

寒いかなとか、いつまでも、ウジウジしてます。

いったん家を出てしまうと、やる気も出て、お客さまから、温かい労いの言葉など頂くとうれしいです。

保津大橋は徒歩で渡ると10分もかかるのですか?

船頭さんの防寒グッズを知りたいですね。

ぜひ参考に。
返信する
冬場の落ち込み (ネロ)
2006-01-15 13:28:53
はっちん、こんにちは。



観光客数の落ち込むこの時期に、

何か手を打たないといけませんね。



私が思うに、(勝手なことを書きますが)

冬場の嵐山観光の絶対数が減少することが主因で、また

12月30日~2月末日までトロッコ列車が運休していますので、その影響も大きいのでは?

日帰り旅行で、亀岡嵐山間を往復しなければいけないタイプのお客様には、トロッコ列車がお休みなのは寂しいですね。

私も去年初めて保津川を下ったときも、亀岡まで戻るのにトロッコ列車に乗ってみたいと

思いましたよ。2回目、3回目は、保津川下りだけで十分で、JRで亀岡駅に戻りましたが。



遊船組合で、情報収集、分析されていると思いますが、何かこの時期の観光客数確保に

手を打たないと、はっちんの乗船回数もふえませんね。

うーん?もう一度、乗船客のタイプ分けをして分析してみては?

例えば、

年齢、性別、家族で、友達と、グループで来たか、居住地域、車で、観光バスで、列車で

日帰りか宿泊か、保津川下りの旅行スケジュールの中での位置づけ(亀岡から嵐山に京都方面に進むタイプか、嵐山から亀岡にさかのぼってまた嵐山に戻るタイプの客なのか)

予約客か、予約無しの客か・・・・とか





乗船客の構成を分析をすると、もしかして

この時期にだけ相対的に増加している客の

姿が見えてくるかもしれません。





わざわざトロッコ列車が運休し、紅葉も終わったこの寒い時期に来てくれる客こそ、

嵐山・保津川の観光回復のヒントを与えてくれるものだと思います。

どうして、この時期に保津川くだりに来てくれたのか、率直に聞いてみてはいかがでしょうか。何かヒントが見つかるかもしてません。





あと、船頭さんは、日誌(航海日誌)

乗船客と接して得た感想とかをメモにして持ち寄って、観光客が嵐山観光・保津川くだりに何を期待しているのか、望んでいるのかの細かい情報を遊船組合に吸い上げる作業はされているのでしょうか?





勝手なことをたらたらを書きましたが、

すいません。

返信する
自分と向き合う時間 (はかせ)
2006-01-15 14:21:43
はっちんさん!!

自分と向き合う時間って必要ですね。

今のハカセは自分と向き合う時間すらなくて、自分の生き方をあーだのこーだの考える間が欲しいです。うーーーむ。

若いうちは突っ走ったままでいいのでしょうかね??

社会人になって思うのは、俺の人生は濃いけど短いかもしれないってことです。

決して早く死ぬという意味ではなく、あっと言う間に80年、90年たってしまうような気がしております・・・・。

人は遺伝子以外に何を残せるのだろうか・・・・。
返信する
チャレンジ (はっちん)
2006-01-16 00:52:15
自転車さんへ。



チャレンジっていい言葉ですね。

日本語で‘挑戦’というより、感覚的ですが

力が湧いてきそうな感じがします。



ぜひガンバって地底深く、太い根を張り廻らせて下さい。



私も自分の根にしっかり栄養を注ぎたいと思います。
返信する
防寒グッズ (はっちん)
2006-01-16 01:01:57
ココアさんへ。



これといった特別な防寒グッズがあるわけでは

ありませんが、下着に遠赤外線(?)のシャツと

黒タイツを履きます。それと手袋はしますね~



あとはハンテンの下に「スーパスター」か「ナイキ」

のウインドブレイカーを着てます。上等の商品は

風を通しにくく、保温性にも優れているので、

いい服が買えるほどお金をかけますね。



橋はのぼりと下りがあり、渡りきり下りていくと、

河原から川までまた、距離があります。

そういう意味では本当に不便になりました。
返信する
冬の保津川 (はっちん)
2006-01-16 01:26:44
ネロさんへ。



冬の保津川下りのこと、とても心配していただき

本当にありがとうございます。



情報の分析は優秀な事務員さん方がしっかり

やって下さっているのですが、絶対的に

嵐山への観光客の数が少ないのです。



天下のJRが控えるトロッコ列車さんが

運休されるのも、冬はどうしても採算が

とれないからです。

吹雪舞い枯れた枝ばかりの渓谷地を見に

列車に乗られる人は限られており、

走らせれば走らせるほど赤字がかさみ

運休するほうが利益をを減らさないという

シビアな経営判断でしょう。



嵐山のお土産屋さんも閉めている店が多く、

東山へ移転する店もあります。



あの強力な戦略で全国に京都を売り込んでいる

市や商工会・観光協会が‘嵐山温泉’などで

冬の嵯峨嵐山を盛り上げる仕掛けをしておられる

ようですが、効果のほどはいかがでしょうか。



昔から京都の西の観光で生きる者は、一年分の稼ぎを

春、夏、秋の3シーズンで賄う、という考えのようです。



保津川に嵯峨嵐山を盛り上げるだけの力があれば

いいのですが・・・今のところ打つ手なし

というのが現状ですね。

返信する
後世に残すもの (はっちん)
2006-01-16 02:37:53
はかせさんへ。



はかせさんは、どういった記者になりたいと

思われてますか?



記者という仕事が好きですか?



それらの気持ちが大事なように思います。



記者は誰でもが出来る仕事ではないです。



記者は書いている自分の洞察力や取材能力、

知的レベルまでが公の知るところなり、時には

知らず知らずのうちに人を傷つけ、時にはマスコミ

が悪いと社会の諸悪の根源みたいに言われたりします。



でも、書き続けるのが記者です。

それは人がなんと言おうと、自分がこの仕事に

誇りと使命感を持っているからです。



今は大きな看板を掲げている新聞社同志が

凌ぎを削っていますが、最近の情報伝達システムの

進歩は新しいジャーナリズムを形成していく可能性

を秘めていると思いませんか?

もちろんこのブログもその一つでしょう。



これからは社の名前ではなく、個性のある優秀な

記者がスポットをあびる時代が必ず来ると思います。



アメリカのジャーナリズム界の様に、小さい社でも

その記者しか書けない‘世界’を持っている記者は

注目されるし、平凡な記事しか載っていない社は

凋落していくと思われます。



そんな時代の到来に備え、多くの素晴らしい人と

出会い感性を磨き、魅力ある記事が書ける力を

養う修行をされる事をオススメします。



記事には人を傷つけることもあるかも知れないが、

逆に多くの人を勇気づけたり、幸せにできる

力も十分に持っています。



そういった大勢の人達にいろんな影響を与えることが

記者には出来るのです。



それこそが自分が確かに生きていたという証になり、

また、自分が後世に残していくものになると思います。



ロマンをもって、誇りをもって、使命感に燃え

今この一瞬を‘活きて’行きましょう!

返信する
Unknown (自転車)
2006-01-16 12:40:56
あったかいお言葉ありがとうございます。今日と明日、履歴書出して、プチチャレンジ第一段です。エネルギーたくわえて頑張ります 。書類出すだけで、緊張していたので、コメントをみて元気でました。ありがとうございます。
返信する
頑張って! (はっちん)
2006-01-16 23:46:32
自転車さんへ。



プチチャレンジ、頑張ってくださいね~



どんなことでも、最初は小さなチャレンジから

始まります。



まず、アクション!を起こす事が大切ですね。



応援してます。頑張って下さい。

返信する

コメントを投稿