ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2025.1.7 エスワン2クール21日目のこと 休薬7日目 採血、心エコー後、前泊

2025-01-07 22:55:36 | 治療日記

 昨夜もブログアップ後、MSコンチンを飲んでからゆっくりと湯船に浸かった。夫も今日の出勤に備えていつもより早寝の準備だ。
 薬が効いてくる感触を得ながらベッドに入って消灯した。横になってどちらを向いても咳込みのきっかけにならない。びくびくしながら体勢を調整することなく横になれるのが本当に有難い。

 今朝は平日仕様のスマホアラームが鳴る少し前に目が覚める。まだ外は暗い。アラームが鳴って消して、ゆるゆると起きる準備。洗面を済ませ、夫とかち合わないようにリビングへ移動する。夫は既に朝食を終えている。
 夫を送り出してから洗濯機を廻す。BSと地デジの朝ドラを視ながらゆっくり朝食を摂り、洗濯物が出来上がったタイミングでタオル等の厚物は乾燥機に、それ以外は浴室乾燥にして干す。

 ふとダイニングテーブルに目をやると、なんと夫のスマホが。新年仕事始めからスマホを忘れるとは・・・今年も忘れ物大王は健在である。
 公衆電話から電話があり、今日はスマホはお休みです、とのこと。ハイ、承知しています。
 今朝も体重が減らず、なんとか41kgを保ったのでほっとする。

諸々片付け終わってからメールチェックを終え、リビングで温かくしてゆっくり過ごす。ちゃんと夜に眠れるようになったのはMSコンチンのおかげだが、朝起きても眠いし、当然11時に薬を飲んで効き始める昼過ぎからも眠い。夕方は疲れるのか、また眠い。一日中カスミがかかったままの頭で何をやってもオチがあり、確認作業が必要である。
 今の私は、巣の中で大きな口を開けながらピーピーと餌が届くのをひたすら待つ燕の雛(髪の毛の生え方も似ているかも・・・)以外の何物でもない。夫が食事を作って出してくれるのを待っているだけで、夫の分の食事を作れていないのが情けない。1人ランチは冷凍麺とフルーツで簡単に済ませ、洗濯物を畳んで仕舞う。
 
 今日は、明日の受診とそれに伴う事前検査のため病院近くのホテルに前泊。車内のお供は信田さよ子さんの「母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き」(朝日文庫)。
 帯には「『母の愛』という幻想に傷つけられてきた娘たち 母娘問題は解決することができるのか 赦しでも復讐でもない方法とは ロングセラーが待望の文庫化」とある。
 解説は三宅香帆さんが書いておられ「どれほどの娘たちが『母が重い』を言うことができなかったか。母に愛されている、期待されている、仲が良い、しかしー母が重くてたまらない。それでも、母の重さを払いのけることが出来ない。娘たちの悲鳴を、本書はすくいあげた」とあり、墓守娘(もしかすると母より自分の方が先に墓に入るかもしれないが)の一人として手に取った。電車は予定していた一台前の乗換駅始発の各駅停車。眠くてたまらないのに、本が面白くてやめられない。

 今日はお正月ということで、久しぶりに温泉、岩盤浴付きホテルを予約した。7階のダブルルームにチェックインして、いつものように荷物を置き、身軽になってから、病院に向かう。少し早く歩いただけでもすぐ息切れするので、前方だけでなく、左右を確認しながらゆっくり歩く。

 病院に到着し、受付のIDカード機を通し、採血・生理検査受付へ移動する。遅い時間なので、待合椅子は誰もいない。受付票のバーコードをスキャンしてピンクの採血受付票を取る。
 生理検査は紙の番号受付札も取らず、すぐに受付。保険証チェックも終え、採血が終わったら戻ってくるように言われる。すぐに採血室に入れた。今月は今日と月末の2回の通院なので、マーカー測定なしで2本の採血。

 今日は3人の技師さんがいらしたが、「1、2の3」のかけ声で針刺しするほっこり臨床検査技師のOさんは隣でもう1人の方を担当しておられた。私は若い技師のSさん。刺す時全く痛まず、抜く時も問題なく終了。「全然痛みませんでした。素晴らしい。ありがとうございます。」とお礼を言って採血室を後にし、止血をしながらエスカレーターで2階のレントゲン検査受付へ。こちらもバーコードをスキャン。だが、今日は検査はありません、と出る。?レントゲン撮影の日は予め無地のニットにブラトップを着て、検査着への着替えは不要にしてきたのだが、全くの思い込みで今日は採血と心エコーのみ、レントゲンは次回だった。これまたモルヒネ頭。
無駄足だったなあ、とエスカレーターで1階の生理検査受付に戻り、「採血終わりました。」と声をかけるとすぐ中待合に入るように言われる。3か月ぶりの心臓超音波検査予約時間まで20分ほど。

 中廊下の待合椅子に座りながら、文庫の頁を繰り始めていると、予約時間ちょうどに女性技師さんから名前を呼ばれた。検査着に着替え、少し薄暗い検査室のベッドに横になる。ブラトップを着てきたので、着替えが手間取った。これも自業自得。
 今日は1番手前のベッド。名前、生年月日を訊かれ、身長、体重も確認される。今朝は41.2kgだった。10月半ばに検査した時より更に2kgほど減っているが、キープするのがやっとでなかなか元に戻らせい。

 頭と背中に枕。最初は左を下に横になって、左手は上に、右手は腰に下げて左胸を、続いて背中の枕により寄り掛かるように身体を開いてプローブで押される。普通に呼吸を続ける。はい、そこで息を止めて、楽にして、はい、そのまま止めて、を何回か繰り返す。
 最後は仰向けになって鳩尾からお腹の辺りをわりと強めにプローブで押され、お腹を膨らませて深呼吸を繰り返す。今日はなんとなく長く感じたが、20分ほどの検査が無事終了した。温かいおしぼりを渡され、付着したゼリーを拭いて着替えを済ませ、お礼を言って検査室を後にした。 
 
 腫瘍内科受付を通さず直接総合会計窓口へ。自分の会計番号が出て、自動支払い機にIDカードを通す。今日の検査代5,000円弱をカード払い。
 ちょっと疲れて喉の渇きを癒すため、院内カフェに入りたかったが、次の日程まで時間がないので自販機のホットミルクティーで我慢。カフェタイム込みで病院滞在時間は1時間20分ほど。

 コンビニで明日の朝食等を調達しながらホテルに戻って不要な荷物を置き、態勢を立て直して、予約した爪のケアセンターに向かう。9週間ぶり4回目の来所である。
右親指はまだかつてのようには戻っていないが、見た目が随分綺麗に健康な感じになってきた。もう少し長く伸びて普通の状態になるまでにまだ時間がかるだろうが、靴を履く時も歩く時も全く爪が当たらず、痛みから解放されたら歩行が嘘のように楽になった。これで足裏の痺れがなくなってくれたら言うことがないのだけれど。
  
 左親指も前回削ったことで今迄通りにはまだ伸びていないが、変色もなくピンク色だ。
 ヒジキはせいぜい思い出した時に、というレベルだけれど以前より摂っている気はする。夫も煮物を作ってくれたので有難く頂いた。
 左足の爪は2か月で4ミリ伸びたそうで、こんなに早いのは珍しいとのこと。平均は2ミリだそう。ヒジキ毎食食べたの方が6ミリだったそう。右足も巻き爪に注意しながら経過を見ていくそうだ。今日は担当のTさんによる足の測定もあり、O先生の45分の施術を含めて1時間15分ほどかかった。靴は23センチだが、左は22.8センチ、右は23.3センチなので、推奨するウォーキングシューズは23.5センチが良いそうだ。幅はDだそう。こうして測って頂くのは初めて。左足のアーチがやや下がり気味だという。そのままにすると踵の骨が歪んだりするので、寒いけれどなるべく歩きましょうとのこと。
次回も9週間後。3月になるが、体調や治療の状況はどうだろう。靴は必ず試し履きをするように、とのこと。ひとまず治療前泊に合わせた予約を入れて頂いた。
 夕食には野菜たっぷり、ヒジキも摂れる定食を頂き、しっかり完食して再び部屋に戻ってくる途中、母にMeet通話をするも出ないので携帯。今日はヘルパーさんがいらっしゃった日。ご近所の方に日程調整をお願いしていた蜂の巣の撤去作業が来週月曜日に決まったそう。デイサービスをお休みして対応するそうだ。まぁ、何か事故があったら大変なので、まずはデイサービスよりこちら優先だろう。
 
 明日は今年初めての診察日。
 MSコンチンのおかげで夜中の咳込みから解放され、よく眠れるようになったこと、息切れや息苦しさも以前より落ち着いていることなど、この3週間の自覚症状の報告と介護保険症が近々到着する予定であることを報告したい。体重減少が気になるので悪液質だった場合の栄養相談についても相談してきたいと思う。

 久しぶりに温泉の大きなお風呂で手足を伸ばした。曲がりなりにも髪の毛が生えているのでベリーベリーショート(SAGA♪)ということで、黒いシャワーキャップもしないで図々しくすませた。岩盤浴へ3人、温泉は6人だった。しっかり温まったので、うまく入眠したいと思う。
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2024.12.23エスワン2クール6日目のこと 緩和ケア科初診無事終了

2024-12-23 22:34:38 | 治療日記

 昨夜は今日の通院に備えて早めに就寝。とはいえ、MSコンチンを飲んで咳が落ち着くのを確認してからなので、日付が変わる前に、というのは難しい。それでも横になって眠ることが出来るようになって身体がとても楽になった。
夫曰く「隣で聞いていて喘鳴も凄かったが、それがなくなったね」。確かに、息を吸っても吐いてもゼコゼコヒューヒュー、自分の意思とは無関係に結構大きな音が出ていて不快だった。

 今朝は平日仕様のスマホアラームが鳴る前にお手洗いで目が覚める。今日はダメ押しで、アラームを30分後にもかけていたが、出掛けなければいけない、と分かっていればちゃんと起きるのだから、要は「きょういく、きょうよう」がないから、起きられないのだなと改めて思う。
今日は洗濯もお休み。夫と朝食を摂り、朝ドラを2回視て身支度をする。お通じはウサギさん便がちょっぴり。明日もこの調子なら下剤を投与しなくては。

 今日初診予約した病院は、今お世話になっている病院より俄然近い。私鉄2駅先が最寄り駅で、そこから歩いて15分だ。以前は歩いて通っていた。夫と一緒なので、書類等重い荷物も皆預けて身一つで歩けるが、それなりの上り坂なので今日はバスに乗ることにした。
 しっかり厚着をしたが、青空は抜けるように高く、雲一つなく本当にいいお天気。空気はすっかり乾燥している。

 予約時間の10分前に到着。初診扱いなので、持って行ったIDカードは機械を通らず。初診受付で、保険証と紹介状等一式をお渡しし、住所氏名等最低限の情報を記入する。そこからソーシャルワーカーさんとの面会まで30分近く待つ。
 私は病院で待つのは慣れたモノなので、こんなものか、と文庫本を読んでいたが、夫はイライラして、もう20分以上待っているから訊いた方がいいのではないか、と言う。「そうねぇ」などとのらりくらり言っているタイミングで声がかかった。同じフロアの別室に案内される。

 電話で予約を取った時のソーシャルワーカーOさんだった。入院案内や緩和ケアのリーフレット等を頂く。電話連絡した半月前は咳込みが酷くて、電話で咳込んだり、息切れしたりとゼェゼェハァハァしながら息も絶え絶えだったが、今日は水曜日に処方されたMSコンチンのおかげで咳込みが軽減され、1時間近くの間、1度ちょっと酷く咳込んだだけでほぼ自分一人で話をすることが出来た。

 「そろそろ薬を飲む時間なので、アラームが鳴ります」と言うと、「では今伺ったことをドクター等にまとめて話した後、もう一度声をかけますので、暫くお待ちください」と言われ、待合椅子に移動する。
 ここで病院に到着してから既に1時間半を廻る。予約時に、Oさんから自分と1時間、その後ドクターとの面談で1時間はかかるので、合計2時間から2時間半はみてくださいと言われていたから時間通りだが、待ち慣れていない夫はかなりお疲れモード。

 30分は待たなかったが、お昼前に声がかかり、また別室へ向かう。今度は緩和ケア科のドクターと看護師長、心理士の若い男性と、記録をするコーディネーターの女性の合計4名とミーティング。こんなに沢山の方たちに時間を割いて頂いて、申し訳ないくらいだが、やはりソーシャルワーカーさんからの伝言だけでなく、きちんと情報共有をして頂けるのが頼もしい。

こちらの緩和ケア病棟は長期療養は出来ないが、緊急対応に強いということで、必要な時には待つことなく入院が可能なようだ。入院が不要になった時には一旦退院となり、出口(次の行き先)対応等も近隣病院等と連携して当たってくれるという。
 緩和ケア病棟も病院によって療養型もあり、タイプが違うので、ここだけに絞ってよいのか、ちょっと迷う。
 いずれにせよ、こちらの希望と今思っていることは十分に伝えられたと思う。この後、必要な時は医師を通じて連絡すればすぐに繋がるので、本当に具合が悪くなってから初診予約をし、今日のような半日の面談をして・・・、という高いハードルを超えるよりずっと安心だ。

 病院到着から会計終了まで3時間。バーコード決済で2,000円ちょっとのお支払い。
 バスがちょうど到着し、駅の一つ前の停留所で降りて、ショッピングセンターのレストラン街に向かった。美味しいお寿司が食べたい、とお腹はすっかりお寿司モードだったのだけれど、久しぶりに行ったらお寿司屋さんは閉店していた。残念。
 やむなく、息子のお嫁さんと夫が初顔合わせをしたときに使った中華レストランでランチを頂く。ゆっくりしたソファ席で時間をかけて頂けた。お肉も海鮮もちょっとずつだったけれど、久しぶりに色々美味しいと思って頂くことが出来た。デザートの杏仁豆腐も美味しかった。

 帰路は階下の書店で夫と共に新刊の文庫を数冊買い、夫が欲しいというお家用のブルゾンを買い、クリスマスケーキを注文していなかったので、ケーキ屋さんに寄って、明日迄賞味期限とのクリスマスらしいケーキを買った。
 最寄り駅迄戻り、ドラッグストアで赤青ヨーグルトを買い足し、お昼にお寿司を食べそこなったので、スーパーでちょっといいネタのお寿司を買って帰宅。足の痺れが結構きつくなっているのでヨロヨロしながらだったが、タクシーに頼らずに頑張って歩いて帰宅した。

 さすがに帰宅したら草臥れてぐったり。リビングに座ったらそのまま頽れてまた爆睡してしまいそう。変な時間に寝ると、また夜遅くなって明日は出勤の夫を送り出せなくなってしまうので、頑張ってドラマの録画をウトウトしながら視て起きていた。

 母にMeet通話。今日はどういう理由で、とは言っていないけれど、夫と一緒に病院に行くことは伝えていたので、無事帰って来たことだけ報告。母は今日は予定通りデイサービスに行ったが、明日はヘルパーさんが来てくださるだけで自分は一日家にいるとのこと。変わりはないのでご心配なく、とのこと。

 夕食は買って来たお寿司に夫がお吸い物を作ってくれて、私が朝用意したサラダ等を頂く。今日は朝昼夜としっかり食事が出来た。まぁ遅くまで寝ていては2食しか摂れないということだ。
 ところが、食後、しっかり数を数えて管理していた筈のエスワンが1回分多く残っていて、どこかで飲みそびれていたことが判明した。今回は、MSコンチンの時間指定だったり、朝昼晩飲んでいたコデインが不要になったり、別の新しい薬に気を取られていたなどで飲み忘れたようだ。
恐らく通院した日の夜が一番怪しいのだが、薬のシートに飲む日付をメモしていたのだけれど、それがよく分からない。こんな間抜けなことは今までなかったのに、MSコンチンの副作用で注意力散漫、うっかりミスが増えている。怖い、怖い、である。何度数えても数が合わないとか年賀状と同じ。もうため息しか出ない。自分が信じられない。

 明日はクリスマスイヴだが、特に変わったことはしない、というより、出来ない。今日買って来たケーキを頂き、今私が準備出来る程度の簡単な夕食を作るだけだ。夫には申し訳ないけれど、もうそんな歳ではない、ということで。
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2024.12.18 腫瘍内科診察後、薬剤説明 MSコンチンスタート エスワン2クール1日目

2024-12-18 23:58:03 | 治療日記
 
 昨夜はブログアップ後、タリージェとコデインを飲んで早々に消灯した。沢山の枕をお借りしてクッションの巣のようにして眠る努力をしたが、なかなか寝付けず。咳込みで起きたのは1時半過ぎ。やはり3時間も眠れていない。
 その後、3時半過ぎまでベッドの中で悶々とする。朝風呂には早いし、とモジモジしているうちにいつの間にかウトウトしたようだった。アラームが鳴っていつものように(これ、危険)消してしまい、次に目覚めたら小一時間も経っていて、焦る。朝風呂に入るどころではなかった。急いで(とはいっても急ぐとすぐ息切れするので、それなりに)身支度をしてBS朝ドラを視てから階下のレストランに降りる。

 ここのブッフェは有機野菜たっぷりで結構充実していたのだが、今日はあれれ、と残念な感じになっていた。補充時間のタイミングもあったのかもしれないし、私があれこれ摂る時間がなかったかもしれないけれど。焼き立てデニッシュだけは美味しかった。
 コデインとミヤだけ飲んで、紅茶は部屋で頂くことにして退散する。夫へのおはようLINEはゆっくりでいいかなと思っているうちに夫から先に連絡が入っていた。「血圧・体温測定で起こされたが、変わったことはなし」の次は、朝食の写真が来て「排便も血が混じることもなく綺麗だった」とのこと。何より。相手をしていると遅れてしまうので、じゃあね、と一旦やり取り終了。

 チェックアウトして手荷物を預け、病院へ向かう。寒い。日中は暖かくなるようだけれど、厚いタイツにインナーはババシャツにしてよかった。
 昨日検査は終わっているし、ホテルから病院まではドアツードアで数分だけれど、寝坊したことで時間が押して焦って出かけたため、なんとか間に合いはしたけれどちゃっちゃと出発してゼエハアする羽目になった。自業自得。
 
 早歩きも出来ないので、マイペースで歩き、なんとか予約時間の6分前に病院に滑り込んだ。受付のIDカード機には若干列が出来ていたが、それほど待たずに腫瘍内科受付へ移動出来た。待合椅子はそこそこの混み具合で、ソファ席に陣取った。
 態勢を整えてから血圧測定したが、。120-72、脈拍が106。最近脈が速い。朝起きて測定すると何もしていないのに90を割ることはない。血圧測定を終えたら、読書再開。今日のお供は昨日の続き「迷うな女性外科医」。リアルに展開する話に引き込まれていく。

 今日はトップバッターだ。予約時間から10分ほど経って電子掲示板の中廊下へどうぞ、に自分の番号が出た。待ち時間も咳が断続的に出る。荷物をまとめてえっちらおっちら中廊下に移動する。ほどなくして先生が扉を開けて出ていらして「〇〇様、お待たせしました。」と呼ばれる。

 「おはようございます。ゴホゴホ、よろしくお願いします。」とご挨拶をして入室する。立ったまま声を出すと、どうも咳が誘発される。
 「いかがでしたか。咳が苦しそうですが・・・」と訊かれ、「はい。この3週間、咳や息苦しさが辛く、夜も眠れませんでした。」と説明する。ただ、ちょうど診察の時間に合わせてコデインを飲んだめたので、咳込まずに話したいだけ話せてほっとする。それでも咳は断続的。

 エスワンは一回もスキップすることなく飲み切れたことを報告。副作用も少し気持ち悪いかな、という程度で下痢が1日、発熱が1回、食欲不振、口内炎、流涙(これは咳が酷いので、いつも涙が出ている状態なのか不明)等が若干あったと補足。コデインを日に3回飲んでも便秘なくお通じが快調だったので、エスワンの下痢は結構酷かったかもしれない、とお話しすると頷いておられた。
 夫の状況も分かって頂きたいので、ポリープ除去で今日退院する話や今後のことについてご報告。

 採血の結果は、いつも低値ギリギリでセーフだった貧血が進んだこと、アルブミンが低く、低栄養状態であることなど説明してくださるが、白血球、血小板等は心配するほど下がっていないし、エスワンは肝臓に影響があるが、肝臓・腎臓ともに大丈夫、とのこと。
 前回まで上昇が続いていたマーカーCA15-3は若干だけれど下がっていた(誤差範囲かもしれない。先生は安定、と仰った)。爆上がりでなくてほっとする。他に上がっているものについては治療反応(エスワン開始)もあるので、それほど心配することはないとのこと。

 コデインを飲んでも今のままでは眠れないので、咳止めとして気管支拡張剤や去痰剤等はいかがか、と訊くと、前者は脈を速くする副作用があり、既に速いのでよろしくない、後者については痰はそれほどではないのでは、とのことで医療用麻薬の導入となった。

 まずはMSコンチンを日に2回飲み、土台をしっかりさせ、それにレスキューでオプソを加える。便秘になるが、オピオイド専用のものを処方するし、酸化マグネシウム等を使っても良い、それ以外にセンナも出すので、とのこと。
モルヒネ(MSコンチンやオプソ)はコデイン(体内でモルヒネに変わる)も長く飲んでいるので初めてというわけではないですよ、と先生が説明しながら気を遣ってくださっているのが判る。
 モルヒネか、いよいよ終わりの始まりだ、と思ってしまう人は多いのかもしれない。先生に気を遣わせるのが心苦しい。今はモルヒネが嫌、というよりもとにかく咳を何とかしたい、という方が大きいので、背に腹は代えられない。

 レントゲンの結果も3枚のPC画像を説明してくださり、今回特に増悪は認められない。エスワンも何らかの効果があるようだ。ちょっと欲目かもしれないが、何となく薄くなっている影もあるように見える、(エスワンに)期待しましょう、とのこと。
 なるほど、ドセタキセルのようにシャープに咳がなくなるということはなかったけれど、こう見るとちゃんと踏ん張ってくれているのかもしれない。手足の痺れと痛みはちょっと心配だけれど、このまま出来るだけ長く飲めたらいいと思う。
 
 介護認定のために市から提出するように言われていた質問票を出すと、もう意見書はしっかり書いて出してあるので不要です、この書式は初めて見ました、とのこと、私の居住市は病院付近の市とは変わっているのかどうか。
 23日に緩和ケア病棟のある病院に持参することになっている紹介状と診療情報提供CDについては今日間に合わなかったので、申し訳ないが金曜日までに準備をして取りに来て頂くことになる、とのこと。
 訪問医療については、抗がん剤を飲んでいる間はバトンタッチは出来ないので、エスワンが辛くなって(もしくは効かなくなって)やめるタイミングで引き継ぐのが良いと思う、今は通院の負担を避けて、在宅でやってもらえることが本当に増えているので、利用できる時は利用していけると安心と仰る。)

 処方されたのは、ミヤBM、タリージェ、エスワンに加え、MSコンチン、オプソ、それらモルヒネで起こる便秘の特効薬としてスインプロイク、センオシド(バリウムの後に飲む強烈な下剤)、吐き気止めにノバミン。これまでノバミンではなくナウゼリンやドンペリドンを飲んできたが、今回はこれを試してほしいとのこと。
 コデインはMSコンチンとオプソが加わったため、終了。ノバミンは食欲があり、吐き気がなければ飲まないでOK。MSコンチンを1日2回飲むことで効果は24時間持続するが、それでも夜中に辛い時等レスキューとしてオプソを飲む。

 体温はホテルで測って6度4分。診察室でSpO2は95%、脈は94。お礼を言って年末のご挨拶をして診察室を出た。今日も小一時間診察室にいた。うーん、後の患者さんには申し訳ない。薬剤師さんから薬剤説明があるので、中廊下で待つように言われ、門前薬局のLINEに処方箋を送り、呼ばれるのを待つ。
 薬剤師Kさんが見えて外来の別の処置室でまた別室へ向かう。今日処方された薬の注意事項を説明してくださった。強めの咳止めコデインが効かないので、効果が似ている医療用麻薬になる。取扱いに注意が必要とのこと。

 12時間おきに飲むことになるが、1,2時間の誤差は大丈夫とのこと。1錠目を飲むのが午後だと2錠目が午前様になってしまうので、起きているうちに2錠目を飲むとなると、お昼までには飲み始めないといけない。
 少しずつ体の中で成分が溶出して持続的に効く薬だが、効く迄に時間がかかる。
 一方、オプソは即効性がある。それぞれ吸収のスピードが違うので、症状が緩和出来る。MSコンチンだけで収まれば飲まなくても良い。それでも咳込みが辛い時等、レスキューで飲む形になる。1度飲んでまだダメ、という時は1時間開ければ良い。
 MSコンチンは便秘が強く出るようだが、まずは手持ちの酸化マグネシウムで調整してみてほしい、とのこと。飲み始めや増量時に吐き気や眠気が出やすいが、1,2週間で身体が慣れて来て落ち着くので大丈夫。
 ということで、Kさんにも30分ほどお付き合い頂いた。その間に門前薬局に処方箋をLINEで送っておく。

 腫瘍内科の会計を通してから総合会計へ移動し、1,000円弱をカード払い。
 外に出ると、日差しが温かい。それでも師走半ば、ロングのダウンコートを着ていて丁度良い感じ。門前薬局に寄ると、そこそこ混んでいたが、ほどなくして担当のIさんから呼んで頂く。これまでは窓口で立って薬を受け取っていたが、今日は長椅子に座って説明して頂いたので楽だった。
 11時半、MSコンチンをIさんの前で飲む。オプソは1日4回の22日分で88包。在庫不足なのと在庫の消費期限が今月一杯ということで、不足分は自宅に届けてくださるという。他の薬だと郵送だったことがあるが、医療用麻薬は手渡しなのだそう。わざわざおいで頂くのは申し訳ないが、ご自宅が私の自宅と病院の間と聞き、ちょっとほっとする。
薬を一緒にチェックして16,000円弱のコード決済を済ませた。医療用麻薬なので少しお高くなっています、ということだが、病院で殆どお支払いがないので、何のなんのである。今日の病院と薬局滞在時間は3時間弱。

 ホテルに戻って預けた荷物を受け取り、ロビーで荷物をまとめる。まだぎりぎり昼前なのでそのままJRの駅に。各駅停車で席を確保して文庫の続きを読んだ。
 乗換駅のレストラン街でエスニックレストランに入り、カレーランチを。久しぶりにタンドリーチキンでお肉を食べられた感じ。それにしてもこのところ、注意力散漫で普段ならしないミスを連発している。スマホを置いてきたり、あれがない、これがない、と言ってみたり。

 一方、夫は診察もなく看護師さんとのやり取りで無事退院し、いきなり駅ナカのカフェで極甘のアイスカプチーノを飲んで(大腸は大丈夫なのか・・・)、最寄り駅でしっかりタンメンを食べて私がランチを始めるまでには帰宅を済ませていた。生協の取り入れもやってくれたそうで、力仕事はしない方が良いと思うのだが・・・。

 MSコンチンのせいか、寝不足のせいかとても眠い。それでも珍しく食欲があって、完食は出来なかったが時間をたっぷりかけてほぼ頂くことが出来た。

 少しだけ買い物をして最寄り駅まで戻り、タクシーで帰宅。
 帰宅後、あれこれ片付けているうちに今日買ったものを一つどこかで落としたか忘れたかしていたことに気づく。本当にケモブレインか、認知症か微妙である。

 母にMeet通話。Wさんにバス停まで送り迎えをして頂き、有難かったとのこと。明日は通常のデイサービス、金曜日はクリスマス会に呼んでもらえたので連続で出掛けるとのこと。私は薬を変えて少し咳が楽だけれど、と報告して通話を切った。
 眠気がたまらず、そのままお夕寝したら2時間爆睡。久しぶりに咳込まずに睡眠が摂れたようだ。

 夫と生協で届いたラーメンやうどんを頂いて遅い夕食を摂り、12時間後ぴったりにMSコンチンを飲み、今に至っている。
 明らかに咳込みが減っている。モルヒネ、凄い。痛み止めだと思っていたけれど咳がこんなに楽になるなんて。今夜はクッション座り寝でなく眠れるといいな、と思っている。
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2024.12.17 エスワン1クール21日目のこと 休薬7日目 採血とレントゲン後、前泊

2024-12-17 21:53:17 | 治療日記

 昨夜もブログアップ後、ドラマの録画も視ず、ゆっくりと湯船に浸かった。夫は今日の1泊入院に備え、下剤の服用が始まった。
 91歳の母は、82歳で直腸がんに罹患、5年間の経過観察で無事卒業はしたが、その4年後86歳で左腎がんも患い、合計9年間の経過観察と称した病院通いが続き、先日漸くダブルキャンサーから解放された。
 前半5年間は毎回、内視鏡検査の準備が大変なの、とこぼしていたのを思い出す。あの小さい身体で、今、夫が飲んでいる量の下剤を飲まされていたかと思うと、やはり百聞は一見に如かず、大変だったのだろうな、と今になってよく頑張っていたと思う。
 あの当時は「必要な検査なんだから頑張らないと」と叱咤激励するばかりだったスパルタ娘はちょっと反省する。本当にいくつになっても知らないことは多い。無知の恥ずかしさを思う。

 今朝も夫は7時から下剤を休みなく飲んでいる。水ものを飲むのは全然苦にならない夫が今回初めて「寒い」と震えている。温めて飲んだ方が良いのでは、と言ってみるが、まぁ本人次第である。私はただでさえ冷蔵庫から出してすぐのモノをお腹に入れない(入れるとすぐにお腹が冷えて下痢になる。)ので、冬でもアイスなんたらを平気でごくごくと飲む夫は凄いと思っていた。

 今日の内視鏡一泊入院は、よりによって私の前日検査と通院に見事にバッティングしてしまったので、入退院ともに付き添いすらできない。頑張って、と願うしかない。まぁ、付き添ったところで荷物持ちにすらなれないので、何の役にも立たないダメ妻である。
 本人はちゃんと1泊入院グッズを淡々と準備している。白内障入院の時に懲りたのか、マイ枕まで持参である。

 昨夜も残念ながら咳き込みでうまいポジションがなかなか決まらず、加湿器空気清浄機の青と緑のランプを涙目で見ながら眠れぬ夜を過ごした。

 今朝は平日仕様のスマホアラームが鳴る前に腹痛で目が覚めた。普通のお通じ。エスワンの下痢の副作用が見事にコデインでカバーされているのかどうか。いずれにせよ、一つでも快調のところがあることは嬉しい。

 今日は洗濯はお休み。ごみ捨てをしたり、花の水替えをしたり、ゆっくり少しずつ出来ることを済ませる。

 昼過ぎに病院に向かう夫を送り出し、1人ランチは冷凍麺で簡単に済ませる。途中で休み休み行けるように少し早めに家を出るつもりだったが、夫とのやり取りで、結局いつもと殆ど変わらない出発になった。

 少しでも荷物を軽くしたいが、家に積んである新刊の文庫は皆厚い物ばかりなので、乗換駅ナカ書店で薄い文庫を購入することにした。
 今日の車内のお供は中村祐次郎さんの泣くな研修医シリーズ最新作の「迷うな女性外科医」(幻冬舎文庫)。
 帯には「女が外科医ではダメですか? 人気キャラクター佐藤玲感動の物語」とある。これまで全作読んでおり、迷わず手に取った。快速に乗り換えて立つ元気はなく、各駅停車で読書を楽しんだ。

  今日は久しぶりに大浴場のあるホテルを予約した。10階のダブルルームにチェックインして、いつものように荷物を置き、身軽になってから、病院に向かう。少し早く歩いただけでもすぐ息切れするので、ゆっくり歩いたらいつもより20分も遅い病院到着になった。

 受付のIDカード機を通し、採血・生理検査受付へ移動する。今日も待合椅子は誰もいない。受付票のバーコードをスキャンしてピンクの採血受付票を取り、そのまま採血室へ入る。
 今月初回、年内最後の通院(万一にも緊急で通院なんてことは謹んでご辞退したい。)だから、今日はマーカー測定ありの5本フル採血だ。「1、2の3」の掛け声が可愛らしい臨床検査技師のOさんの姿はなく、初めましての女性検査技師Mさんが担当してくれた。採血台に座っても息が整わず、ハアハア言っていたら、ゆっくりでいいですよと言って頂き、有り難かった。
 
 お礼を言って採血室を後にし、エスカレーターで2階に上がり、レントゲン検査受付。こちらもバーコードをスキャン。レントゲン撮影の日は予め無地のニットにブラトップを着て、検査着への着替えは不要にしてある。スヌードだけ外して前方から、横からと2枚撮影し、ここでも殆ど待つことなくすぐに呼んで頂き、無事終了。大きく息を吸うと咳き込みそうだったが、我慢我慢。
 腫瘍内科受付で受付票を戻し、保険証チェックを終え、会計へ移動し、15分ほど待ち、自動支払機で今日の検査代5,000円強をカード払い。

 終了後は、やはり疲れてしまい、院内カフェでカフェラテを頂き、人心地着く。カフェでの休息時間を含め、病院滞在時間は1時間ほど。

 外はもう真っ暗。ホテルに戻って体勢を立て直してから、夕食は外で、と思っていたが草臥れてしまい、コンビニでサンドイッチ等を調達してそそくさと部屋に戻った。夕食を済ませ、定時に母にMeet通話。今日はヘルパーさんがいらっしゃってくださる日。前泊ホテルから、と告げてお互いの生存確認を済ませて酷く咳込まないうちに早めに通話を切った。

 明日は咳が酷くなって夜眠れないこと、息切れや息苦しさも増していることなど、この3週間の症状が辛かったことを踏まえて咳の緩和の薬についても相談したい。そして、おかげさまで諸々の手続きが順調に進んでいることも報告し、患者サポートセンターのOさんにお願い済みの緩和ケア病棟のある病院への紹介状と検査情報を受領するというミッションがある。

 夫は今回は希望通り個室に入れ、無事ポリープ切除が終わって部屋に戻れたそうな。お粥ながら夕食も提供されたと写真が送られてきた。さらに階下のコンビニまで遠征しておやつまでゲットした模様。術後も元気だ何でも美味い、天晴れである。あとは安静で病院にいてもらえるので家で過ごすより安心だ。明日は午前中に診察が終わればそれで退院の予定。お迎えに行ける時間帯なら行きたいが、大丈夫というので無理はしないつもりだ。
 部屋の加湿空気清浄機の給水タンクのキャップが固く閉めあげられていて、私の力では開けられず、フロントに連絡したり、キーの電池切れで取り替えに来てもらったり、何だか落ち着かなかった。

 夫婦そろってトホホな年末、「クリスマスもお正月も全然楽しみじゃないね」などと言うと、「まぁ、もうそういう歳でもないよね」というお応え。ハイ、ごもっともです。
 久しぶりに大きなお風呂で手足を伸ばした。今夜はうまく入眠したい。
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2024.11.27 腫瘍内科診察後、ポートフラッシュ、薬剤説明 夕食後エスワンスタート 最期まで私らしく?

2024-11-27 23:15:40 | 治療日記
 
 昨夜はブログアップ後、早々に消灯したが、さすがに早過ぎたのか寝付く迄に1時間以上かかった。しかも夫と息子が家族LINEで延々お喋りしているので、その通知音が気になること。もう、2人でやってください・・・。

 就寝したのが早かったので、コデインを飲んだ時間も普段より2時間ほど早かった。夜中3時半にお手洗いに目が覚めた段階ですっかり薬が切れた感じで、咳込みが止まらなくなった。結局、涙目のまま2時間ほど眠れず、ちょっとトロリとしたかと思ったらスマホアラームが鳴ってしまった。それでも4時間ちょっとは眠れたのか。
 夫は休務日なので、おはようLINEを打つのは出かける前にして、ニュースを見ながら身支度を済ませ、階下のレストランへ降りた。今日もちょっとずつ色々和洋折衷のおかずを頂き、ポタージュスープ、黒酢ドリンク、珈琲と水分もちょっとずつ色々。新聞を頂いて部屋に戻った。

 昨日検査は終わっているし、ホテルまでドアツードアで数分。朝ドラを視て、荷物整理を済ませ、ゆるゆると出発だ。チェックアウトして手荷物を預け、病院へ向かう。アスファルトの道路はびっしょり濡れているが、日が差している。昨夕は雨傘だった晴雨兼用傘は、今朝は日傘になった。今日は20℃を超え、10月並みの暖かさになるとの予報。帰りはコートが邪魔になるかもしれない。
 
 予約時間の10分ほど前に病院に到着した。受付のIDカード機には若干列が出来ていたが、それほど待たずに腫瘍内科受付へ移動出来た。待合椅子はまあまあの混み具合で、ソファ席に陣取った。
 態勢を整えてから血圧測定。109-70、脈拍が91。血圧測定を終えたら、読書再開だ。今日のお供は昨日の続き「ここに物語が」。頁を開いて短いエッセイを読むだけでふっと気持ちが静かになっていく。

 今日はトップバッターではなかった。予約時間から10分ほど経って電子掲示板の中廊下へどうぞ、に自分の番号が出た。待ちながらも咳が断続的に出てしまう。エコバッグに入れたコート等荷物をまとめてえっちらおっちら中廊下に移動する。冬になると荷物がどうしても増える。しかも今日は傘も持っている。
 20分ほど待って先生が扉を開けて出ていらして「〇〇様、お待たせしました。」と呼ばれる。

 「おはようございます。よろしくお願いします。」とご挨拶をして入室する。
 「体調はいかがでしたか。咳が大分苦しそうですが・・・」と訊かれ、「はい。咳や息苦しさが前回より増しています。掃除をしていて咳込みと息苦しさのダブルパンチで座り込んでしまったこともありました。朝方はまだしも夕方から夜にかけて酷くなります。ちょっと咳払いをしたり喋ったり、食事をしたりすると咳き込みのきっかけになるようです」と説明しながら、何度も咳込む。

 少し落ち着いたかと思って話し出すとまた咳き込む。とうとう止まらなくなり、涙目で酷く咳込み、口がきけなくなる。先生が見かねて背中をさすってくださる。嗚呼、先生にそんなことをさせるとは、かたじけない・・・。
 何とか落ち着いてきたところで、「ストレス軽減と体力温存のため、便秘は薬で調整するとしてコデインを我慢しないで飲んでください」と言われ「はい。」と応ずる。
 左の眼の前がチカチカすること、膀胱炎、頻尿のその後についても確認して頂く。咳と息切れ以外は食欲もあり、元気であるとお応えする。

 CTの結果、フェスゴとタモキシフェンの治療では病状進行を止めるには不十分なのが否めないということで今回から思い切ってエスワンに治療変更することについてもう一度確認がある。
 PCには昨日と前回、前々回のレントゲンの画像が3枚並んでいる。「レントゲン画像上では急に増悪しているというわけではない。CTで視た範囲内の増悪。ただ肺の真ん中に腫瘍があるので、刺激が出やすく咳が出ていると考えている」とのこと。

 新しい薬に変更することで、身長体重の確認。前回の47キロから4キロ減の43キロだが、体表面積的には薬の量は変わらない模様。前回、相談センターでソーシャルワーカーのMさんに、そして昨日は看護師のOさんにしっかり面談をして頂いたこともご報告する。既に先生にも情報が入っていた。
 通院出来る体力があるうちに、その後も安心して暮らせる環境づくりを整えておいた方が良いとのことで、訪問診療等の話が出る。そのためには前提として抗がん剤治療はしないことになる。新しく始めるエスワンが効いてくれることを望むが、もし効果が望めないようであればあまり長く引っ張らず、抗がん剤治療にしがみつかない、ということについては十分理解している。

 介護保険認定申請には時間がかかるので、実際に体調が待ったなしになる前に申請だけはしておいた方が良い、もう手続きを始めてOKとのこと。主治医意見書について対応して頂けるそうだ。

 採血結果も夫々説明してくださり、プリントアウトも頂く。概ね問題はないようだが、マーカーCA15-3は前回より2割増だった。

 エスワンは、一般には28日内服14日休薬だが、3週間に1度の通院ペースを崩さないために14日内服して7日休薬のペースでいきたいとのこと。次回も前日採血・レントゲンが入り、翌日診察で年内最後になる。
 診察の後、中廊下でポートフラッシュ、薬剤師による説明があるので待っているように、とのことで診察終了。
 体温は6度6分、SpO2は95%、脈は81。薬の処方は今まで通りミヤBM、タリージェ、コデインにエスワン2週間分。ホルモン剤タモキシフェンは抗がん剤エスワンを始めるため、終了。それ以外、特に不足がないのでこの4種類のみ。お礼を言って診察室を出た。今日も30分近く診察室にいたことになる。

 中廊下で門前薬局のLINEに処方箋を送り、呼ばれるのを待つ。外来の別の処置室で看護師Tさん(初めましての方だ)にポートフラッシュをして頂く。針刺しは殆ど痛まずラッキーだった。
 再び廊下で待っていると、薬剤師のAさんが見えてまた別室へ向かう。TS-1のハンドブックをくださって、注意事項を説明してくださった。今日の夕食後から内服スタートである。ちょうど門前薬局からは薬の準備が出来ました、とLINEが入った。

 腫瘍内科の会計を通してから総合会計へ移動。1,000円強をカード払い。
 外に出ると、ポカポカだ。コートの前を開けていても全く問題なし。門前薬局に寄ると、そこそこ混んでいたが、ほどなくして担当のIさんから呼んで頂く。「咳込みが酷くて今日は診察室でも止まらなくなり・・・」等と報告。
 新しいエスワンの薬を一緒にチェックして6,000円弱のコード決済を済ませた。ジェネリックだからこんなに安いのかと驚く。これなら高額療養費にも該当しない。今日の病院と薬局滞在時間は2時間半ほど。

 ホテルに戻って預けた荷物を受け取り、ロビーで荷物をまとめる。
 まだ昼前なのでそのままJRの駅に。ちょうど快速電車が来たので、席を確保して文庫の続きを読んだ。
 迷った末、乗換駅でなく最寄り駅まで行って昼食を摂り、映画を観て帰ることにした。駅前でパパっとおうどんを啜り、観たのは「海の沈黙」。

 “巨匠・倉本聰が長年構想し、「どうしても書いておきたかった」と語る渾身の物語がついに映画化。人々の前から姿を消した天才画家が秘めてきた想い、美と芸術への執念、そして忘れられない過去が明らかになる時、至高の美と愛の全貌がキャンバスに描きだされる。撮影は多くの倉本作品の舞台になっている北海道でも行われ、小樽でのロケ撮影を敢行。運河の美しい風景が重厚な物語を彩る。人間にとって「美」とは何か?私たちは人生の終わりに何を見つけるのか?観客の心を揺さぶり続けてきた作家・倉本聰がついにたどり着いた集大成的作品が幕を開ける。“という触れ込み。
 今自分がしている咳と天才画家(肺がんステージⅣ以上で手の施しようがないとの設定)の咳がやけに似ているのに苦笑した。

 映画終了後、夫と合流してカフェでスイーツとお茶で一服してから帰宅した。荷物を持ってもらい生協のお届けも夫が取り込んでおいてくれたので有難かった。
もろもろ片付けているとあっという間に時間が経ってしまう。
 母にMeet通話をかけるもうまく出てくれないので、今日は携帯電話に切り替えた。母がWさんサロンに行くためにバスに乗るのを従姉が見届けてくれて(写真が送られてきた)、バス停ではWさんが待っていてくださり、帰りもバス停まで送ってくださり、とVIP対応。
 「いらした時より元気にお帰りになり、無事に到着した連絡も頂きました」とWさんからLINEが入った。めでたしめでたし、である。本人も「久しぶりに行ってとても気持ち良かった、帰りはスーパーでお寿司を買って来て食べた」とご機嫌だった。
 クリニックから帰って来た夫と、生協から届いたおうどんやお蕎麦、お寿司の簡単な夕食を摂る。そして食後は初めてエスワン25㎎2錠を飲んだ。

 前回から今回の診察迄の間に、患者サポートセンターソーシャルワーカーのMさんにも看護師のOさんにも、そして門前薬局薬剤師のIさんからも口を揃えて「いかにも○○さんらしい・・・」と言われた。
 “私らしい”というのは、どうも予めきちんと準備をして外堀を埋め、物事を迎え撃つということらしい。本当にそうなのかどうか自分ではわからない。ただ、出来る準備を怠って土壇場になってジタバタするのが好きではないことは確かだ。

 ただ、今回はどうもひと事のような気がしているというか、上手く言えないが、自分の事として準備しているというよりも、何となく母のために、とか夫のために、とか思いながら淡々と準備をしているような感じさえある。
 あえてそんな振りをして無意識に現実から目を背けようとしているのかもしれない。夫には、客観的というかそれが俯瞰的ということなのではないか、と言われた。もしそうなら、現在断捨離読書会で勉強中の俯瞰力が全く身についていないというわけでもないか。いずれにせよ、出来る準備は早めに、ということが貧乏性な私らしい、ということなのかもしれない。
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