ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.2.7 読んでから見る・・・「夜行観覧車」

2013-02-07 21:09:18 | 読書
 湊かなえさんの「夜行観覧車」(双葉文庫)を読んだ。
 1月から放映されているテレビドラマの原作小説だ。単行本が出版された時から文庫化を楽しみにしていた。ドラマ化されたのもさもありなんという面白さだ。とりあえず、今回はドラマが始まる前に読み終わって良かった。
 裏表紙には「父親が被害者で、母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちはどのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の観点から、事件の動機と真相が明らかになる。」とある。

 湊さんお得意の手法である複眼的な視点で物語は進む。三つの家族がそれぞれ事件をどう捉えていくのか、何を考えていたのか、別の章立てで書かれていく。読み出したら止まらない。ノンストップで急き立てられるようにラストまで読み進んだのは、これまで彼女の小説を読む時と同じだ。
 ドラマの脚本家である奥寺佐渡子さんが解説を書いている。湊さんの出世作である小説「告白」の映画化にも言及されているが、この映画が小説の世界に忠実に作ってあったということもさることながら、映像があまりに圧倒的なリアルさで迫ってきて、救いがないように感じたのが記憶に残っている。次の作品である「贖罪」もドラマ化されたというが、これは本を読んだだけでドラマは見ていない。
 今回、「夜行観覧車」の読後感がこれまでほど重くはなかったというのは、ラストで各々の家族のこれからに救いの光が見えたことだろうか。一人っ子でなくて助け合える兄弟がいるといいものだな、と自分や息子のことをちょっと切なく思ってしまった。

 ドラマの筋立ては小説とはちょっと違っているらしい。けれど、これは脚本家が、作者が練りあげた登場人物のプロフィールのうち行間に埋もれていたものを掬い上げた結果であり、全てこの小説の中から生まれている、ということのようだ。

 読んでから見るか、見てから読むか、いつも悩ましいのだけれど、毎週録画しているドラマを数回見たところ、原作には出てこなかったエピソードが散りばめられている。
 さて、この先どんなふうに登場人物が料理されていくのか・・・今から楽しみである。

 今日は午前・午後とも都心で会議だった。会議の時間よりも電車の移動時間の方が断然長い。テレビ会議が出来ればよいのだけれど、案件によってはそれも難しいものだ。
 いつもより遅い開始時間だったので、前泊なし。朝起きたらあまりに洗濯物が一杯だったので、急きょ思い立って洗濯機を回して干し始めたら、「朝の忙しいときにドタバタ動き回られて、食事も落ち着いて摂とれやしない。」と夫から顰蹙を買った。
 ついていないことに、行きの電車ではお客様対応による遅延の影響をもろに受けてしまった。30分の余裕をもって出かけたので何とか間に合ったのだけれど・・・。

 とにかく明日一日頑張れば三連休が待っている。もうひと頑張り、である。

コメント
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