わが家は
埼玉県越谷市にあります。
近年都市化による宅地造成や大型ショッピング施設の開業など、なにかと話題には事欠かないいわば成長著しい街です。
わが家の田んぼはほぼ「越谷レイクタウン」造成地内にあったため、いまはすべて宅地となってしまいました。
理由はともあれ耕作地を失うと言うことは、農業生産ができないことを意味します。
その対応策として、隣接の吉川市に父は代替として田を確保しましたがそれでも農地の減歩はかなりのものですので、
私も農地を捜しました。でもそれは父が求めた吉川市ではなく、同じく隣接の松伏町にです。
私が松伏町の田んぼを手に入れてからかれこれ10数年前のことですが、当時の吉川市はJR武蔵野線の操車場跡地である
吉川美南地区の造成が進んでいて農地の確保がかなり難しくなっていたので、
開発の手がまだ及んでいない松伏町となったわけです。
購入にあたっては都市計画等を下調べし、
そこが農業振興地域に指定されていておいそれと開発されないとの理由でここに決めました。
あれから年月が流れて10数年。
松伏町にも開発の波が押し寄せてきました。
開発不動産業者が何度もわが家を訪ねてきています。
わが家の所有している一帯を物流基地として開発したいのだそうです。
それで手始めにすべての地権者からの同意を取り付けたいと言うのです。
表向きは農地保有に対する意向調査と言っていますが、
周囲の地権者の方々はできれば農業を辞めたいと考えている人たちが多いので、
売ってくれるかの内々の打診をしているわけです。
どうもこの一帯は近い将来「東埼玉道路」のインターが計画されているそうで、
業者としてはいち早く土地の確保に走っていると言うことが本当のところです。
せっかく手にした農地をまた手放すのか?
そんな気持が将来の不安をかき立てます。
業者は調子のいいことを言っているけど、町は知っているのか?
内々であれそのようなことが計画されているのであれば、代替えを考えなくてはなりません。
代替えと言ってもそんなに簡単に進む話しでもありませんから、
まず農業委員会はこのことを知っているのか?
知っているのなら許可を出すのか?を聞きに本日「松伏町農業委員会」へ行ってきました。
結論から言うと、真偽はともかくそのような動きがあることを知らなかったそうです。
ただ仮定として動きがあったとしても、農振除外許可は埼玉県が行うことで除外許可のハードルはかなり高く、
申請から許可まで最低1年かかるとのこと。それが許可されてから今度は農地転用許可申請などいくつものハードルがあるので、
ここ数年でできることではないという説明を受けました。
少しだけ安堵。
でも開発が進めば確実に農地買収になってしまいます。
都市化の進む地域で営農をしているとこのような開発に少なからず翻弄されます。
売って農地を手放して現金を手にしてしまったら、農業経営はそこで終焉を迎えることになります。
農業を続けるためには農地の移転が不可欠になります。
お金を手にする対価として農地を手放す。
私はそうしたくないんです。
お金は使えばやがて無くなってしまいます。
でも農地は使えば使うほど良くなり、多くの作物を生み出してわが家の生活を支えてくれます。
目先のお金よりも持続可能な農地。
都市化の進む地域ではどこでも同じような悩みを抱えている農家さんがいるのではないかと思います。
悩みは尽きません。