ハーモニーフェスタでのこと。
年配の男性が「無農薬だったら虫が着くでしょ?私は長年家庭菜園をしているけど、薬を使わないなんて考えられないよ。まして、元肥に化成を使わないなんてむりだよ!」と、まくし立てるようにおっしゃいました。
私は「農薬も化成肥料もまったく使っていませんよ。ただし、導入したタネが薬剤処理されている場合はやむを得ませんけど」と応えると、「じゃあ栽培期間中は無農薬なんだ。でもそれじゃ良いモノできないよ!どんな本を見たって、そんなやり方書いてないよ。本にウソが書かれているってこと?」という反論。
いくら話してもこの方には通じないみたいです。
どうしてもご自分が行っている方法がすべてで、それ以外は認めたくないようです。
野菜は生きています。だから環境によって当然生育には違いが出てきます。
本意書いてあることはだいたい一般的な環境下に於いてのことです。
全国どこでも通用するものではありません。
タネの袋や本に書いてある栽培法もまた一般的な栽培方法です。
これがすべてというわけではありません。
栽培の条件と環境を整えてさえあげれば、野菜を含む植物はたいがい元気に育ってくれます。
特にタネの「まきどき」などは4月下旬から5月下旬みたいに、カレンダーで示されていることが一般的です。マニュアルを見て失敗する人はだいたい書いてあるとおりに作業をして失敗をしているように思います。
私は「まきどき」にあるカレンダーは参考程度にしか見ません。
むしろ発芽の適温が何度であるのかを重視します。
たとえば今年”緑のカーテン”として人気のゴーヤー。
発芽適温は25℃くらいです。
この温度に達していないのに無理してまいても、芽は一向に出てきません。
今年は昨年以上に気温の上昇と寒暖の差が激しいので、ゴーヤーは5月中旬にまきました。例年よりも半月遅い種まきです。
でも今は芽が出て元気に育っています。
上辺の知識だけで無理をせず、どんなことだって経験が必要です。
わからなければいろいろ調べてみたり、タネを一度にすべて播いてしまわず何度かに分けて播く。もしくは、万が一のためにタネを残しておくのが農家の常識です。
でも、そんなことどの本にも書いてないはずです。
とかくわからないと「マニュアル」に頼りたくなるのは仕方のないことだと思います。
でもいろいろ調べてみたり、失敗を覚悟して挑戦して行くことで経験値が上がって行くと思います。
「そこそこ」に何でも済ませてしまう小さな考え方ではなく、
相手は自然なのだから、マニュアルに縛られることなくもっと大きな考えを持って作物作りに取り組んだ方が良い結果が得られると思います。
農業をはじめ何事にもゴールなんて無くって、永遠に探求を続けることが必要と思います。