Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

Klee+Cobra@cobra museum(Amstelveenオランダ)

2012-03-25 10:23:41 | Wblog:お出かけMuseum
晴天の日曜日、アムステルフェーンにあるCobra Museumに行ってきました。このミュージアムで、「Klee+Cobra」という展覧会を開催中で、クレーは私の好きな画家なので、興味を持ちました。
アムステルフェーンは、オランダでは日本人がたくさん住んでいるところで、アムステルダムの少し南にあります。日本食料品店や日本食レストランもところどころにあるのですが、私はあまり縁がなく、以前にCobra Museumに一度行ったことがあるだけでした。今回は、日本食レストランでお昼を軽く食べて、その足で美術館へ行きました。前回行ったときは、冬で、一面のガラス張りの壁から見える池には凍りが張っていたのですが、今回は青い空と緑。急に暖かくなったからか、木々はまだ緑の葉をつけていません。しかし、春らしい空気と陽光は感じられます。車の中や陽のあたる室内は暑いくらいでしたが、日陰はまだまだ寒い感じがしました。
さて、このCobra Museum、Cobraという1948年に設立されたヨーロッパの芸術グループに焦点を当てたミュージアムです。Cobraという名前は、グループの中心人物がコペンハーゲン、ブリュセッル、アムステルダムにいるということで、その頭の文字をとって付けられました。
オランダでは、その後有名になったアーティストのカレル・アペル(Karel Appel)が所属していたということで、Cobraはとても有名です。他に、オランダではコンスタン(Constant)、コルネイユ(Corneille)、ベルギーではピエール・アレシンスキー(Pierre Alechinsky)、デンマークではAsger Jornなどがメンバーでした。
カレル・アペルを知ったのはオランダに来てからですが、何かクレーに似ているなと思ったことがあります。奔放なタッチと、子どもが書くような線の絵だからです。そして、今回の展覧会は、クレーの絵がこのCobraグループの人の作品に影響を与えていたのがわかるように展示されていました。クレーは1940年に亡くなっており、1948年にアムステルダムでクレーの展覧会が行われています。同じ1948年に設立されたCobraグループのメンバーの多くがこの展覧会に訪れています。
Cobra Museumの2階全体を使ったかなり広いスペースにはたくさんの作品が、子ども、動物、マスク、アクロバットなどのテーマに分けて、展示されていました。かなり人気があるようで、人が多かったです。
面白かったのは、Cobraについてのドキュメンタリーフィルムで、その中で、カレル・アペルが「Cobraって言われても、それは若い頃にたった2年くらい所属していただけで、それが何か影響を与えたかっていうと、特にない。ただその頃は作品を発表する場がなかったから、Cobraに属することで発表しやすくなるから所属していただけで。40年も経った今、Cobraって言われても、ずっと忘れていたからね。」という感じで、かなり冷淡な対応でした。このドキュメンタリーは1988年のもので、多分その頃から、有名になった作家が以前Cobraという芸術グループに所属していたことを一種のブランドのようにマスコミで取り上げるようになったのでしょう。実際にCobraは1948年に設立、1951年には解散しており、その間に多数のメンバーを勧誘しています。画家だけでなく、詩人も参加しており、Cobraという名前をつけたのは、べルギーの詩人クリスチャン・ドートルモン(Christian Dotremont)です。現在、美術マーケットでCobraの作家の作品は高値で取引されていますが、たった3年間での、それも緩い活動グループであったことを思えば、そこに所属していただけでCobraブランドを付けてさも重要な作品のように売るのは、ちょっと資本主義的すぎる気もします。そもそもこのCobraの芸術家たちは、当時ある意味前衛的で、社会主義的理想を持っていた人々が多いのですから、何となく変な気もしてしまいます。
クレーの作品も多く展示されていましたが、私の好きなタイプのものはあまりありませんでした。クレーの風景画的なものがどちらかというと好きなのです。
約130ものクレー作品、約120のCobraの作家の作品が展示されています。開催は、4月22日まで。
写真は、カレル・アペルの「Animal under stars」です。
体調は良好です。