Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「Het Grote Zwijgen」

2013-03-23 08:00:10 | Book
Erik Menkveld著「Het Grote Zwijgen」(大いなる沈黙)を読了。
オランダの小説で、2012年のAcademica Literatuurprijs受賞作品です。
だいたい小説を読む場合には、前もって書評などは目を通さないようにして、事前に情報はなるべく得ずに読むほうです。
この小説は、アムステルダムのコンセルトヘバウが舞台として出てきて、1910年代のオランダの音楽界の様子がうまく描かれているということで、興味を持って、読み始めました。
主要登場人物の一人が、Alphonsus Diepenbrock(アルフォンス・ディーペンブロック)というオランダの有名な作曲家で、この名前はコンセルトヘバウの壁に刻まれている作曲家たちの名前の一つです。そのほかに、マーラーも登場しますし、コンセルトヘバウの初期に活躍した指揮者Willem Mengelberg(ウィレム・メンゲルベルク)も登場します。主人公は、Matthijs Vermeulen(マタイス・フェルミューレン)という作曲家志望の青年で、アムステルダムへ出て生活のために雑誌にクラシック音楽の批評を書く仕事をし始めます。そのうちにディーペンブロックと親交を持ち、その交流が物語りの多くの部分を占めます。
読んでいるときは、このフェルミューレンは想像上の人物だと思って読んでいたのですが、その後実際の人物であることがわかり、この物語がほぼ事実にそって描かれていることを知り、びっくりしました。
物語は、ディーペンブロックが亡くなった1921年で終わります。このとき、フェルミューレンは33歳。この後も、彼は波乱万丈の人生を送り、58歳のときになんとディーペンブロックの娘Theaと結婚したことをWikiで読んで、またびっくりしました。
1910年代のアムステルダム、音楽界の様子がよくわかり、また二つの愛の物語としても読めます。第一次世界大戦の時期を含みますから、そのときのオランダの不安定な状況と人々がどう捉えていたかも読み取ることができます。
380ページ強と長いですが、ゆっくりじっくり読むと味わい深いものがありました。
クラシック音楽が好きだとか、アムステルダムやコンセルトヘバウに興味がある人には、おすすめです。
体調は良好です。




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