20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

『きみはひとりでどこかにいく』(大塚英志・太田出版)

2010年09月10日 | Weblog
 このところ、夫に貸してもらった雑誌を、毎晩読んでいます。
 雑誌『atプラス』(太田出版)
 
 夫は鎖骨骨折をしてゴルフをやめてからは、趣味は読書。書籍代たるや毎月かなりの金額になりそうです。
 帰宅したときの土日はほとんど、ふたりで日本橋か銀座あたりでランチをしていますが、日本橋で私がデパートでお買い物をしている間、彼は丸善に、銀座でしたらコアビルのブックファーストか、有楽町の三省堂に籠もって本探しをしています。

 慶応ボーイだからといって、だれもがおしゃれなわけではありませんが、あんなに自分の身支度に無頓着な人もあまりいないでしょう。
 昔、亡くなった秩父の母がよく「親戚でいちばんイイオトコ」とせっかく言ってくれていたのに・・・。
 洋服はすべて私が買って用意し、それをワンセット用意しておくと、そのとおりに着てくれます。
(小さいことにはこだわらず、どーんと構えている、そんな彼の器の大きさに、私はとても助かっていますが)
 けれど妻としては、単身赴任先で、スーツとワイシャツとネクタイのチョイスをどうしているのかときどき気になりますが、帰宅したとき見るとそれなりに色合わせが出来ているので、どうにかやっているようです。
 結婚する前は、義母が三越で買ってきた洋服を、着心地さえよければ文句も言わず着ていたそうです。
 とにかく着心地がよく、冬は暖かく、夏はすずしく。それさえ満たされていればそれでよし、と考えているふしがあります。
(このblogを読んで、なにをバカなことを書いている!と怒られそうですが)

 余談が長くなりましたが、その夫がこだわっているのがステーショナリーと本。
 そんなわけで彼は、私の参考になる本までどこかで探し出し、自分が読む前に「先に貸してあげる」と貸してくれるのです。

 その本のなかの一冊が、この雑誌です。
 この中の大塚英志と宮台真司の対談「通過儀礼としてのワーク「きみ」は世界とどう関わるか」が実に勉強になります。
 けれど、ただ読んでいるだけではだめです。
 机に向かってメモしながら、脳にたたきこんでいかないと、この面白さを自分のものにすることはできません。

 それにしても大塚英志、やはり強者です。
『物語の体操』(朝日新聞社)、『キャラクター小説の作り方』(講談社現代新書)に続き、この雑誌の対談と、絵本『きみはひとりでどこかにいく』は、併せてしっかりと勉強しなくてはならない、そんな本になりそうです。
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ラジオ

2010年09月09日 | Weblog
 このところ、夜になるとラジオばかり聴いています。
 目が疲れるので、寝る前2時間はなるべくパソコンやテレビは見ないようにしています。
 昨晩は、MJQがバッハの『G線上のアリア』を歌っていました。
 MJQを聴いていると、パリの街角を思い出します。

 そして聴きながら読んでいたのが、翻訳家・柴田元幸の本。
 そのなかに、こんな記述がありました。
「時代を切る鋭利な刃物であるだけではなく、ラジオは今も昔も、世界の風通しをほんの少しよくしてくれる装置であると思いたい」

 村上春樹の作品も、多くのアメリカ文学も、実に効果的にラジオを使っています。
 村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』(講談社文庫)などは、まさにラジオのディスクジョッキーをベースにした文学です。
 それがじつにおしゃれです。

 では児童文学でラジオを効果的に使えるかといったら、それは難しいかも知れないと思ってしまいます。
 ノスタルジーとしてしか使えないような気がします。
 でも、それを書く、大人である私たちは、ラジオから流れる、得も言えぬ叙情や、空気を掴み取ることはできるような気がします。
 テレビとは違う音だけの世界からは、限りなく想像力をかきたてられます。
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「春夏秋冬」

2010年09月08日 | Weblog
 先日、姪の結婚パーティのあと、息子の家族、娘の家族、私たち夫婦で、吉祥寺でお夕食をしましょうということで、お店を予約しておきました。
 夕暮れの吉祥寺は、若者で溢れていました。お肉屋さんの佐藤さんも、メンチコロッケを買う人の行列が出来ています。
 いつ、来てもこのお店は行列です。

 吉祥寺在住で、マンガ家の楳図かずおが特設ステージのようなところで、歌っています。トレードマークの赤と白の囚人服のような洋服を着て。
 そこをすり抜け、予約を入れたお店に。

 お夕食もすみ、チビちゃんたちも疲れがでたようで、お寝むのご様子。
 急ぎ足で駅に向かって歩いていくと、行くとき通りかかった特設会場から、「春夏秋冬」が聞こえてきました。
 つま先立ててみると、なんとご本人、泉谷しげるが歌っています。
 フォーク世代の私は、なつかしさのあまり、つい立ち止まり聴き入ってしまいました。

 人のためによかれと思い
 西から東へ かけずりまわる
 やっと みつけたやさしさは
 いともたやすくしなびた

 春をながめる余裕もなく
 夏をのりきる力もなく
 秋の枯葉に身をつつみ
 冬に骨身をさらけだす・・・。

 今日ですべてが終わるさ
 今日ですべてが変わる
 今日ですべてがむくわれる
 今日ですべてが始まるさ

 アルペジオでギターをつま弾きながら歌っていた、あのころとは違い、ロック調になっていましたが、あのすばらしい歌詞は、いまだ色あせていませんでした。
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IT時代の原稿

2010年09月07日 | Weblog
 近頃は、原稿というと、プリントアウトしたものではなく、ワードなどで添付ファイルにしてメールで送られたものがほとんどになりました。
 ですから原稿用紙に手書きというのは、ほんとうに少なくなりました。

 いま、K社で来年2月頃から出版予定の5巻のシリーズに、依頼してお寄せいただいた原稿を、毎日読んでいます。ひとつの巻が7名で構成され、それが5巻。
 このシリーズは公募ではなく、すべて依頼原稿です。
 その90%がワードなどで添付ファイルで送って下さった原稿です。
 4人の編集委員で、それを読ませていただき、あれこれ議論し、手直しをお願いするのもメール。
 わざわざ便箋にあれこれを書く手間が省け、便利になったといえば便利になりました。

 でも、この添付ファイルがなかなかの曲者です。
 パソコン同士の互換性の問題もあり、文字化けで、なにがなにやらわからない原稿があったり、小さな活字で、フォントを大きくしないと読めないような原稿があったりと・・・。
 それぞれの作家のやり方というのがあるので、それをきちんと受けとめながら、どうするか苦闘する毎日です。

 たくさんのいろいろな原稿を一番に読めるのは、私たち編集委員の特権です。
 ですから、とても楽しい仕事なのですが、パソコン上の原稿なので目が疲れます。

 ということは、出版社の編集者の皆さんは、こうした作業を日常的におやりになっているわけですから、かなりの眼精疲労に悩まされていらっしゃるのでは・・・?
 便利ではあるが目も疲れる。それがIT時代の原稿なのかもしれません。
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『きらきら宝石箱』シリーズ発売中

2010年09月06日 | Weblog
  
 
 文溪堂と日本児童文学者協会で共同企画しました『きらきら宝石箱☆』シリーズの1巻、2巻が発売されました。
 一巻目は『プリンセスがいっぱい 5つのお話』
 二巻目は『夢とあこがれがいっぱい 5つのお話』です。
 これから10月から12月にかけて、3巻、4巻、5巻が発売されます。
 表紙絵は画家のあんびるやすこさん。
 それがとってもかわいいのです。
 このシリーズのコンセプトだった、<女の子たちの大好きなものがここにはいっぱいつまっています>まさに、そういった感じです。
 
 巻によって、背景のストライプの色が違います。1巻はピンク、2巻はブルー。
 ソフトカバーの本で、子どもたちが思わず手にとって抱きしめてくれそうな本に仕上がっています。
 このシリーズの選考・編集委員は、藤真知子、村山早紀、加藤純子の3名で担当させていただきました。

 私の作品「おてんば姫と魔法つかい」は一巻に掲載されています。
 どうぞ、みなさま、書店でご覧になりましたら、ぜひお手にとってご覧ください。
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結婚パーティ

2010年09月05日 | Weblog
 今日は、今年の1月に入籍した姉夫婦の二女の結婚パーティです。
 小さい頃から「Tちゃん、Tちゃん」とかわいがっていて、大人になってからも折りにつけ、長電話でおしゃべりしたり・・・。
 ですから彼女の幸せに、私はもう感無量です。
 
 久しぶりに、姉夫婦や、姉夫婦の長女の家族、弟夫婦の家族たちとも会えます。
 我が家も、総出で出席します。
 姉夫婦の長女夫婦の娘と息子。家の長男夫婦の娘、長女夫婦の息子。
 チビちゃんたちがうろうろして、わいわいがやがや、にぎやかなお祝い会になりそうです。

 すでに大学にもどっている息子は、今日の日のために帰京し、明日は奥さんと娘。愛犬チワワのボレロと一緒に、赴任先へ戻ります。
 夫も、明日は東京での会議と会食をすませ、夜には単身赴任先に戻ります。
 楽しかった夏も、そろそろおしまいです。
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アール・ヌーボーのポスター芸術展

2010年09月04日 | Weblog
 9月6日まで、銀座松屋で「アール・ヌーボーのポスター芸術展」が開催されています。
 昨晩遅くに帰ってきた夫と、今日はこれから見に行きます。

 パリのポスターといってまず思い浮かぶのが、ロートレック。そしてミュシャ。
 19世紀終わりから、20世紀にかけて、パリはいわゆる「ベルエポック」の時代といわれる好景気に賑わっていました。
 そこで街角の「モリスの円柱」と呼ばれる広告塔に登場したのが、煌びやかなポスターです。

 息子の家族とビデオチャットをしていると、彼らの背景の壁に飾ってあり、ひときわインパクトを与えているのがロートレックのポスターです。
 ロートレックの、ムーランルージュを舞台にした、そのシルエットの陰影とモダンさには、とても惹かれるものがあります。
 でも私は、ミュシャの華やかな装飾性も好きです。
 ミュシャの絵でしたら、仕事部屋に飾っておきたいくらいです。
 複製画でもいいですから、あったら買いたいです。
 まさに、20世紀初頭のパリの華やかさを見るようで、心が浮き立ちます。

 9月6日まで開催の「アール・ヌーボーのポスター芸術展」ぜひおすすめです!
(上の写真は、ネットで見つけたサイトからお借りしました。手前がミュシャ。奥に小さく見えるのがロートレックです。↓のポスターはミュシャです)

 
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『ミラクル★キッチン』(工藤純子・そうえん社)

2010年09月03日 | Weblog
 工藤純子さんの『ミラクル★キッチン』の第四巻目、「参戦!スイーツコンクール」が発売されました。

 この『ミラクル★キッチン』シリーズは、毎回、おいしそうなお料理やお菓子が紹介され、そこに友情や家族の問題などがからみながら、ストーリーが展開していく、大人気シリーズです。

 今回は「スイーツ」。
 スイーツコンクールに参加した「かごめ」は、そこで有名パティシエである父親に向ける、冷たいまなざしの女の子と出会います。
 さあ、そこから物語は大波乱。
 そして今回は、オリジナリティあふれたおいしそうなスイーツが登場します。
 和と洋をブレンドさせた、どんなスイーツを子どもたちが作り上げるのか、読んでの、お楽しみです。

 毎回、主人公の「かごめ」をはじめとして、子どもたちのキャラが立っています。
 その子どもたちがぴちぴち元気に飛び回り、そして悩み、ストーリーもぐいぐい動きます。物語のラストも安心して受けとめることができます。
 これぞ、エンターテインメントの醍醐味です。

 ぜひ、皆さま、お読みになってください。
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月下美人

2010年09月02日 | Weblog
 月下美人は、サボテン科クジャクサボテン属で、メキシコ原産の花です。
 なにしろ、一年に一度、たった一夜だけ、そのうつくしい花びらをひらかせ、そして朝には萎んでしまうという、まさに幻のような花です。

 その月下美人を、今年もマンションの5階にお住まいのNさんご夫妻から頂戴してしまいました。
 ご夫妻で丹誠込め、一年がかりで咲かせる月下美人。
 愛情がたっぷりと込められた花です。

 素人には、なかなか咲かすことのできない花のようです。
 ベランダに出したり、部屋の中にいれたり、気候とお天気と空気と湿度と、そんなさまざまな自然現象を考慮しつつ、手塩にかけて育てられた花です。

 昨晩、我が家にお持ち下さった、その月下美人。
 今か今かと、12時半まで待っていましたが、とうとうダウン。
 途中までの写真しか撮れませんでした。
 媚薬のような芳香を香らせながら、優雅に少しずつ、ほんとうに一時間に一ミリか二ミリづつ花びらがひらいていきます。
 Nさんご夫妻、幻想的な瞬間に立ち会わせていただき、感動でした。
 ほんとうにありがとうございました。
・・・それで、完全な開花は何時頃でしたか?
 深夜の2時ごろでしたか?
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色取月(いろとりづき)

2010年09月01日 | Weblog
 今日から9月です。
 色取月という異名があるくらい、9月には夏の花々に加え、秋の花が咲き、木の葉の色づきもはじまり、秋の夜長に空をながめればうつくしい月・・・。
 そんな彩りゆたかな月です。
 そこからこの、色取月の異名がついたようです。

 現実には、真夏日・熱帯夜と、連日連夜、暑さと格闘する毎日ですが、先日、夕方お買い物にでかけ、ふと見上げた木立からはすずやかな秋の風が・・・。
 風の匂いや感触が、真夏のそれとは違っていました。
 暑い暑いといいながらも、秋は確実に近づいているようです。
 もうひとふんばりです。
 がんばって、この暑さを乗り切っていきましょう。
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