葉山の四季

葉山の四季をお伝えしたいと思います。

マルクスと漱石の接点 ロンドン。

2022-09-02 18:40:04 | kaeruの『資本論』

マルクスと友だちになるかならないか、が問題ではない、ならば何が問題なの? と。それはマルクスについて特に『資本論』について不破さんと石川さんが言っている共通のことを知ることの大切さを問題にしたい、ということだなと自問自答しました。

すると、脇にあった何冊かの文庫のなかのこの本 が目につき、以前漱石が『資本論』を読んだか? というようなことを書いたものを思い出しました。

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そこで「漱石 資本論」で検索してみて、こちら……

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平野喜一郎氏の「夏目漱石と『資本論』」今年はマルクスの『資本論』刊行150年です。 当方は、『資本論』に対し、どのような方がどの様か紹介をするか注目しているんですが...

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折角ですので全文記しておきます。

 今年は『資本論』第1部発刊150年、そして、夏目漱石生誕150年の年です。
 漱石は留学地の英国で『資本論』と出合い、購入しました。その本は東北大学付属図書館の「激石文庫」に保管されています。 1901、02年のロンドン滞在中、彼がその地で見たものは、すべてを支配する金力と「財産の不平均」「貧富の懸隔甚だしき」こと。 彼は義父への手紙にこのことを書き送り、マルクスの説について「今日の世界にこの説の出ずるは当然の事」とのべています。
 帰国後、日本も事情は同じだと考えました。07年8月、漱石は友人に送った手紙に次のように書いています。
 「細民はナマ芋を薄く切って……食って居る由。芋の薄切りはと択(えら)ぶ所なし。 残忍なる世の中なり。 而(しこう)して彼等は朝から晩迄(まで)真面目に働いている」。 ところが他方で、「岩崎の徒を見よ!!! 終日人の事業の妨害をして…三食に米を食っている奴等(やつら)もある。漱石子の事業は此等の敗(背)徳漢を筆誅(ひっちゅう)するにあり」
 三菱創業者の一族、岩崎への反感は同年の『野分』で噴出しています。 高柳君は思う。「岩崎の塀が冷刻(酷)に聳(そび)えている。 あの塀へ頭をぶつけて壊してやろうか」と。

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 三菱は戦前、絶大な支配権を持ち、軍国主義や戦争と深くつながった財閥のトップでした。諸財閥は1880年の官業払い下げによって政府から工場や鉱山をタダ同然で入手しました。 中でも三菱は特別でした。創業者の弥太郎は下級武士の郷士の資格さえ売って地下浪人となった岩崎家の出身です。江戸時代の豪商の流れをくむ三井住友・鴻池財閥と違い、 三菱は維新後、薩長政府と特別に結びついて西南戦争などに運送面で協力し、特別に政府の庇護(ひご)を受けました。
 そのため、佐渡金山、生野銀山、長崎造船所など、最も価値ある資産を払い下げられました。 三菱財閥こそ日本中の富が、貨幣と資本が集中した金力家でした。 漱石の怒りは当然でした。

 金力家への怒りが作品の底流にあります。 第一作『吾輩は猫である』(05年)では、金持ちの金田グループと苦沙弥(くしゃみ)先生のグループとの対立が物語を進行させています。 金田一党は物質的利害関係でつながった利益社会です。 他方、苦沙弥先生たちは学問や芸術を通じた人格社会です(滑稽に戯画化されていますが)。

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 利益社会を動かす利己心は、それを生み出す貨幣とともに、その後の作品の主要なテーマの一つです。 最後の未完作『明暗』(16年)では入院費や父からの送金など、 お金をめぐる利己主義が物語を進めます。『明暗』に大きく重い「経済学の独逸(ドイツ)書が出てきます。漱石は題名を挙げずに 『資本論』を登場させているのです。
 漱石の作品は文学論のほか、さまざまな学問分野から数多くの研究がなされています。加えて、『資本論』の視点から分析することでさらに新しい視野が開け、より豊かな漱石の世界が現れることでしょう。

    平野喜一郎(ひらの・きいちろう 三重大学名誉教授)


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2 コメント

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資本論も マルクスも (屋根裏人のワイコマです)
2022-09-03 11:47:20
夏目漱石の書籍は少しだけ読んだことがあります
でも 明治の人の書籍は 重い。 
漱石が岩崎財閥になんと対抗しようとも所詮無理
人間社会は それぞれの人間が各々の生き方を選択
して生きている 学校の授業も先生は皆に共通の
勉強を教えているが、成績は1~5まで多種多様です
全員が5でもいけないし 全員が1でもいけない
マルクスの 資本論を知らない人も 普通に幸せな
生き方をしている人たちが大勢いる
夏目漱石は 俳人の漱石も意外とファンが多い
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学説の出どころ (カエル)
2022-09-03 23:27:03
漱石が20世紀の初めの頃のイギリスの社会で暮らして
マルクスの学説が生じるのも「当然の事」と感じたの
は作家として偏見にとらわれず、まともに生活を通じ
て社会を見た結果でしょう。

マルクスの学説が、天才というべき頭脳の働きではあ
っても社会の実態に根を据えた見方であって、そこに
漱石が共鳴したのだと思います。
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