「お帰り寅さん」と関連させて、「お帰りマルクス」とか「お帰り『資本論』」的なことを「つぶやき」ましょう、と考えていたのですが、今日この本を手にして「お帰りマルクス」と言う前に「マルクスは生きている」ことに言及しておかねば、と思ったわけです。
まずはこの本、
文字通り「マルクス生存証明書」なのです。寅さんの場合は「寅さんが生き返った」ことを証明する必要はないでしょう。マルクスの場合はそれが必要な理由を不破さんが、この本の「はじめに」でこう書かれています。
なお、本の発行されたのは2009年5月です。
はじめに
十八年前にソ連が崩壊したとき (一九九一年)、 「マルクスは死んだ。 資本主義万歳!」と、 勝ちどきをあげた人たちが一部にいました。
それから八年たった一九九九年、イギリスのBBC放送が、国内と海外の視聴者を対象 に、 「過去千年間で、もっとも偉大な思想家は誰だと思うか」というアンケート調査をおこないました。調査の結果は、カール・マルクスが圧倒的な第一位でした。 第二位はアイン シュタイン、 第三位はニュートン、第四位はダーウィンと、三人の自然科学者がそれに続き、資本主義をほめたたえた思想家は、一人も上位には現れませんでした。
そしていまです。さらに十年たった二〇〇九年、貧困と格差、金融と経済の危機など、 体制の根底をゆるがす暴風が資本主義の世界で荒れ狂っています。日本でも世界でも、「資本主義の限界」が実感され、「この世界の前途をどう見るのか。マルクスの意見を聞きたい」という声が広がっています。
マルクスは、 十九世紀に生き、活動した思想家です。 そのマルクスの意見が、なぜいま求められるのか。これまでにも、「マルクスは死んだ」という声が聞かれた時期は、現代の世界の歴史のなかで何回もあったことですが、マルクスは、そのたびによみがえりました。 なぜ、マルクスはいつもよみがえり、世界からその声が求められるのか。
その答えを見出す道は、マルクスの思想と活動をたずねる以外にはありません。この本は、その問題意識から、マルクスの真実の姿を読者に紹介しようとして書いたものです。マルクスはその思想も活動もたいへん多面的な人物ですが、私は、そこからマルクスの三つの顔をとりだしたいと思います。
それは、
唯物論の思想家・マルクス
資本主義の病理学者・マルクス
未来社会の開拓者・マルクス
この三つの顔です。さっそく、マルクスを紹介し、その目で現代の世界を見る仕事を、「唯物論の思想家・マルクス」の紹介から始めましょう。
(以下略)
どんな世界にも 支配階級と 労働者は 存在する
今 マルクスを学んで理解して個人の能力を高めて
も 支配階級にはなれないしなるつもりもない。
世界の中で圧倒的な支持を受けるマルクスが なぜ
未だに社会統一が出来ないのだろうか
私には 難しい問題で 理解できません。
21世紀の社会主義への展望は20世紀の世界史的経験のうえに立って、理論的再構築をすすめる先にあります。その点で日本の位置は決定的だと思います。