ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションでは、参加者全員が選ぶ「People's Choice Award」という賞があり、毎年3人(組)が選ばれます。今年は日本の若手作家のホープである佐藤元洋さんが、みごと受賞しました。
今までこのコンベンションで吹きガラスの作家さんが受賞したことはなかったと思います。 ガラス工芸の新しい分野でのチャレンジが認められただけでなく、ガラス造形作品としての魅力、万華鏡としての品質の高さ、映像の美しさで、多くの人を魅了しました。
タイトルは「風のいたずら」です。
麦畑に吹きわたる風。 気まぐれに、遊ぶように、穂先をゆらしながら、全体が波打つように見える景色。
そして光を受けて琥珀色に輝く・・・そんなイメージで創られた作品です。
先端部のオブジェクトセルがスムーズに回転するようベアリングを組み込んでいますが、表には全く見えず、ガラスの美しい統一感を見せるその仕組みも素晴らしいです。
大変細かいガラスオブジェクトの一つ一つがバーナーワークによるもので、透明感と色合いの美しさ、組み合わされた時の多彩な模様が魅力的ですね。
この作品は、アメリカの作家であり、コレクターとしても有名なジュディス・ポールさんのところへ行くことになりましたので、日本でのお披露目は残念ながらありません。 ジュディスさんだけでなく、多くのアメリカの作家さんが佐藤さんのところに来て、口々に「素晴らしい!」というのを聞き、日本人としても、佐藤さんの万華鏡ファンのひとりとしても、大変嬉しく、誇らしく思いました。
依田満さん・百合子さんご夫妻、山見浩司さん、中里保子さんに次いで、佐藤さんが4人目の日本人受賞者になりますが、それ以外にも日本人の作家さんたちの台頭は素晴らしいものがあり、そのことがアメリカの作家さんにもおおいに刺激になっていると、何人かの人から言われました。
佐藤さん、本当におめでとうございました!