虹の女神
2007-09-07 | 読書

桜井亜美著 幻冬舎文庫


新宿副都心の上空に
まっすぐ伸びる虹を見つけた智也は
携帯のカメラで水平の虹を撮影し
メッセージと共にあおいにメールをした
<相変わらず元気でやってる?今朝、不思議な虹が出てたから、あおいにも見せたくなった。>
そんな矢先
智也は
ニュースで
親友・佐藤あおいが
アメリカの飛行機事故に遭ったことを知る
夢をひたむきに追う彼女に
いつも自分の歩く道を照らされてきたのに・・・
9月12日 午後1時
「The End of the World 青への扉」あおい追悼上映会
学生時代
映研であおいが監督した
自主映画を観て
彼女が友情と恋の狭間で選んだ答えを知る
そして
上映会当日
あおいの妹・かなから預かったという

-To Tomoya-
一生他人の目にさらされるこのとないはずだった
メイキング
いや
それは
岸田智也へのビデオレター
ビデオレターを見た智也は
あおい妹・かなの元を訪れる
そして
遺品の中からあおいの携帯を見つける
ぼくは無言のまま
受信トレイの既読アイコンを見つめる
君は
このメールを見てくれていた
虹は矢のように
地球を半周して
まっすぐ君の元へ届いていたんだ
でも
返信メールを打つ時間はなかった
それぐらい奇跡みたいにぎりぎりに間に合った・・・
最後の瞬間に
虹がぼくと君を繋いでくれた
君は何を想っただろう
もし
ぼくが自分でもずっと気づかなかった本当の恋を
虹の中に見つけてくれたなら・・・


if…
それはありえない
過ぎ去った過去に戻ることはできない
ぼくは
自分がどこにいるのかも分からない
やがて
すべての感覚が失われ
闇の世界の底へとどこまでも落ちていく
光が一筋もささない果てまで落ちても
抜け殻の廃墟になった身体に
まだ涙だけが残っていた
エピローグとして
その後の岸田智也の姿が描かれているとは言え
賛否両論あるだろうな~
と思われるストーリー
歯がゆいと申しますか
イライラすると申しますか
あまりにも愚かなで優柔不断な智也には
あたくし
憤りを覚えてしまったりしました
抒情詩的作品と感じつつ
読み進めていかれる方には
感動的な余韻の残る
作品となると思われます