アルベルト・カミュ著 新潮社文庫
やっと・・・
読み終えた「異邦人 L'ETRANGER」
抑揚の無い
日々の描写が永遠に続く感じ・・・
‘気だるさ’‘怠惰さ’とはまた違った風
すべてが蜃気楼のごとく
知らぬ間に蒸発して
後には
何も残っていない・・・風
主人公・ムルソーは
異次元に独り取り残されたごとくぼんやりとしており
現世での死刑の判決を受け入れる
死刑という行為を
認識しているのかいないのか・・・
淡々とした主人公・ムルソーの行動が
時として理解しがたく
時として真意を得たり(と錯覚しながら)
読み進んでいった風
主人公・ムルソーの生涯を見ていると
人間の行為・行動には
意味とか理由とか動機ってモノが
ないのか・・・もしかして・・・
と
ふと思わせる
全てが無意味なことよのように思えてくる
人の一生って
‘ぼんやりとした陽炎’?
主人公・ムルソーが
殺人を犯すシーンには
ものの見事に感情の起伏がなく
と言うより
平常心そのもの
裁判中の
検事の態度・・・
主人公・ムルソーに悪意でもあるかのような言動
被告人を死刑にするのが趣味
みたいな検事・・・
山口県の母子殺害事件で
論ずべき事件が棚上げされ
死刑廃止論を論議している裁判に似ている
内容や主人公の心情・心理は全然違うとは思うけど
「私は貝になりたい」の主人公・清水豊松の‘だんまり’のシーンが
オーバーラップした
アルベルト・カミュの描いた
「異邦人 L'ETRANGER」の世界は
一文学の世界だけでなく
現代にも
不条理の世界があることを
如実に語っている
主人公・ムルソーは
現実の世界で
理解されることを拒み
異邦人 L'ETRANGERとなった