時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

サッド ヴァケイション

2007-09-12 | 映画


あらすじ
北九州の港に一隻の船が到着する
乗っていたのは中国からの密航者
彼らの手引きをしていた健次は
船内で父親を亡くしてしまった少年アチュンを連れて家へと逃げ帰る
5歳のときに母に捨てられ
精神を病んだ父親も自殺してしまった健次は
ある事件をきっかけに
幼なじみでヤクザだった安男の妹・ユリと共に暮らしていた
知的障害者であるユリ
まだ幼い無邪気なアチュンとの新たな共同生活に
健次は安らぎを感じ始める




若戸大橋のたもとに間宮運送という小さな運送会社がある
社長の間宮は
かつてバスジャック事件の被害に遭った梢
借金取りに怯える後藤
ヤクザに追われる者
資格を剥奪された医師ら
脛に傷持つ流れ者たちに職と住み処を与えていた
彼らは
お互いを詮索することなく一定の距離を保って暮らしているが
本当は心のどこかでつながりを求めている彷徨い人
行き場のない彼らを
間宮は放っておくことができない


まるで接点がないかのように見えたこのふたつの疑似家族が
運命のいたずらによって交わることになる
中国人の追っ手から逃れるために運転代行へと職を変えた健次が
ある日
慣れない酒に酔って運転できなくなった間宮と出会ったのだ
そして
間宮運送まで送り届けた健次は
玄関先に出てきた間宮の妻・千代子の姿を見て驚愕する
千代子は
かつて健次を捨てていった母に違いなかった




再び母とひとつ屋根の下で暮らし始めた健次
「あの女を不幸にするためなら、どんなことでもやってやる」

ずっと胸に秘めてきた健次の復讐心は
日に日に大きくなる千代子という母親の存在に惑わされ
翻弄される
唯一心を通わせる恋人の冴子に会ってもイライラの消えない健次は
ある夜
ついにその復讐心を異父兄弟の勇介にぶつけ
失踪へと追い込んでいく
かつて母だった女
そしてかつて息子だった男
つながりを求める者
そして断ち切る者
どんなに健次が千代子に復讐を果たそうとしても
その前に立ちはだかる偉大なる母

すべてを包み込みながら美しく生きる、”ゆるぎない女たち”
梢、ユリ、冴子、そして千代子
やさしく
したたかな女たちの笑顔が
男たちを未来へと導く


             CINEMA TOPICS ONLINEより引用



映画「HERO」で
最後にしようかと思ったんだけど
結局
昨日渋谷シネマライズで行ってしまった・・・


勇介を永遠に失い
健次は刑務所へ・・・
跡取りを同時に失い
母親として
相当なダメージを受けたにもかかわらず
「男は好きにすりゃ~ええんよ」
と言い切る母・千代子
このパワーに
周囲の男たちはタジタジ

いや
間宮運輸にやってきた男たちは
梢、ユリ、冴子、千代子
この偉大なる女たちに
赤子のように
ただただ手の上でもてあそばれる感じ
したたかなんだけど
厭味のない
実は偉大な母性を感じます



とは言え
旦那がよそに子供を作ったって言って
健次を置いて出て行いった千代子
万引きをした勇介に
「あの子はもうダメ」と
さっさと見切りをつけた千代子
勇介と健次を失っても
冴子のお腹に健次の子供が宿っていると知った途端
間宮家に冴子を引き込む千代子

多くを語らない千代子
ある意味
彼女を”ゆるぎない女”の代名詞なんだろうけど
はたして
そこに母性
あるのだろうか

どちらかと言えば
種族繁栄を念頭においた
母性本能
を描いた作品って感じがした

ちなみに
「サッド ヴァケイション」は
青山真治監督作品「Helpless」「EUREKA ユリイカ」に続く
“北九州三部作”の最終章らしく
「Helpless」の健次役を10年前に演じた浅野忠信氏
『EUREKA ユリイカ』の梢役を7年前に演じた宮崎あおいさんが
続投しているとのこと
全作品を始めから見ると
また違った印象を受けるかもしれませんね



9月8日(土)よりロードショー公開中
「サッド ヴァケイション」オフィシャルHP
http://www.sadvacation.jp/