橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #319 ≪二つの価値≫

2016年02月12日 | EHAGAKI

 

お世話になります

相変わらずの北朝鮮です
様々な制裁が行われ、今後さらに強化することになりそうですが、はたして効果があるのか?と疑問です

韓国側から大音量で放送する拡声器放送、これは効果があるそうです

どんな内容が効果的か?
政治的メッセージ、まぁ、そんなものは簡単には信用されないでしょう

実は、天気予報が効果的だとか
北朝鮮の天気予報はかなりアバウトらしく、韓国から流れてくる天気予報はかなり正確!
結果が判断しやすい情報、これにより政府に対する不信感が増し、韓国に対する信頼感が増す

北朝鮮側は韓国との交渉に度に、特にこの拡声器放送に激しく抗議を繰り返しているとのことです
天気というものの現実、その読み、見解は、政治とは関係なく結果に基づいて支持される、ということでしょう

別のお話

北京のアメリカ大使館が大気汚染の測定器を大使館に置き、ネットで情報公開
中国政府は猛反発、曰く「内政干渉だ!」と

アメリカ
「いやいや、これはあくまで中国に居るアメリカ人に向けて発信しているものでそんなことありませんよ」

中国
「中国政府は何十か所から測定している、アメリカ大使館の一か所だけとでは正確度が違う」

という応酬もその後、中国側の測定はPM2.5まで測定出来ていないことが判明、中国政府にとっては大きな打撃であった、とか

正しいと判断できる情報の積み重ねが、信用されるには不可欠である、ということでしょうか

個別の事情・思惑より、誰もが理解できるコトの方が支持される

「地球の環境は、保全しなければならない」
これに反対する人はいないハズです

前々回#317≪立つ瀬がない多様性≫と同じく「生物多様性」からのお題です

生物多様性 - 「私」から考える進化・遺伝・生態系 (中公新書)
本川 達雄
中央公論新社

「生物の多様性に関する条約 」というものがあります


2015年5月現在、194ヶ国が締結しています(米国は未締結)

第一条の目的はこう書かれています

この条約は、生物の多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分をこの条約の関係規定に従って実現することを目的とする。

つまり、「皆で保全し、公平に使って行こう」ということです
しかし、それぞれの国や地域の大人の事情が絡みますから、簡単にはいきません

その前文に、こんな解りにくい一節があります

「締約国は、生物の多様性が有する内在的な価値※2、並びに生物の多様性及びその構成要素が有する生態学上、遺伝上、社会上、経済上、科学上、教育上、文化上、レクリエーション上及び芸術上の価値※1を意識し、」

やっかいな表現ですが、二つの「価値に対する見方」が書かれています

※1、手段的(道具的)な価値 ~ 生態系サービス ~ 人間に役立つもののこと

これは人間にとって有用なものを価値があるとする考えで、人間が価値の有無を決める
そのものを手段(道具)として使うと自分にとって価値のあることができるから、手段の方にも価値があるという考えるのです

※2、内在的な価値

これは人間がどう評価するかとは関係なく、存在そのものに価値があるとする見方です

以下、本文より抜粋 ↓

それにしても内在的な価値などという、その道の専門家しか知らない学術用語がこんな場所に出てくるのには奇異な感を否めません。
じつはこの箇所は、原案では内在的な価値などというなじみのない言葉ではありませんでした。

「人類が他の生物と共に地球を分かちあっていることを認め、それらの生物が人類に対する利益とは関係無しに存在していることを受入れ」

となっていたのです。まことに解かりやすい文章です。

ところがマラリアを媒介する蚊のようなものをも価値ありとするのは困るという意見を受けて、現在の形になったという経緯があります。
もちろん内在的な価値を認めれば蚊にも価値があることになるのですが、そのあたりを難しい言葉を使って曖昧にしたのでしょう。

↑ 以上抜粋

ということでした

それぞれの国に事情があるので、あえて曖昧にする
国際的な条約では“まだましな方”なんでしょうね

健康の為なら死んでもいい!的な発想で考えると人間が居なくなれば、偏った使い方、消費もなく、地球の生物多様性は保全される、ということでしょうか

まぁ、そうもいきません

すでに取り返しのつかない状況にあることは、皆うすうす感じてる訳ですが、なんとか人間も多様性の仲間に入れてもらわなければなりません

フランスの「大手スーパーマーケットの食品を廃棄処分することを禁じる法律」

こんな取組、つまり世の中の仕組みの見直しが急がれる、と愚考する次第ですが、一方で地球上のすべての生物にダメージを与える“戦争ビジネス”はどんどん拡大?

なんとも歯切れが悪いですが

ではまた


以下、その「生物の多様性に関する条約 」の前文です
「へたくそか?」と思う文章ですのでスルーして下さい

条約とはこんなモノなんでしょうか、ご興味のある方のみご参考に

 

環境省自然環境局「生物多様性条約」の全文(邦訳)
前文
締約国は、生物の多様性が有する内在的な価値並びに生物の多様性及びその構成要素が有する生態学上、遺伝上、社会上、経済上、科学上、教育上、文化上、レクリエーション上及び芸術上の価値を意識し、

生物の多様性が進化及び生物圏における生命保持の機構の維持のため重要であることを意識し、

生物の多様性の保全が人類の共通の関心事であることを確認し、

諸国が自国の生物資源について主権的権利を有することを再確認し、

諸国が、自国の生物の多様性の保全及び自国の生物資源の持続可能な利用について責任を有することを再確認し、

生物の多様性がある種の人間活動によって著しく減少していることを懸念し、

生物の多様性に関する情報及び知見が一般的に不足していること並びに適当な措置を計画し及び実施するための基本的な知識を与える科学的、技術的及び制度的能力を緊急に開発する必要があることを認識し、

生物の多様性の著しい減少又は喪失の根本原因を予想し、防止し及び取り除くことが不可欠であることに留意し、

生物の多様性の著しい減少又は喪失のおそれがある場合には、科学的な確実性が十分にないことをもって、そのようなおそれを回避し又は最小にするための措置をとることを延期する理由とすべきではないことに留意し、

更に、生物の多様性の保全のための基本的な要件は、生態系及び自然の生息地の生息域内保全並びに存続可能な種の個体群の自然の生息環境における維持及び回復であることに留意し、

更に、生息域外における措置も重要な役割を果たすこと及びこの措置は原産国においてとることが望ましいことに留意し、

伝統的な生活様式を有する多くの原住民の社会及び地域社会が生物資源に緊密にかつ伝統的に依存していること並びに生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用に関して伝統的な知識、工夫及び慣行の利用がもたらす利益を衡平に配分することが望ましいことを認識し、

生物の多様性の保全及び持続可能な利用において女子が不可欠の役割を果たすことを認識し、また、生物の多様性の保全のための政策の決定及び実施のすべての段階における女子の完全な参加が必要であることを確認し、

生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用のため、国家、政府間機関及び民間部門の間の国際的、地域的及び世界的な協力が重要であること並びにそのような協力の促進が必要であることを強調し、

新規のかつ追加的な資金の供与及び関連のある技術の取得の適当な機会の提供が生物の多様性の喪失に取り組むための世界の能力を実質的に高めることが期待できることを確認し、

更に、開発途上国のニーズに対応するため、新規のかつ追加的な資金の供与及び関連のある技術の取得の適当な機会の提供を含む特別な措置が必要であることを確認し、

この点に関して後発開発途上国及び島嶼(しょ)国の特別な事情に留意し、

生物の多様性を保全するため多額の投資が必要であること並びに当該投資から広範な環境上、経済上及び社会上の利益が期待されることを確認し、

経済及び社会の開発並びに貧困の撲滅が開発途上国にとって最優先の事項であることを認識し、

生物の多様性の保全及び持続可能な利用が食糧、保健その他増加する世界の人口の必要を満たすために決定的に重要であること、並びにこの目的のために遺伝資源及び技術の取得の機会の提供及びそれらの配分が不可欠であることを認識し、

生物の多様性の保全及び持続可能な利用が、究極的に、諸国間の友好関係を強化し、人類の平和に貢献することに留意し、

生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用のための既存の国際的な制度を強化し及び補完することを希望し、

現在及び将来の世代のため生物の多様性を保全し及び持続可能であるように利用することを決意して、
次のとおり協定した。

環境省自然環境局「生物多様性条約」の全文(邦訳)



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