橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #375≪地域をまわって考えた≫

2019年08月01日 | EHAGAKI

「田舎暮らし」

どんなイメージを抱くでしょうか
なんとなく「夢の・・・」というぼんやりしたイメージが

私の場合、1980年代の終わりから興味があり、お遊びも
しておりますが、逆に今は東京に住んでおります

さて、今回のお題は「地域をまわって考えたこと」です

最近よくあるパターン
「ラジオで聞いて、その話題の本をチェック、面白そうなら読む」

今回は、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」で
小熊英二氏がゲストで、日本の現状を淡々と述べておられるのが
印象に残ったので取り上げます

その放送時のメモ
(ラジコで聞き直して)

そしてその著書
「地域をまわって考えたこと」 の「あとがき」を
拾ってみました

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

今の日本社会について
◆文化放送 大竹まこと ゴールデンラジオ
7/23 ゲスト:小熊英二氏

メモ)
80年代以降、正社員の数は変わっていない
非正規雇用が増えている

どこが減っているのか
自営業、農林自営や自営個人商店が非正規雇用にシフトしている

地方の風景は大きく変わっている
大型ショッピングモール、パチンコ店、物流倉庫
デイケアセンターと、どこに行っても同じ風景

むしろ都会の方が変化が少ない

社会は変わったか → 立場により見え方が違う

正社員の約半分が年功賃金で、上がっていく
この人達の比率は全有業者の27%で30年間変化無し

変化のない人は、そこが不満であるものの
どちらかと言えば現状維持思考

立場によって世の中の見え方が違う

元々、老後は年金だけでは成り立っていなかった
農林自営業で定年が無い
持家があり、長男夫婦が同居、子供も働く
家族として総合的に維持していた
そして、5〜6万の年金はお小遣い的なモノであった

家族がバラバラになり、農林自営業から非正規雇用にシフトし
場合によっては家賃も払わなくてはならない

とても保たない
昔の形では保たない

元々、一人の賃金だけでやっていける所帯は
上の三割ぐらいしか居なかった

ただ農林自営業や商店で地域の繋がりがあり
現金収入が少なくてもやっていけた

一家総出で働く
家長:農林自営業
奥さん:パート
長男:会社員
娘さん:公務員
一人一人は低くても合計でやっていた
元々ギリギリであった

地域の繋がりが薄れて、家長が非正規雇用にシフトし
バラバラになったら成り立たなくなった
個々人の収入では成り立たなくなった

橋長)
参議院選挙、得票の内訳をみると
安定的に強いと思っていたところが減っていたり等
マスコミの発する言葉ではなく
数字に基づいた分析の大切さを実感します

理解していない、と思われるコメンテーターが語るテレビ

実際に数字にあたって調べている「識者」が語るラジオ

情報源はラジオがいい、と愚考します

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

地域を回って考えたこと
小熊英二著 東京書籍

◆「地域をまわって考えたこと」小熊英二著

あとがき

「地方」それは暗黙のうちに
「中央」と対極にあることを前提とした言葉である

こういう意味での「地方」を英語に翻訳するのはむずかしい
ローカル:local は、「地元」というニュアンスが大きい

他国の日本研究者から、日本語の「地方」に適した訳は
周辺:periphery ではないかという意見もあった

そのような「地方」は、中央からみて一律に語られるにすぎない
当然実際は、それぞれの地域は事情がちがう

中央とみなされがちな東京都にも、高齢化に悩む地域は多い
当然だが、往々にして、中央/地方という固定観念
色メガネは根強い

ありがちな「田舎暮らし」の夢
地方は一律に自然にあふれ、 人情に満ちているように描かれる

逆に、一律に貧しかったり、所得が低かったりするように
描かれることもある

そういう「地方」のイメージには懐疑的であるべき

ただし「地方」という言葉が必要とされた経緯がある
戦争のために、産業が壊滅し、人口配置と産業構成が
変わらざるをえなかった

都市部のその経緯が大都市以外の諸地域に
一定の傾向性をもたらした

つまり「地方」という言葉は便利であった

とはいえ、それぞれの地域は
それぞれの地形、気候、土質、水質を持っている
産業構造、 交通事情、 周辺環境、 政治構造なども異なる
「地方」という一律の言葉のもとでは、みえない

人間が経済や政治などの営み、その営みの積み重ねを歴史とよび
できたものを慣習や文化とよぶ

複雑な多元方程式をどう理解すべきか

フランスや台湾の過疎化や一極集中は
日本より深刻ではないかと思われる
そんな中、それぞれの地域は歴史による秩序を持っている

人びとは、そこでさまざまな試みを行っていた
たとえばある旧東ドイツの農村は
周辺の村が過疎に苦しむ状況のなかで
再生可能エネル ギーで村おこしをしていた

あるメキシコの村は、観光客の誘致に努める一方
教会と広場と墓地の配置に地理的秩序を保っていた

タイの地方都市では、バンコクからUターンした青年が
古い民家をカフェに改造していた

こんな試みは、 世界の各地で行われている
人間は国や言語がちがっても、 それほど違わない
もちろん、 気候、地形、積み重ねられてきた歴史から
慣習や文化も違う

しかし、どれも人間が与えられた条件のなかで作ってきたもの
何が条件だったのか、理解できる部分は多い

日本の地域社会を訪れると、自治会や町内会、消防団
商店会などが大きな役割を果たしていた

災害があったとき、 必要な支援物資の数量を申請し
届いた物 資を配布するのは自治会長の仕事

再開発や公共施設整備などの合意をまとめたりするうえでも
地方自治体は、自治会長や商店会長を頼りにしていた

彼らは地域社会のネットワークによって
行政職員の仕事をカバーしてきた

日本は公務員が少ない
人口千人あたりの公務員数は
ざっとフランスの3分の1
アメリカの4割
イギリスの半分ほど

日本は、他の先進国では有給公務員がやっている仕事を
自治会長や民生委員などにまかせてきた

つまり日本は、 地域社会の安定性に依存しながら
安上がりな国家を築いてきた

政府支出の面からみた費用対効果からいえば
効率のよい国家である

しかしその前提は、維持が難しくなった
地域を訪れてみれば、それは一目瞭然

自治会長は高齢化し
状況を把握できる住民も高齢者に限られつつある

近年の災害被災地では、高齢の自治会長が
届いた避難物資を配りきることができず
過労で倒 れたという話も耳にする

本来、自治体職員がそれをカバーすべきだが
町村合併で職員は減少している

地域社会の安定に安住してきた日本社会は
これから質的な転換を迫られる

新しい担い手が育ってこないかぎり
地域社会の持続、日本社会全体の持続も危ぶまれる

橋長)
筆者はこうした転換せざるを得ない時期にあって
6つの地域への移住者への取材で本文をまとめています

・福井県鯖江市
 800を超える町工場が新しい風を育む
・東京都檜原村
 「夢」や「理想」がなければ人は変化に耐えられない
・群馬県南牧村
 夢物語から現実へ
・静岡県熱海市
 原点と経験
・宮城県石巻市
 「災害ユートピア」のあとで、災害が開いた扉
・東京都板橋区高島平団地
 移住者が作り続ける町

大洗 那珂湊おさかな市場

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

ということでした

日本の現状・課題
まず知ることが大切
ということは言うまでもありません

この本の中にも出てくるのが
「都市の仕事も、田舎の仕事も同じ」ということ
創意工夫の積み重ね、ということです

世の中の課題にどう関わっていくか
60オーバーの課題だなぁ
と、愚考する今日この頃です

ではまた

砂町銀座


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