ウイスキーが好きです
スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダそして日本が
「世界の5大ウイスキー」と言われています
蘊蓄(うんちく)好きの酒飲みにとっては
ちょっと気取って「ゆったり呑める酒」であります
かの村上春樹も「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」
というアイラ島の紀行文で奥さんの写真とともに一冊書いております
私もシングルモルトウイスキーに関して
EHAGAKI #297≪尊い多様性≫に御託を並べております
2015年01月21日
さて、今回のお題は、普段呑むリーズナブルなウイスキーのお話しです
「日本ダメなところ」が日本のウイスキーにも見受けられます
◆ ◆ ◆ ◆
参考)
東洋経済 石阪友貴記者の記事
◆背景
ハイボールブーム → 国内のウイスキー需要が拡大
海外輸出も2017年は過去最高を記録
消費量はブーム前の2008年から2015年には1.8倍に拡大
この10年で、「山崎」や「竹鶴」といったジャパニーズウイスキーが
国際的な品評会で賞を受け高い評価を得ている
◆ウイスキーとは
・大麦を原料とするモルトウイスキー
・とうもろこしなどの穀類が原料のグレーンウイスキー
・モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキー
・単一蒸溜所のモルト原酒のみを使ったシングルモルトウイスキー
などがある
リーズナブルなウイスキーはブレンデッドウイスキーが主流
◇旨ければいいんです(は)
◆原酒不足への対応
製造手法の違いから、モルト原酒は大量生産できるグレーン原酒
に比べて原酒不足に陥りやすい
・サントリーは2013年3月から年代表記が入った一部の「山崎」を終了
・ニッカは2015年9月に年代表記入りの「余市」「宮城峡」の販売を終了
◆出荷数量を増やしているのはより安価な「角」や「ブラックニッカ」
(国内市場のほぼ半分を占める)
こうしたウイスキーは、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドして作る
ブレンデッドウイスキー
サントリーは
「早期に高級品の計画出荷を行い、全体で供給バランスを
取っているため増産が可能」(会社側)とする
熟成期間の短いモルト原酒やグレーン原酒が使用できるからだが
「その比率は公表していない」(同社)
◆ ◆ ◆ ◆
アメリカでは
◆日本では見たことがないジャパニーズウイスキー
「Rice Whisky」(コメウイスキー)がある
「KIKORI」(キコリ)という銘柄
ウイスキー専門誌『Whisky ADVOCATE』では
「バターやクッキーのような香り。
味わいは洋梨やドライジンジャーのよう」
と評され、米国の通販サイトでは5000円前後で販売されている
キコリは焼酎メーカーの常楽酒造が米国の販売元企業から
委託を受けて原酒を製造している
ところが同社は焼酎とリキュールの製造免許しか持っていない
つまり日本国内ではウイスキーの製造ができない
ウイスキーと焼酎は蒸溜酒としての製法は似ている
麦焼酎の場合、原料となる麦を発酵させ蒸留
場合によっては樽で熟成させるといった製法は
ほぼウイスキーと同じ
違いは、ウイスキーの場合は原料となる穀類の糖化に
麦芽の酵素を使うのに対し、焼酎の場合は麹を使うこと
◇旨ければいいんです(は)
◆米国ではバーボンウイスキーについては、
法律で原料や熟成年数が厳しく定められているが
◆広義のウイスキーは
1.穀物を原料とすること
2.蒸溜してあること
3.(熟成年数を問わず)樽で熟成させること、のみ
そのため
・日本国内で製造された米焼酎や麦焼酎はすでに
1と2を満たしている
・米国に輸出して樽で熟成させれば
「ジャパニーズウイスキー」として販売ができる
というカラクリ
常楽酒造の担当者
キコリの原酒を製造していることは認めながらも
「販売元の米国企業との契約で何も話せない」
国税庁課税部酒税課
「米国で販売されている以上、規制を行うのは米国の法律。
日本国内の酒税法上の問題はない」
◆焼酎さえジャパニーズウイスキーにしてしまうアメリカ
◇旨ければ呑みたい(は)
◆ ◆ ◆ ◆
日本のウイスキー業界は
◆輸入原酒使っても、国産ウイスキー?
食品表示基準では、最も多く使っている原料を最初に
記載しなければならないが、酒類は適用外
ウイスキー評論家の土屋守氏
「安価なウイスキーは大半がグレーンでもおかしくない」
◇旨ければいいんです(は)
ボーボンはグレーンのみです
◆ブームの陰で、ジャパニーズウイスキーの表記をめぐる問題アリ
みりんなどの調味料を手掛けるサンフーズは
「御勅使(みだい)」や「富士山」を製造
担当者
「富士山」はジャパニーズウイスキーを名乗るが
「自社で蒸留した原酒に海外から輸入した原酒を加えて
ブレンドしている」
◆ジャパニーズウイスキーの明確な定義はない
◆日本の酒税法では
輸入した原酒を国内でブレンドしたりボトル詰めしたりすれば
「国産」と表示できる
業界で著名な「イチローズモルト」を製造・販売する
ベンチャーウイスキー(埼玉県)は
一部の銘柄で自社で蒸留したものに5大ウイスキー産地の
原酒を加えている
肥土(あくと)伊知郎社長
「以前は一部で『秩父ブレンデッド』としていたが、
秩父蒸溜所の原酒のみを使っていると誤解されるおそれがあり、
現在は『ワールドブレンデッド』という表記に変えた」
本坊酒造傘下のマルス信州蒸溜所(長野県)
一部銘柄で「ブレンデッドジャパニーズウイスキー」と表記していたが、
現在は「ブレンデッドウイスキー」に改めた
同蒸溜所の竹平考輝ブレンダー
「輸入原酒も使ってブレンドしてあるものについては、
消費者が混同しないようにした」
肥土氏
後発・新参メーカーにとっては
「品質を向上させ、販売量を確保するため」に
海外産の原酒を使っているのが実態
◆酒税法では9割は混ぜ物で大丈夫?
同法では、サトウキビの搾りかすなどを原料にした
醸造(ブレンド用)アルコールやウオツカなどの
スピリッツの混和が9割まで認められている
◆イオンのプライベートブランド・トップバリュの
「香薫(こうくん)」や「凜」は
原材料欄にスピリッツやブレンド用アルコールと記載している
こうした表記は日本洋酒酒造組合の自主基準で記載
罰則はなく、単なる努力義務
どれだけ守っている企業があるのかは不透明
土屋氏
「ブレンド用アルコールを使ってもウイスキーを
名乗れるというのはほかの世界5大産地ではありえない」
肥土氏
「この定義のおかげで戦後の物不足の時代にも
ウイスキーが飲めたという歴史的な背景はあるが、
そろそろ見直すべき」
◇旨ければいいんですが(は)
◆日本酒やワインは、
先んじて原産地表記の規制を進めてきた
ブランドや品質を保証し、輸出を促進したりするためである
◆ ◆ ◆ ◆
ということでした
ウイスキーとは多様性の酒です
正直に中身を公表する
輸入が悪い訳ではない
隠すという了見が野暮である
と、愚考する次第です
◇旨ければいいんです(は)
ではまた