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イスラム国人質殺害の教訓

2015年02月01日 | 時事
「後藤さん殺害」映像公開=イスラム国、日本も標的―安倍首相「テロリスト許さず」
人質事件発生から12日、ついに最悪の結末を迎えてしまいました。まず今回犠牲となったお二人に謹んでお悔やみを申し上げます。

状況を総じて見ると、イスラム国側の一方的かつ理不尽な物言いに日本政府も対応しきれず翻弄され続けた印象をもちます。身代金の駆け引きで始まったものの、途中から人質交換へと要求が変わってヨルダン政府頼みとなってしまい、現地で「交換ならばパイロットを」という別の議論が巻き起こり、一時は完全に後藤さんが蚊帳の外になっていましたが、ある意味でのスポークスマンや日本語翻訳要員として生かしておくのかと思いきや、やはり用済みという最悪の結末を辿ってしまいました。もちろん、それ以前に湯浅さんも交渉の余地なく殺されてしまっていることも忘れてはいけません。それこそ外国人にとって非常に難解な日本語の翻訳や日本人の心理分析など、捕虜としての使い道はいくらでもあったでしょう。その観点で言えば、北朝鮮の拉致の方がまだ国家としての戦略性が伺え、現在も交渉の余地があるわけですが、今回は終始全く糸口すら掴めませんでした。人質の価値を、残虐性のアピール以外に見出すこともできない幼稚な集団の餌食にされてしまったことは非常に残念です。

人質を取られている以上、相手に強気に出られるのは仕方なく、もしそれと交渉するにはこちらも同等以上のカードを持つ必要があります。しかし、例えばヨルダンはイスラム国側の捕虜(死刑囚)を何人か捕らえており、その命をちらつかせることで強気に出ることができるのに対し、日本は平和憲法があるため武力を行使することができず、今回のように「返して」と叫び続ける以外なす術がありません。また、こうして殺されてしまった後でも、報復や制裁する手段も全くありません。ここは大事な所なので強調しますが、これは仮に安倍政権でなく、別の人物または別のどの政党がトップだったとしても、この憲法がある限り同じくなす術がなかったのではないかと思います。
何やらこの機会に安倍政権を非難する動きが活発化しているようですが、政治家には「もし自分がトップだったら防げたのか」自問自答してみて欲しいですね。デモをしている人達も、自分の主張を冷静に分析をすれば、幼稚なイスラム国の主張と全く同じになっていることに気づくはずです。「安倍首相が人道支援を表明したから殺された」って、人道支援をすべきでなかったと言うことでしょうか。それこそテロリストの思う壺でしょう?平和は誰だって大切ですが、平和を脅かす連中に対して無抵抗のままでいたらどうなるでしょうか。『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する』だけでは、もう『我が国の安全と生存を保持』できない時代になってしまったのは、今回の件を見れば明白です。このように、よく考えればむしろ無抵抗でしかいられない平和憲法こそが、こういう事態になす術がない元凶だったと分かり、逆に「早く憲法を改正しろ」と言うデモが起こるのが自然のはずです。無闇に反対を唱える前にもう少し頭を働かせて欲しいですね。まあ、論理破綻は百も承知で、単に総理を下ろすためだけに2人の死を利用し便乗しているのだとしたら嘆かわしい限りですが・・・
そもそもイスラム国が2人を拘束したのはずいぶん前の話ですし、既に昨年末から身代金要求は始まっていたわけですから、安倍総理の中東訪問や人道支援表明を原因として叩くのは全くの筋違いであり、相手がうまく利用しただけに過ぎません。大体、本当に交渉する気があるのなら最初のように水面下で行い、普通は外部に漏れるのを極力避けるべきですし、大々的に宣伝すればするほど交渉時に注目が集まり過ぎ、犯人側の危険が増すだけです。つまり最初からお金や人質交換はあわよくばといった程度であり、最終的には残虐性のアピールができればいいやぐらいにしか頭が回っていないのでしょう。要求をコロコロ変えたのも、今回の人質作戦自体が全く無計画だったことを露呈させており、指揮者やトップの管理能力の低さ、無能さを伺わせます。それ以前に国家として全く機能しておらず、交渉の窓口すらないのに国を自称し、後先考えずに要求だけ出して「俺達怖いだろ」と喜んでいるだけの中二病集団がイスラム国なのです。
このように、叩くべきはイスラム国であり、安倍総理と日本政府はむしろこの12日間、拳も持たないまま一切妥協せずよく戦い続けたと思います。今回の件で各国も声明を出し、世界中が日本の判断を支持し団結してテロと戦う認識でいるのに、デモ集団がイスラム国と一緒になって「安倍のせい」だと叩くのは一体どういうことでしょう。テロリズムに共感する時点で、最早テロリストと変わりありません。朝日新聞などは何と昨日、複数の記者が政府の制止を無視してシリア入りしたらしいですが、これではもう国際テロ組織「アベオロシ」だと思われても仕方ありませんな。

同じ悲劇を二度と繰り返させないためにはどうするべきなのか。しっかり議論していくことがせめてもの弔いとなるでしょう。自分は9条改正しかないと思いますが・・・


ココから先は全くの余談ですが、この事件が発覚して以来、水面下で彼らと勇敢に戦っていたのは、そうしたイスラム国を愚弄するコラージュ作品をネットに続々と上げていた「ISISクソコラ祭り」だったのかもしれません。ツイッターではたまにこうした後先考えない画像投稿が見られますが、今回はイスラム国が上げた動画を使い、人質を取って脅すシーンをもじって様々なネタを発表する人が続出していたようです。これらがネット上に拡散し氾濫することによって、先週などはGoogle検索に人質らしき生首画像に混じってアイシスちゃんとかいう萌えキャラが引っかかったりするなど不思議な様相を呈し、ツイッターにアラビア語で返信がついたことも何件かあった模様です。脅したのかもしれませんけど、所詮はネットなので個人に対しての報復まではできず、むしろ意外と有効な反撃だったのではと思うわけです。
国としての発言力を有しないイスラム国にとってはネットの場が大きな情報発信媒体になっており、残虐性をアピールすることで「俺達カッコイイ」と自惚れるわけですが、その意に反して全世界から笑いものにされるのは一番嫌なはずです。まあ人質の生命が脅かされる中で不謹慎だという理由からか、ネットでこういうことが行われていたことは、自分が見ていた限りテレビでは一切触れられていませんでしたが、途中から脅迫動画が静止画になり、イスラム国の人が出なくなった理由は、もしかしたらクソコラにされたくなかったからかもしれません。
もし今後、イスラム国関連のネット検索結果がアホらしい画像で満たされることになれば、彼らの「残虐性アピール作戦」も瓦解させることができるわけです。フランスのようにイスラム教自体を茶化すのではなく、また人質の画像を使うことなく、もちろん内輪ネタでなく国際的に通用するようなネタで、明確にイスラム国の戦闘員達をバカにし貶めるような画像を大量に投下すれば、武力を使うまでもなく相手に大きな打撃を与えることができるのではないでしょうか。GoogleやYahooにもそういう画像を優先的に表示させるようにしてもらい、全世界でツイートしバカにされ続ければ、新しく仲間になりたいと思う人も減ると思います。冗談のようで実現可能な最善策なのかもしれません。