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「西行物語」 桑原博史訳注

2012-12-19 | 読書

写真は京都、法金剛院。12月3日。1146年、西行はこの寺にいる故待賢門院の女房に追悼の歌を送る。


西行は平安末期の歌人。初め北面の武士として鳥羽院につかえ、歌詠みとしての誉れも高かったが、20代で妻子を捨てて出家、以後72歳で没するまで、各地に移り住み、また旅をしながら一生を仏道修行と和歌を作ることに費やした、いわば漂泊の出家にして詩人。その人の生涯を説話風に和歌を交えてまとめたのが本書。13世紀半ばにはできていたらしい。作者は不詳。

説話風なので、つじつま合わせの無理なところもあるらしいが、それを差し引いても、この中の、自然と自分の心の中をしっかりと見つめた短歌は、私にはとても魅力的だった。

それまでの歌が、ややもすると様式を踏まえた知的なゲームに堕していたのを、一気に建て直した人ではないだろうか。

妻子を振り捨てて出家するのが、何と身勝手なと腹立つけど、当時仏心を起こし後世を頼むことは賞揚されたのだろう。私のふとした疑問は、出家してからの生活費。高野山にいるころは何とかなったのかもしれないが、長い旅の旅費、宿泊費は?

托鉢?仕送り?全国共通の貨幣ってあったのだろうか。金の粒を袋に入れて持ち歩くとか。当時としては当たり前すぎて誰も書き残さないことが、後世にはいちばんわからなくなることもありますよね。

今、海外旅行でカード使って普通に買い物してるけど、何世紀か経ったら、21世紀の人は各国違う通貨で買い物不自由だっただろうなあと思われるかもしれないし、私はそのことが一番知りたい。

だって、どんな自由な暮らしにも、というか自由を求めれば求めるほど金銭的な裏付けがいると思うから。各地で歌を教えて旅費にするというのは芭蕉の時代ならともかく。。。うーーーむ、謎。

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