夫の本を借りて読んだ。ヤフオクで売るので折り目付けんようにと言われたけど、どうでしょうか。
ほぼ新品です。やがて出品すると思うので、どうぞよろしく。
感想。
歴史上、世界中を巻き込む大戦から地域で限定的なのも含め、戦争はいろいろあり、残念ながらこれからもあるとは思うけど、おおよそ独ソ戦ほど悲惨でえげつない戦争はないのではないか、そう思った。
もちろん上品な戦争と言うのはないけれど、私が漠然と思っていた戦争のイメージをはるかに超える話で、読み進むうち気分が悪くなることも再三。
夫は、独ソ双方の作戦、軍の展開、勝敗の流れなどがゲーム的に面白かったようですが、それは男だから?話を男女の差に矮小化してはいけないのですが。
ドイツはヒットラーと言う独裁者の元、周りの国に戦争を仕掛けて併合し、あるいは支配する。東へ向けてはポーランドの併合、その先のソ連との衝突、は一連の流れと思っていた。
けれども初めから積極的だったわけではなく、西部戦線でイギリスとの戦いが長引くにつけ、その後ろにアメリカとソ連の脅威を感じ、次第に対ソ連への開戦へと傾いていく。
元々、ヒットラーはソ連を占領してゲルマン民族の植民地帝国を作る考えも持っていた。戦争をとどめるものはもうない状態。
1941年6月22日、ドイツ軍がソ連への侵略開始。兵力330万、戦線はバルト海から黒海までの約3000キロ。大変大掛かりな戦争です。
一時、ドイツ軍はソ連の奥深くへ入り込み、戦争準備が十分でなかったソ連に対して勝利を重ねる。
レニングラードの封鎖による住民の飢餓は究極まで行き、そのおぞましさはここではとても書けない。捕虜は皆殺し。占領した地域のソ連人は男は食料をほとんど与えない強制労働の果てに死なせ、働けないものは初めから大量に殺す。女性がどんな目に遭うか。。。。ここには戦争の持つあらゆる悪が充満している。
国のために、何かのイデオロギーの為には人を殺してもいいのが戦争。人を殺していいのなら、そのほかの何をしてもいい。それが戦争の実態。
しかし、この戦争はやがてドイツの敗北へと向かっていく。
まず兵站の問題がある。兵站なくして闘いなし。ドイツは幅の違うソ連の鉄道線路をいちいち敷き直して戦時物資を運んでいる。たいそうな手間である。
そしてソ連は広い。3000キロもの戦線を敵側へと推し進めながら首都モスクワを攻略するのはどう考えても無理。ソ連の武器は広さと寒さ。ナポレオンが敗退したのと同じ轍。そして日本軍も中国の広さに苦戦する。それを思い出した。
ドイツ軍が敗戦に転じ、戦線が西へ通し戻され始めたのが1941年年末、モスクワ攻略作戦の中止から。寒いし補給は届かないし、もう無理だった。
そこからドイツ軍の退却が始まる。退却の過程ではドイツ軍が行った残虐が、今度はドイツ軍兵士に対して、やがてドイツ領となっていたポーランドで、ドイツ本土で行われる。
それでもヒットラーは講和の糸口を探そうとは決してしない。それはすでに戦争が普通の戦争ではなく、世界観戦争(絶滅戦争)にまでバージョンアップしているから。ゲルマン民族が優秀で、ほかの民族、ほかの体制の国は根絶やしにすべきという考えから来る戦争。もはや狂気。狂気を引き起こしたのは初めは些細なきっかけと思うけど、ドイツ国民は熱狂的に受け入れる。
自分の国と国民が優れている。そう思うのは誰にとっても心地よい。しかし、それを延長してほかの国民、民族は劣っているから地上から抹殺するべきとまで話を広げるのはあまりにも独善。その深い反省から第二次大戦後の世界は出発したと思う。
困難な時には自国民優先はある程度仕方ない側面もあるけれど、常に原点を思い出し、人類が幸せな未来を築けるよう、この本を読んで思いを深くした。
新書ながら重い読後感でありました。
ポツダム会談の場、ツェツィリンホーフ宮殿。
こちらは日本の戦後処理について話し合われた場所。
ベルリンが空爆で壊滅し、適当な建物が残っていなかったので郊外のポツダムに。
ベルリンから車で一時間くらいだったでしょうか。2012年11月。
セーターの男性も一人参加でいろいろお世話になりました。
会談の行われた部屋。四か国の国旗が立ててある。アメリカ、イギリス、ソ連、中国。
元の宮殿は今はホテルになり、一部が保存されている。見かけたのは日本人ばかり。
東西ドイツの時代には西側からは行けなかった場所と思います。観光整備されたのは最近のことかも。
日本からの修学旅行生も見かけました。