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「家族の昭和」 関川夏央

2020-05-29 | 読書

昭和に作られた映画、ドラマ、小説などから、昭和の家族の姿を振り返る評論集。

初出は「新潮45」2006年1月~2007年。

取り上げられたのは向田邦子「父の詫び状」、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」、幸田文「流れる」ほか、テレビドラマ「金曜日の妻たちへ」。

しかし、一口に昭和と言っても期間は長い。60年以上あり、間には軍国主義国家から太平洋戦争、敗戦から高度経済成長、やがてバブル経済の破綻ととてもひとくくりにできる特徴はない。

ないからこそ、それぞれ特徴的な作品を取り上げ、家族がどう変容していったか、やがて解体していったかを超スピードで俯瞰しする試みという体裁になっている。

なかなかに面白かったのですが、私はテレビドラマを決まった曜日、決まった時間に見るという習慣がほとんどないので(きちんと予定を立てて生活できないので)、向田邦子のドラマも、ブームになった金妻や男女7人シリーズも名前だけしか知らず、ああそんなものかなと思う程度。

この中では幸田文の、芸者の置屋での女中体験と、それをもとに書いた「流れる」についての考察が面白かった。1950年代前半の柳橋に生きる癖の強い玄人の女性

それをしっかり観察し、無理な仕事をこなし、しっかり目を見据えて観察する幸田文は結婚に失敗し、露伴を見送り、一人で生きていく覚悟を決めた時期でもある。そのしっかりぶりが、息苦しいほどである。露伴に礼儀作法、家事を徹底的に仕込まれ一本も二本も芯の通った、戦後の自立する女性の先駆け。そこのところをよく掬い取っていると思う。

幸田文は「おとうと」を読んだのが最初。高校の図書室で深い緑色のろうけつ染めの布の表紙。姉、弟のきょうだい愛。過酷な環境。救いのない話だけど、迫力があった。こちらへ来て、正門出たところの並びの古書店で同じ装丁の「おとうと」を確か50円で買った。まだ持っていると思う。

当時は布張りの表紙の本も多く、箱に入っているのまであった。蝋引きの紙で保護しているのもあり、岩波の日本歴史シリーズの保護紙はケーキ焼くとき型に敷いて重宝した。クッキングペーパーなんてなかったので。

すみません、話が広がりすぎました。

評論よりは原作読んだ方が楽しいと思うけど、今の私は幸田文を読むには心が軟弱になりすぎている。

これも公民館で借りてきた。リアル書店は読みたい本がなかなかなくて、最近行ってない。この先自分がどういう傾向になるかは未定。

唯一心に残ったのは、金妻の登場人物が若いころを美化してあの頃に帰りたい、今は堕落したかりそめの姿と思うことへの著者の批評。退屈だから、昔がよかった思う、それもまた時代の余裕と私は思う。その頃ある文芸サークルに加入していた私は、似たような気持でいたことを思い出した。

それとと当時の出演者で、美人で細い人は年取ると変化が激しいけど、そうでない人は年取らないと誠の辛辣かつ的確な指摘。いえいえ美人でも手入れを怠りなくすれば美はキープできます。そうでない人間が身なりかまわないとどういうことになるか、そちらの方が私には切実な問題。

今日から歩数を記録することにした。
本日ゆめタウンまで歩いて買い物、そのほかで10,291歩。コロナ前の体重に戻すのが当面の目標。頑張れ、私。

  

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