前回に続いて、少し理屈っぽい話ですが
お付き合いください
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映画用カメラは、フランスのパルポ
B&H、エクレルなど色々使われていましたが
何時からかアメリカ製NCミッチェル機が
日本のスタンダードになっていました
NCミッチェルのフィルム駆動は
220ボルト、三相交流の
シンクロナスモーターで動かします
モーターへは三本のリード線がつながっています
シンクロナスモーターですから電源周波数に
同期します。関西は60Hz(サイクル)です
関東圏は50Hzですから、周波数切り換えスイッチが
どこかに付いているのでしょう
NCミッチェルでスタジオ・セット撮影では
監督の「用意…スタート!」で
カメラのスイッチを入れます
カメラは220ボルトの三相交流の強力モーターですから
すぐ毎秒24コマのスピードが出ます
録音部さんのOKブザー音「ブーッ」を確認して
助監督さんがカチンコをカメラ前に出します
「カチン!」と打ち鳴らして
一拍置いて俳優さんは演技を開始します
ところがビスタビジョンカメラ(ミッチェル製)は
スタンダードの2倍のフィルムを走らせるので
監督の「用意…!」の号令でカメラスイッチを
入れると、半分のスピードでフィルムが走ります
次の監督の「スタート…!」でもう一度スイッチを
入れるとはじめて毎秒24コマのスピードになります
ビスタビジョン映画カメラはネガフィルムを
2倍消費するばかりか
カメラ・スタートに
助走で無駄なフィルムの消費があるのでした
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助走しないとフィルム・パーフォレーションに
傷が付くのかもしれません