映画「ホワイト・クリスマス」

小さなモノクロ画面のテレビに

対抗するために２０世紀FOXは

［シネマスコープ」を始めました



しかし小さなフィルム画面をレンズで

横方向に引き伸ばす方式に無理があるのか

画像が歪んで鮮鋭度が損なわれました



パラマウントも大画面のビスタビジョンを

発表しました

フィルム画面を倍にしました



映画は３５㍉フィルムです。

ビスタビジョンではシネ画面を倍の

ライカ判２４×３６㍉にしました



撮影時、倍のフィルムを使いますから

フィルムはキャメラ内で横に走る

大きなミッチェル
・
ビスタビジョンキャメラが生まれました



パラマウント・ビスタビジョン映画

第一作は「ホワイト・クリスマス」でした

…　…　…

劇中、アービング・バーリンの名曲

「ホワイト・クリスマス」をビング・クロスビー

ローズマリー・クルーニー、ダニー・ケイ

ベラ・エレンが唄いました



映画は総天然色のテクニカラーです

同時に３本のネガフィルムを装填し

しかもフィルムは一巻き２０００フィートでしたから

巨大なキャメラだったのでしょう

シネマスコープ・レンズ

洋画の２０世紀FOXの「聖衣」で

邦画では東映の［鳳城の花嫁」

新東宝の「明治天皇と日露大戦争」で

横長画面のシネマスコープが始まりました

…　…　…

撮影所で輸入されたシネマスコープ用の

大きなアナモフィックレンズを装着した

NCミッチェルキャメラはフリクション・ヘッドの

バランスが悪いように見えました



時代劇映画「忠臣蔵・前後編」冒頭の

浅野内匠頭と吉良上野介の刃傷シーンです

…　…　…

横長の松の廊下は真っ直ぐで

水平に映るべきです

廊下の両端がスクリーンでは

湾曲していました



アナモフィックレンズは、撮影キャメラと

上映する映画館の映写機の両方で

必要ですからどの段階で湾曲歪みが出たのか

わかりませんが



アメリカ製アナモフィックレンズの

輸入ばかりでなく国産のレンズメーカーの

レンズもありました



興和プロミナーがレンズを作っていました

っぽい小ぶりの姿をしていました

興和は内服薬、「コルゲンコーワ」や

「キャベジンコーワ」で知られています



興和は

「おめえ、へそねえじゃねえか」

のテレビ、スポットCMで

世間に知れ渡りました。




興和は３５ミリフィルムカメラで

超ワイド単レンズ、２８ミリの

コーワＳWで話題になりました

映画「明治天皇と日露大戦争」

横長の大画面映画「明治天皇と日露大戦争」は

日本初のシネマスコープ映画のはずでした

東映の時代劇「鳳城の花嫁」を急遽制作して

上映してしまいシネスコ第一作になれませんでした



シネスコ（シネマスコープ）映画制作には

撮影キャメラの撮影レンズの前に

大きなシネスコレンズ（アナモフィック・レンズ）を

つけます



シネスコレンズをつけたキャメラのファインダーを

覗くと、画面左右が半分に圧縮された映像になります

撮影キャメラマンは画面の構図を決めるのが

大変だったでしょう



シネスコ映画を映画館で上映するには

シネスコレンズ（アナモフィック・レンズ）を

映写機のレンズ前に取り付けて

圧縮されたフィルム画像を元に戻してスクリーンに

投射します



幻の第一作シネスコ「明治天皇と日露大戦争」で

シネスコレンズを用意できない映画館のために

シネスコレンズ装着のキャメラと

スタンダードサイズのキャメラを並べて

同時に撮影したそうです



横に広い画面のキャメラと

スタンダードの狭い画面キャメラが

並んで撮影します

それぞれ俳優さんの位置や

構図はどうしたのでしょう

渡辺邦男監督

渡辺邦男監督作品を調べていたら

なんと新東宝の「誰か夢なき」がありました



私の中学２年の時です(６６年前)

戦後の電力不足で停電が１日１回ありました

「どうぞ映画の途中で停電しないように…」

と祈りながら、浜松(静岡県)の

繁華街田町の映画館で

見ました



新東宝のマークはガランガランの

音と大きな鐘が

前後にゆれます

このマークは好きでした



俳優さんは黒川弥太郎、

藤田進、野上千鶴子などの

現代劇でした




主題歌の

「想いあふれて花摘めば…」

のメロディが耳に残っています



渡辺邦男監督の最大のヒットは

「明治天皇と日露大戦争」でした

空前の大ヒットで興行成績は凄かったようです

明治天皇を嵐寛寿郎(アラカン)が演じています

アラカンの当たり役は鞍馬天狗でした



渡辺邦男監督は超早撮りなので制作日数が

少ない上に興行的なヒットを出す監督ですから

映画会社にとって

ありがたい監督さんの一人でした

早撮り渡辺邦男監督

超早撮り渡辺邦男監督の話に

少し脱線します



映画制作契約で渡辺監督は

助監督(チーフ)

制作中の演技や小道具などの

記録をするスクリプター女史に

撮影キャメラマンは気心の知れた

固定のチームで

動くことが条件でした



撮影所のセット撮影、開始時間は

普通、９時から始まりますが

渡辺組は１時間早い８時開始でした



超スピードの段取り撮影ですから

セットで俳優Ａさんの出番がきてＡさんが

セットに来ていないとき渡辺監督は

共演の俳優Ｂさんに演技で

「兄は(俳優Ａさん)は病でふせっております」

と台詞を追加して俳優Ａさんの出番を

食ってしまいました





この話が撮影所中に広まります

渡辺監督の映画制作は、スピードが超早いので

出演している俳優さんは

スケジュールに気が抜けません

予定の時間より早めにセットで

スタンバイしていました

シネマスコープ映画「忠臣蔵」

テレビ放映はアメリカが先です

ハリウッド映画の斜陽化が深刻な状態だと

当時、聞きました



茶の間に置かれた１４インチ白黒テレビに

映画館の観客を奪われつつありました



映画は大きな画面のスペクタクルで

対抗します。

２０世紀ＦＯＸのシネマスコープ

は１対２、５５の横長の大画面でした

…　…　…

２０世紀のシネマスコープ作品は

宗教劇「聖衣」です。

アメリカではキリスト教を

題材にした作品は

必ず当たると云われていました

…　…　…

その他

「掠奪された７人の花嫁」

「紅の翼」

「エデンの東」…



シネマスコープ作品は邦画でも数多く作られました




日本では企画に行き詰まったら「忠臣蔵」を

と云われています．



シネマスコープで大映京都作品

「忠臣蔵」の前後編が作られました




男優陣は、大石内蔵助…長谷川一夫。

浅野内匠頭…市川雷蔵。

岡野金右衛門…鶴田浩二。

赤垣源蔵…勝新太郎。

…　…　…

女優陣は、京マチ子、若尾文子、

山本富士子、淡島千景

木暮実千代…



大物俳優のスケジュール調整と

超早撮り監督の渡辺邦男で

はじめて可能になった映画でした．

映画産業①

テレビが出現するまでは

娯楽の王者は映画でした

…　…　…

作る映画は必ず儲かっていました



毎週、新しい映画が封切られ

二本立て映画館もありました



毎週、新しい二本立て映画を作るため

東映は、第二東映を作りました



たまに映画撮影所で「××作品」は

赤字だったと云われることがありました



しかし、赤字と云っても撮影所側が

皮算用した売り上げに
、
足りなかったので

赤字だといっている

と聞いたことがありました



冨士フィルムが製造して提供していた

映画用フィルムは

膨大なものだったのでしょう



テレビの出現で映画の

斜陽化が云われ始めました

続・冨士フィルム

テレビ放送が始まった最初は

生放送だけでした



やがてアメリカからアンペックスの

ビデオレコーダー(ＶＴＲ)が輸入されました

このレコーダーで使うビデオテープは

２インチ(５センチ)でブロニー判フィルムほどの

巾で大きなリールに巻かれていました



ビデオレコーダー技術員は

大きくて重いテープリールを

「よいしょ…」

とかけ声をかけてレコーダーにテープを

セッティングしていました




ビデオレコーダーの登場で

番組の撮りだめや録画番組で

放送できるようになりました



そのビデオテープの国内生産を

冨士フィルムがはじめました



冨士フィルムはアンペックスの

２インチテープに始まって

１インチビデオテープ

オーディオテープ(６ミリ巾)

民生用カセット・ビデオレコーダーの

βテープ

ＶＨＳテープ

とビデオテープと銀塩フィルムを

並行して製造していました



テレビニュースが

１６ミリ銀塩フィルム取材から

電気的取材のＥＮＧ取材に変わると

ソニーβ・カム録画機用

カセット・テープも作り出しました

富士フイルム

先日、Radikoで朝の番組を

聴いていました

なんと冨士フィルムが

映画用フィルム（銀塩）の

製造を止めると云っていました。



映画用フィルムと云っても

用途によって色々あります



撮影キャメラに装填する

カラーやモノクロの

ネガ・フィルム



撮影されたネガ・フィルムを複製する

デュープネガ、デュープポジフィルム

音響で使われるサウンド・フィルム

そして、劇場の映写機に装填される

カラー、モノクロポジフィルムなどです



映画全盛時代にアメリカ映画は

デュープフィルムで

ヨーロッパ映画は上映用の

ポジフィルムで輸入されて

日本でデュープを起こして劇場用の

ポジフィルムをプリントしていたと

聞いたことがありました



映画用フィルムの製造中止と云っても

全種類のフィルムか

その規模は知りません

…　…　…

冨士フィルムでは銀塩フィルムの

乳剤技術を活かした松田聖子のテレビCMの

化粧品が好調だと云っていますが



映画用フィルムはアメリカの

イーストマン・コダックだけに

なるのでしょうか

充電池・ＥＮーＥＬ９ａ

デジタル一眼レフは

ＳＤカードに映像を

書き込んでいきます

…　…　…

散歩に出るときに

カメラの液晶パネルを見ると

容量がⅠｋと表示されます



切手大の小さなメモリーに

１０００枚のカットが書き込めます

銀塩で１０００枚は

とても扱えない枚数です

カメラの充電池が続く限り

撮れます



銀塩カメラ時代には

２４枚、３６枚の限りある枚数で

どこでフィルムチェンジするか



フィルムチェンジして３６枚中

１５枚目くらいから調子が出てきますが

絶えずフィルム残量を気にして写真を

撮っていました



デジタルでは枚数は全く考えなくてよろしい

１枚撮りだろうと連写だろうと



フィルム代、フィルム現像処理

プリント代金を

全く気にしなくて良いのです



Ｄー４０Ｘを使い出して

２年１１ヵ月になります

電源の充電池がへたってきました

カメラのキタムラで若い女店員に聞くと

「大体、充電池の寿命は３年です…」

…　…　…

小さなチョコレートのような充電池１ケが

４７００円ほど。

これが高いのか安いのか…？