■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-22 プロ管理職のリーダーシップ 「リーダーシップ」のある人・ない人
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは
https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-22 「リーダーシップ」のある人・ない人
「リーダーシップのある人からコンピテンシーを学ぶことは難しいです」と、既述していますが、それとは矛盾するようですが、リーダーシップを発揮できる人には「熱い心」があるという側面が共通していることは事実と考えます。
前項で、リーダーシップを持つ人の特性を述べてきました。ここで、視点を変えることで、リーダーシップとは何かを深める意味で、逆に、リーダーシップの弱い人の特質を、少々見ておきましょう。
リーダーシップのない人に共通しているように思えるのが「内向き思考」「自己本位」な面が強いことです。
リーダーシップの弱い人が、「ものさし」を持っていないわけではありません。とりわけ「お役人」といわれる官僚は、法律という「ものさし」を振りかざして、それをベースに、「自分がこれをすべきか、これは言ってもよいことなのか」を判断します。また実効の団に入りますと、それを自分ではやりません。部下に忖度させ、自分が直接非難される事態に陥らないようにしています。自分の判断は規則に固執し、規則から外れることをしないのです。
「事なかれ主義」、「臭いものには蓋をする」というような発想もしばしば見られます。
リーダーシップのある人は「仕事は自分で作るもの」というのを、あたり前のことと考えています。リーダーシップのない人というのは、失敗は出世に響きますので、失敗を極端に怖れ、できるだけ与えられた仕事だけに絞って時間を過ごします。それほど時間のかからないことでも、できる限り時間をかけます。そのことで、何かを言われますと、のらりくらりと逃げ回ります。
あたかも真剣に取り組んでいるかのように「やっています」というふりをしたり、口にだしたりします。たとえば、2020年にコロナウィルス禍が発生したときに、その対策として効果があるといわれてマスクを全世帯に2枚ずつ配布をしました。そのために何百億円という予算を投じました。
マスクは、コロナ対策として一定の効果はあります。しかし、一家族2枚で、どうやってコロナ感染を防げるというのでしょうか。「コロナ対策をキチンとやっている」と言いたいがために、その効果はともかくとして、対策をしていると言いたいがためとしか思えません。
上司から与えられた人が、仕事の中間報告を上司にせず、上司から、「あれ、どうなっている?」と問われて初めて、「頑張っています」という言葉を返す状況にもしばしば出くわします。
頑張るというのは人により頑張り度合いのレベル差があります。自分では、一所懸命にやっているつもりでも、別の人と比べてみますと、一所懸命さのレベルが低いことが多いです。
このように、「やっているつもり」になっている行為を「つもり症候群」といいます。
リーダーシップのない人は、自己本位な側面が強いですので、部下に対して関心が薄かったり、自分の考えを押しつけたりします。
また、自分以外の人をあまり信用しませんので、部下を信じて、任せきるということができません。部下も、自分の上司から信頼されていないことを感じ取れますので、積極的なコミュニケーションをとろうとしません。その結果、双方のコミュニケーションも少なくなり、仕事もスムーズに運ばず、結果的には信頼関係も強化されないのです。
上述のことの中には、リーダーシップとは直接の関係がないものが含まれますが、概して、リーダーシップのない人に見受けられる事項です。
一方、リーダーシップを発揮できる、多くの人が「熱い心」を持っています。
しかし、リーダーシップのない人が、必ずしも「熱い心を持たない」「やる気がない人」とはいえません。
リーダーシップのない人は、自分自身に自信を持てない人が多いです。そのために、自分の言いなりになるような「子分」を作ることに執着します。そして、自分に従わないような人とは差別します。「公平性の原則」ということを無視しがちです。
小心でリーダーシップのない人は、部下を信じていませんので、部下に対して簡単なことでも、そのやり方に対して細かく指示を出します。中間チェックも、自分の指示通りやっているかどうかと言うような低レベルのチェックに留まってしまい、またあら探しのような重箱の隅をほじくるようなことを重大事であるかのように叱責します。
中には、やる気満々の管理職には違いないのですが、管理職という立場を理解できていない人がいます。
部下に指示して、やらせるには、いろいろと説明をしなければなりませんし、中間チェックも煩わしいという思いが強く、「自分でやった方が早い」と考えます。部下にやってもらえば、自分は管理職ならではの仕事をすることができますのに、部下に任せられないで自分でやってしまうのです。
その結果、自分は忙しく動き回っていますので、「忙しい、忙しい」と口にしながら、自分自身は仕事のできる人間であると思い込んでしまっています。管理職としての職務を行えば、組織として効率が上がることに関心が薄かったり、無視したりします。
リーダーシップのない人は、機会損失に気がつ化ない人が多いのです。
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